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ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ4 古代オリンピックの巻 〜 ソクラテス・プラトン 編 〜
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第47話 このミッションを失敗させるわけにはいかない 

「スピロさん。わたしは、このミッションを失敗させるわけにはいかないのです。だから何者かにだし抜かれたのが、むかついて仕方がありません」

「で、どうするつもりですの?」

「捜査の基本ですわ。いつ、どこで、だれかどうやったかを絞り込みます。まずはいつからです」

「いいでしょう。でもなぜあなたが?」

 スピロが刺々(とげとげ)しい質問がエヴァに投げかけられた。が、マリアがあいかわらずの鋭い勘で、エヴァの意図を見抜いてきた。

「は、エヴァ。オレはわかるぜ。オマエ、こっちに来てスピ口におんぶに抱っこで仕事してなかったからな。手ぇ抜いてたことを反省してんだよな」

 マリアなりの(ののし)り口調のエールだ。

「マリアさん。ずいぶん口さがないですね。でも、まぁ、あたらずとも遠からずです。男の人の裸に馴れなくて、つい……」

「ですけど、エヴァ様、そういうのは得意なわたくしにお任せください」

「けけっ、スピロ、こいつをみくびるな。えげつない謀略や一方的な交渉は、本来エヴァの十八番(おはこ)だ」

「マリアさん。そうあからさまに言われては私だって傷つきますよ」

「は、エヴァ、どの口が言う。そんなグラスハートな奴が、セネカを脅して軍を蜂起させて、反乱を先導するような真似できるかよ」


「本当ですか?」

 スピロが思わず立ちあがって、心底驚いた目をエヴァのほうに向けてきた。エヴァはすこし謙遜したように肩をすくめてみせた。

「ええ、まあ、それがネロを倒すのに一番、自然で手っ取り早いと思いましたからね。セネカさんを焚きつけて、ガイウス・ピソ元執政官を引きずり出しただけです」

「なるほど。だてにエリート・ダイバーの認定を受けていない……、ということですね。いいでしょう、ご協力を惜しみません」

 スピロはそれを聞くと、感心しながらゆっくりと座った。

「では、あらためてスピロさん、あなたの見解を聞かせてください?」

「わたくしもヒッポステネスはないと思っています。マリア様と同意見です。おそらく、あのウィニング・ランの混乱のさなかに『囁き』があったと……」

 スピロが静かに、だが、確信をもって言った。

「わたくしがタルディス様の体から、ジョー・デレク様の魂が抜け出さないと気づいたのは、そのいわゆる『ウィニング・ラン』を終えて、審判長から正式のリボンを頭に結ばれている時でした」

「じゃあ、そのあいだに、タルディスに近づいたヤツはみんな容疑者ってかぁ」 

 マリアがいくぶん投げやりに声をあげた。


 エヴァはそのときのことを子細に思い出そうとした。


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