第22話 ハンドレッド・バイソン
ダルトスの町から少し離れた場所にある一面の草原。
日本の都市部に住んでいた俺がなかなかお目にかかれなかった。自然の景色がこの世界にはあふれるほど存在している。
こういう景色を誰かと並んで歩きたい、と常々思っていた俺だが、この世に生を受けて21年(もう死んでるけど)。ようやくその願いが叶ったようだ。
「ちょっと浩太! 歩くの早いわよ! もっとレディーの歩幅に合わせなさいよ!」
あとは相手がバイヤードじゃなければ完璧なんだけどなぁ。
俺たちはいま魔物の討伐依頼を受けて、草原北方面にある湖を目指している。
そう、どういうわけなのか俺だけでなくバイヤードのリカまでもが審査に合格してしまったのだ。
まあこれからこいつと一緒に旅をすることを考えれば、こいつがバイヤードでないと偽る材料ができたことは都合がいい。いいのだが、結局こいつがどんな手を使って審査を切り抜けたのか口を割らない限り不安要素が残ってしまう。
俺たちは信頼し合える仲間ではない。
こいつが危機に陥った時、俺が助ける義理はないし、こいつがそれを乗り気ったのならその手の内を俺に晒す道理もない。
「ねえちょっと聞いてるの!? なんで一人でずかずか行っちゃうのよ! 休憩したいんですけどー!」
「だったら一人で休んでろ。その間に俺が一人で獲物を独り占めにしてやるから」
他の賞金稼ぎのたちも同じ獲物を狙っているかもしれない。
リカのわがままに付き合っていては、生活が成り立たなくなってしまう。
「途中でベルトの充電切れたらどうするのよ」
「この世界に来た時、青い蜘蛛の魔物を大量に倒したことがあるけど、あの程度の奴らなら3%もあれば十分だよ」
「ブルー・スパイダーね。あいつらは集団で行動する肉食の蜘蛛よ。個々の力は大したことないから、あんたみたいに鎧か何かで全身覆ってるやつは相性いいから勝てるだけ。他の魔物も同じようにいくとは限らないわよ」
珍しくリカがまともな意見を出してきた。
確かに俺は今までブルー・スパイダーという魔物しか見たことがない。この世界に来てから日も浅く、魔物に関する知識はほぼ0だ。
いくらこいつが信用ならない奴だとしても、俺一人で突っ走ることは無謀なこといえるだろう。これは自分の身を守るために必要なことだ。
あれこれと自分に言い訳を続けて俺はようやく歩幅を縮めた。だが、休憩まではしない。落としどころとしてはそんなものだろう。
少しずつリカとの距離も縮まって、やがて隣に並んで歩くようになった。
「今回の獲物はハンドレッド・バイソン。その名の通り、足が100本ある異形の牛よ」
「異形って、バイヤードが言うか」
「真面目に聞きなさいよ。蛇のような長い胴体と凶悪な角を頭に持っていて正面から挑んだら確実に死ぬわ。私が雷撃で動きを止めるから、あんたはその剣で首を切り落としなさい」
「ああ、わかった」
こいつが俺の身を案じているのはきっと黒騎士のことがあるからだろうな。
「魔物っていうのは100年前、魔王ヴィドヴニルが人間界に解き放った魔界の生物の生き残り。でも魔界の生物も私たちと同じく食事をする。おそらく泉を水飲み場にしているはずだから、ハンドレッド・バイソンが休憩しているところを奇襲しましょう」
「………………」
「なによ、口半開きにしちゃって」
