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ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ4 古代オリンピックの巻 〜 ソクラテス・プラトン 編 〜
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第52話 『悪魔の証』を探ってきて欲しい

 思い返せば、あのマリアが、セイの言うことは素直にきいていたし、エヴァは損得勘定抜きに、セイを心底応援していた。

 スピロはふつふつと目の前の男に興味が湧いてきた。


「セイ様。わたくしが、誰が誰をマークするかを割り振ってよろしいですか?」

「いいねぇ。君がたてた計画なら、たぶんぼくらが考えるより精度が高そうだ」

「は、誰が考えてもどうせ似たりよったりさ」

 マリアが投げつけてきた難癖を、スピロは無視した。

「まず皆さん。任されることになる相手には、こう言ってください……」


「何者かがあなたの命を狙っていますので護衛させていただきます。タルディスさんのコーチはすでにその誰かに葬られました。次はあなたの番かもしれません、と……」

「そうなのですか?」

 エヴァが屈託もなく訊いてきた。

「エヴァ様。その真偽はどうでも良いのです。ただ相手に近づき、信頼してもらう方便として利用しているだけです」

「お姉さま。じゃあ、相手の懐にはいれたとして、そのあとはどうすりゃいいんだい?」

「まずそこで相手の表情を探ってください。コーチが本当に悪魔に葬られたことが、もし真実なら警戒の態度が、そうでなければ油断の態度が、どこかしらに現れるものです」

「では、どちらでもなければ、その人は悪魔でないと考えてもよいのですか?」

 エヴァが次に提示しようとした可能性を先回りして訊いてきた。


 確かにエヴァは頭が回る——。

 マリアが皮肉交じりに言ったが、そのとおりだとスピロは感じた。

 切れるとはまだ言い切れないが、マリアのいうエヴァの『エゲつない』やり方も、それなりの戦略あってのものではないかと感じ始めた。

「そうではありません。それはボクシングでいうところのジャブのようなものです」

「では、わたしたちが探るべきはやはり『あれ』ですわね」

「えぇ。なんとかして、『悪魔の証』を探ってきて欲しいですね」

「悪魔の証……って?」

 セイは目をまるくして、身を乗り出してきた。本当に知らないらしい——。


「簡単に言えば、矛盾……です。この時代の人なら知らないはずのこと、いえ、知っててはおかしいことや、未来でしかあり得ない概念、思想。もしくはその人物とすれば不自然な言動……。そのようなことを、注視して欲しいのです」

「ずいぶん、まどろっこしいな。全員、とっとと叩き切ってしまえばいいだろ」

 マリアが苛ついた様子でぶちまけてきた。


「いや……」

 スピロがマリアを(いさ)めようと口をひらきかけたが、セイが先にそれを制した。


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