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ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ4 古代オリンピックの巻 〜 ソクラテス・プラトン 編 〜
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第49話 この5人のなかに犯人、いえ、悪魔がいる

 スピロがにたりと口元をゆがめて、満足そうな口ぶりで言った。

「なるほど。ですから、さきほどからお腹立ちなわけですね。そんな低級悪魔に翻弄されていたと気づいていたから……」


 見抜かれていた——?。

 エヴァは降参することにした。スピロの聡明さを認めないわけにはいかない。


「参りましたわ、スピロさん。もうあなたにお任せします。私も頭をつかうのは得意だったのですが、上には上がいるものですね。かないません」

「うははは、エヴァ。エゲツないやり方が信条のおまえが、正攻法で挑んでどうすんだ」

 マリアが腹を抱えて大笑いしたが、エヴァには返すことばもなかったので、眉をひそめて、気分をわるくしているというポーズだけでもとることにした。


「さて、そうなると、ここオリュンピアに集った偉人たちが怪しい、ってことになりますわね」

 スピロがみんなを見渡しながら言った。


「じゃあ、ヒポクラテスさんは容疑者ってことになる」

 セイが証言の口火を切った。

「ぼくはあの時、反対側のスタンドで、ウィニング・ランをしているタルディスさんに話しかけていたヒポクラテスさんを見たよ」

「セイ。それを言うなら、アリストパネスのヤツも容疑者ってことになるぜ。なにせ、ヒポクラテスより先にスタディオンに飛び出して、タイニア(リボン)をタルディスの足に結びつけていたからな。オレはプラトンに肩車されていたから、よく見えたぜ」

 自信満々に目撃証言を語ったマリアに続いて、ゾーイも証言してきた。

「じゃあトゥキディデスさんだって可能性はあるんじゃないのかい。たしかタルディスさんはトゥキディデスさんから渡された果物をその場で、ひとくち齧っていたからねぇ。もしかするってぇと、そいつになにか仕掛けがしてたってぇことだってある。悪魔だからって言っても、なにがなんでも耳元で囁かなきゃ駄目ってぇことはないんだろ」


「なるほど、では容疑者は全部で5人ということになりそうですね」


「5人?。おい、ほかに誰がいる?」

「マリア、なにを言ってるんだい。ぼくらとずっと一緒に行動を共にしていた人物がいたじゃないか」

「ソクラテスとプラトン。この二人はわたくしも最重要容疑者だと思います」

「おいおい、エヴァ。ソクラテスはまだしもプラトンはずっとオレの足元に……」

 そこまで言ってマリアは思い出したようだった

「そうかぁ。タルディスがウィニング・ランをしていたとき……、俺は降ろされていたんだった……」


 スピロがエヴァに軽くウインクをしてきた。

 あとはお任せください、ということなのだろう。


 スピロが全員の顔を見回しながら、確信をもって言った。

「ソクラテス、プラトン、ヒポクラテス、アリストパネス、トゥキディデス……。


 おそらくこの5人のなかに犯人……いえ、悪魔がいる……ということです」


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