「いや、なんか普通に頼りになるからリカの偽物じゃないのかと疑っている」
「どういう意味よそれ!」
なんだか半年前に戻ったみたいだ。
あの頃は俺とユリ博士とアジトに匿っていたリカと3人で、バイヤードから町の平和を守る作戦会議を開いたものだ。
……隣にスパイがいるとも気づかずに。なんとも間抜けな話だ。
感傷にふけりながら歩いていると目的地である泉が近づいてきた。しかし、その全貌を見渡すことは残念ながら不可能であった。
なぜなら、泉そのものが隠れて見えなくなるほどに、獲物の図体が巨大だったからだ。
「おいおい、青蜘蛛の時と全然違うじゃねえか……!」
「だから言ったでしょ。一口に魔物と言ってもいろんな種類があるわ」
リカはハンドレッド・バイソンの胴体を蛇のようと例えたが、とんでもない、あれは龍だ。
足が100本ということは単純計算で25体分の牛が一つになったということ。しかし、それだけの巨体を支えるために足はより太く、大きく進化する。
その結果、水浴びで泉が丸ごと埋まってしまうほどの巨体が出来上がった。
バイヤードにも巨大生物へと変身する能力を持つやつがいたが、これほどの大きさの相手は初めてだ。
バイソンではなく、マンモスと改名するべきではないだろうか。
「とは言ったものの、予想以上に大きいわね……。アテナから聞いてたよりも3倍くらい大きいような」
「まあ、アテナも村の外のことまではそこまで詳しくなかったんだろ。あの辺は魔物が出にくいとか言ってたしな」
とにかく、あのサイズを相手にするのならレヴァンテインの力が必要だ。あらかじめ腰に巻いていたレイバックルに白のエーテルディスクを装填。
待機音が流れてきたら、右を上にして両腕を交差させる。
大きく一回転して、右手はレバー、左手は胸の前で拳を握り準備完了。
「変身!」
レイバックルから放たれた粒子が、スーツとなり、装甲となり俺の体を覆い隠す。
レヴァンテインゲネシスフォームに変身完了だ。
「ねえ、そのポーズとか待機音ってなにか意味あるの?」
「いいか? そういうのはデリケートな話題だからヒーローには絶対に聞くな」
「ヒーローには、ってあんたしかいないじゃない」
さて、幸いにもハンドレッド・バイソンはこちらに気づいていない様子だ。当初の予定ではリカが奴に雷撃を放ち、動きを鈍くしたところを俺が斬首するという計画だった。
しかし、あまりも巨大な図体のせいで奴の頭がどこにあるのかというのはなかなかに判断の難しいところだ。
まあ、充電は100%にしておいたわけだしそんなに焦ることもない。むしろ、焦ってこっちの存在を気づかれるほうが危険だ。
「お前は怪人態にならないのか?」
「この辺りは他の賞金稼ぎ達がうろちょろしてそうだからやめとくわ。魔物程度なら人間態のままでも余裕よ」
「そりゃ頼もしいことで…………ん?」
ハンドレッド・バイソンが浸かっている泉の付近になにか動くものを見つけた。あれは、人だ。武器を持っている少女だ。三つの穂を有する三叉槍を構えており、持ち手付近の窪みには青色の宝玉が嵌められていた。ということは俺たちと同じ獲物を狙う賞金稼ぎか?
いや、それにしては幼すぎる。齢は10くらいだろうか? 背はおそらくリカよりも低い。髪は短く襟足はうなじにかかるくらいだ。
なんで子どもがこんなところに?
「……出遅れたわね。どうする浩太? ハンドレッド・バイソンから殺すか、あの女の子から殺すか。いや、あえてあの二体を戦わせて、残ったほうを二人がかりで……」
「いい加減価値観の違いというものを理解しろ。人間に成りすましたいんだったらまずは俺のような正義をなぞることをオススメするぜ」
こいつなんかに問われるまでもなく、これからどうするのか、俺の中で答えは決まっていた。
レヴァンスラッシャーにレイバックルから取り出した白のエーテルディスクをセットする。
《----Disk Set Ready----》
「あの女の子に危険が及ぶ前に魔物を倒す。ちょっとそこで待ってろ」
「ちょっと! 馬鹿なこと言わないで戻ってきなさいよ!」
俺はハンドレッド・バイソンに向かって突進する。レヴァンスラッシャーからは絶えず禍々しい必殺技待機音が流れており、それを聞きつけた賞金稼ぎの少女がこちらを振り向く。
いや、少女だけではない。ハンドレッド・バイソンの耳にもこの音は届いていたらしく、泉の中心から魔物の頭部がそそり立つ。
泉に隠れて見えなかった無数の足を見て思った。
蛇でも龍でも無い、あれはムカデだ。
「そんなことはどうでもいい!」
牛だろうが蛇だろうが龍だろうがムカデだろうが、人々の日常を脅かす悪である以上、ヒーローには敵わない。
空高く、塔のようにそびえ立ったハンドレッド・バイソンがゆっくりと、そして、だんだんと勢いをつけて倒れてくる。
数tにも及ぶ筋肉の塊が俺を押しつぶそうと迫ってくる。
背中のブースターを作動させれば避けることはたやすいが、一撃で終わらせるならこの勢いを利用するほかないだろう。
足を大きく開き上段の構えを取る。バイソンの頭が射程範囲に差し掛かる直前。
レヴァンスラッシャーのトリガーを引く。
《----GENESIS DESTRUCTION SLASH----》
「うぉおおおおおおおおおおおおおおお!」
白銀に輝く刀身を渾身の力で振り切る。剣の軌跡が波状に広がり、白い斬撃としてハンドレッド・バイソンの胴体に飛び立った。
顎から首、首から胸、胸から腹へと一直線に魔物の胴体が裂けていく。
青い血が雨のように降り注ぎ、少し遅れて真っ二つに裂けた胴が、俺の左右に墜落した。
うん、最近強敵ばかりで少し自信を失っていたが、腕は落ちていないようだ。
位置から考えて賞金稼ぎの少女が巻き添え喰らっているとは考えにくいが、一応確認しておかなければ。
巨体が左右で視界を塞いでいるせいで周りの状況がわからない。
脚部の跳躍補助装置を作動させ、ハンドレッド・バイソンの死体を飛び越えた。
「あ……」
槍使いの少女の近くに着地すると、彼女の呆気にとられた顔が目に入る。
さっきは背中しか見えなかったから気づかなかったが、少女は結構童顔だった。体も小さいし、やはり小学生だろうか? あ、この世界に小学校は無いか。
「大丈夫だったかいお嬢さん。君のような子どもがこんな場所に来てはいけないよ」
「……お嬢さん? もしかしてパラスのことを言ってるッスか?」
「パラス、というのか。この辺りは魔物やそれを狩る賞金稼ぎがウロウロしている。怪我をする前に帰った方がいい」
「馬鹿にしてるッスか? パラスはその賞金稼ぎッス。この首飾りが見えないとは言わせないッスよ」
そう言って首元の飾りを俺に見せつけた。ふむ、俺にはこれが本物か偽物かはわからないが、この態度を見る限り迷子の子どもという可能性は消えたな。
となればきっと貧しい家庭の子どもに違いない。親の収入だけでは食べて行けず、子どもも働かなければいけないほどに。
いや、最悪の場合、このパラスという少女が親に搾取されている可能性もある。
何かしらの理由があって、命を賭してまで金を得なければいけない事情があるに違いない。
「安心しろパラス! この獲物は君に譲る。こいつの賞金を手に入れれば数日は働かなくても生活できるはずだ。その間にもっと安全な仕事を探すといい。子どもがこんな危険な目に遭うべきじゃないんだ」
「さっきからパラスのことをお嬢さんだの子どもだの……! パラスはもう15ッス! 立派な大人ッスよ! それに言われなくてもハンドレッド・バイソンの死体は頂戴するッス!」
パラスはステップで距離を取り矛先を背後の泉に浸け、詠唱を開始した。
「【奪え。彼の者から大気を奪え。命を奪え】」
すると泉からバケツ一杯ほどの水がパラスの三叉槍に纏わりつく。
そして、明らかに射程範囲外なのにも関わらず、俺めがけて突きを放った。パラスがその場から動く様子もなく、俺の顔面から30㎝は離れた場所で槍は止まった。
「ええっと、これは?」
「あんたは既に死んでいるッス」
パラスがニヤリと笑うと同時、矛先に纏わっていた水がレヴァンテインの頭部パーツを完全に覆い尽くした。
「おっ」
「パラスは人間だから大した威力の魔法は使えないッス。だけど、工夫を凝らせばこんなちょっとの水でも人を殺せるんスよ」
水はボール状に変形し、俺の首から上を密封した。試しに右手で掴んでみるが、液体ゆえに文字通り掴みどころがない。
「なるほど。確かに普通の人間がこんなの喰らったらひとたまりもないな……。しかし、こんなのでどうやってあの魔物を倒すつもりだったんだ?」
「ふん、人間にとって魔法はただの補助。パラスの武器は魔法ではなく、兄直伝の槍術で……って、なんでそんなに落ち着いてるんスか? ここは溺死の恐怖で言葉を失うところッスよ?」
「いや、見れば分かると思うけど。俺、頭に防具つけてるし」
レヴァンテインは水中戦闘にも耐えうるように完全防水仕様である。
スーツ内に圧縮酸素を搭載しているので海に飛び込もうが宇宙空間に放り出されようが、しばらくは生命活動を維持できるのだ。
「は? いやいやいや! どんな鎧にも隙間ってものがあるッス! いくらガッチガチに鎧を着こんでも、水が通る隙間すら無いんじゃ、そもそも息ができないじゃないッスか!?」
「よくわからないけど、これ前が見えづらいし声も聞こえづらいから一旦解除してくれないか?」
「……ッ!」
パラスが槍の宝玉を外すと同時に頭部にまとわりついてた水が崩れ落ちた。しかし、彼女は俺を解放したわけではないようだ。
懐から茶色の宝玉を取り出し、三叉槍に嵌め込んだ。
パラスは地面に槍を突き立て詠唱を始める。
「【土よ。餓えた土よ。彼の者を食らいて糧と為せ】」
すると、俺の周りの土が盛り上がり、顎の形を成した。なるほど、俺を土の中に引きずり込もうってわけか。
さて、どうするかな。さすがに生き埋めにされては自力で抜け出すのも面倒だ。
ブースターで離脱しようとしたその時、俺の視界はとある人物を捉えた。
その人物は腰から剣を抜き、パラスの首に突き立てる。
「その辺にしておけパラス。その鎧着た兄ちゃんはオレの友人だ」
土の顎は動きを止める。
ゆっくりと、パラスは後ろに目を向ける。そこに立っていたのは、賞金稼ぎナーゴだ。
パラスの背後に立つ人物、ナーゴの攻撃を警戒しているのだ。
「……だったら、尚更殺さなくちゃ気がすまないッスね」
パラスの殺意が俺から逸ると同時、土の顎が崩れ落ちた。
ナーゴはパラスの殺意を受けてなお、不敵な笑みを浮かべている。
ハンドレッド・バイソンの亡骸をバックに、ナーゴとパラスの睨みあいは1分ほど続いた。
無限に続くかと思われた沈黙を先に破ったのはパラスの方だ。
「はぁ、まあいいッス。流石に2対1は分が悪いから、ここは引かせてもらうッス」
そう言った後、なにか小声で呟きながら三叉槍を地面に突き立てた。おそらく呪文の詠唱だ。
「だけど、兄さんを終わらせたお前たちを、パラスは決して許さないッス……!」
言葉の直後、土煙がパラスの姿を覆い隠す。俺は咄嗟に手を伸ばしたが、すぐに煙は晴れて、パラスはどこかに消えてしまった。
「兄さんを、終わらせた?」
去り際に残したパラスの一言が耳に残る。
その言葉の意味を考えていると、ナーゴが俺の疑問を察して解説をし始めた。
「あいつの名前はパラス=トリトン。オレと同じダルトスを拠点として活動する賞金稼ぎだ。トリトンって家名に心当たりはあるだろ」
トリトン……あ、そうだ。思い出した。
俺とリカがダルトスの町に着いた時、ギルドに引き渡した盗賊の男。たしかあいつの名前は。
「ボタン=トリトン……!」
「そう、パラスはオレたちが捕まえたボタンの妹だ」
なるほど。それで終わらせた、か。
しかし、死んだわけでもないのに大げさな……。盗みくらいなら数年罪を償えばまた会えるだろうに。
とにかくパラスが俺たちを憎む理由はわかった。
「しっかし、ハンドレッド・バイソンの討伐をイヌイコータ一人でやっちまうとはなあ。リカちゃんの雷撃は一度見せてもらったけど、オマエも結構すごい奴だったんだな!」
しかし、ここにきてわからないことが一つ増えた。
「ナーゴ、一つ聞いていいか?」
「ん? なんだよイヌイコータ」
「なんでレヴァンテインの中身が戌亥浩太だってわかったんだ?」
「……へ?」
言うまでもなく、レヴァンテインのスーツは髪の先からつま先まで全身を守るプロテクタースーツである。
つまり、変身した状態から外見だけで中身を判別することは不可能だ。
にも関わらず、ナーゴはこの姿を俺だと断言した。
昨日リカが襲われた件も気になってはいる。ここでいろいろとはっきりさせておくべきだろう。
「な、なんでって。その黒い剣、レヴァンスラッシャーだっけ? そんな剣を持ってる知り合いはオマエしかいないからよ。中身もオマエだと思っただけさ」
「俺とリカは旅人だ。デカい荷物も持ってなかったのに、今日いきなりこんな全身鎧姿で現れるのはおかしいと思うだろ普通」
「う……」
「それから、ナーゴ。お前にはまだレヴァンスラッシャーという名前は教えてない」
「あー、しまった……」
まあ、こいつをレヴァンスラッシャーと呼んでくれたのは正直ちょっと嬉しかったが。
レヴァンスラッシャーという名称を知っているのは俺とリカ、そして黒騎士の3人だけだ。リカとは同じ部屋で寝ていたから、リカがナーゴに教えたという可能性は無い。つまり、ナーゴと黒騎士が繋がっているというリカの言葉は真実だったってわけか。
「お前には色々世話になったし、乱暴な手段は取らない。だけどお前の仲間がいま危険な力に手を出している。このままじゃお前も巻き添えを喰らうかもしれないんだ!」
そう、黒騎士は黒のエーテルディスクを持っている。
終焉の力。
全てを無に帰す力。
ラグナロク。
レイバックルを用いても制御しきれなかったあの力を他の誰かが使いこなせるとは思えない。暴走してしまうのがオチだ。
そうなる前に、黒騎士からディスクを回収しなければならない。
「……はぁ」
バリバリと頭を掻きむしった後、ナーゴは観念したかのようにため息をついた。
「リカちゃんは、いないな?」
「あ、いや、あいつならあそこで……あれ?」
さっきまでリカがいた場所を指さしたが、そこにあるのはただ広い平原で他には誰もいなかった。
ぽつぽつと細い木が立ってはいるが、人が隠れられる大きさではない。
先に帰っちゃったか?
「まあ別にオマエに隠す必要はないからな。今のオレとお前じゃ、敵対する理由もない」
そう言って、ナーゴは懐からあるものを取り出し、俺に見せつけた。
それは俺がすぐにでも取り戻さなければならない危険なアイテム。黒のエーテルディスクだった。
なんで。
なんでお前がそれを持っているんだ!
「オレがグランレンドだ。いや、私が、というべきかなレヴァンテイン」
声が出ない。
次になんて喋ればいいのか、わからない。
ナーゴが黒騎士? いやいや、あり得ないだろ。
「場所を変えようか。私としても話したいことは山ほどある」





