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15


 パチリと、姫に取ってきてもらった黒い木が火鉢の中で爆ぜる音がした。板をかき集め、家のような形に仕立て上げた。そういった表現がしっくりとくるあばら家でハム助は目を覚ました。


(いかぬ、眠ってしまっておったか)


 彼は重たいまぶたをグッと瞑り、頭を軽く振った。彼が向かっている机の横には、目を通して置かなければならない書類が山と積まれている。


 妖魔の油で作った蝋燭から黒い煤が上がっている。この程度ならば、それほど眠ってはいないようだな、と思いながらハム助は腰の短刀で蝋燭の芯を切った。


 火中の中にあるうえ、細く柔らかい芯を短刀で最適な長さに切るのは至難の技だ。だが、それは正確に刈り取られ、蝋燭から湧き出る黒い煤が収まった。


(このような曲芸じみた事が出来たとしても、結局の所、神気がなければ強くなることは望めぬ。……限界でござるな)


 アケハが来てからというもの、彼は自分の限界を感じつつあった。いや、本来の自分の立ち位置というものを思い出したと言った方が正しいだろう。


 彼が初めて迷宮に潜ってから、半年かけてようやく一人で倒せるようになった顔無をアケハは一瞬で狩った。彼が攻めあぐねていた巨大蟹を、アケハは姫の手助けがあったものの、間合いに入った瞬間に勝負を決めた。


 それだけならば、アケハと姫だけが特別だと思えたかもしれない。だが、元々神気が多いロボロフが神化し、月華となった時、彼は一つの事実を再認識せざるを得なくなった。


 鼠族は、弱い。


 今はまだ良い、非力な鼠族でも、多少なりとも力になることは出来る。


 だが、今後、帝である姫の元にはアケハのような剛の者や、帝都で高度な教育を受けた者が集うだろう。そのうえ、帝である姫には想像以上の艱難辛苦が待ち受けているはずだ。


 そこに、とりたてて強いわけでもなく、独学で得た浅学しかない自分が入る余地はないだろうと、彼は気づいた。


(先程見た夢は、拙者の願望かも知れぬなぁ……)


 能力不足で、役に立てず腐っていくよりも、何かしら主君に義理立てて華々しく散る。武士としては理想の死に方だろう。


(しかし、拙者が刺客にやられて死ぬ、か)


 刺客が来るとしたら、皇族の中で新しい帝が立つのを嫌がる輩か、皇族の力が増すのを嫌がった将軍家側かのどちらかだろう。


(ならば、夢の中の拙者は刺客を食い止め、追い払い、その時の怪我が原因で死んだという事か? ……いやいや、なんか夢の中だと、普通に拙者狙いで殺されてたっぽいでござるな……)



 書類に目を走らせながらも、彼の思考は自分の死因へと引きずられた。


 拙者が死ぬとしたら? 何が原因で、どういう意図か?


 夢の中の姫樣は、皇族の側に立つ事に固執しているように思えた。それも金輪を付け、名前まで変えてしまっている。


(確かに、現状では山吹樣からの支援も多く、皇族寄りではあるが……そこまでするほどでござろうか?)


 夢の中の姫は、まるで将軍家に与すると疑われる事すら嫌がっているようであった。疑われる理由がある?

 

 そう、例えば……。


「姫様に、麒麟家の血が……?」


 で、あれば。かの家は帝である姫を将軍家に取り入れたいと考えるのは道理であろう。だが、姫樣はもはや山吹樣の息がかかっている状態。


 ならば、無理やりにでも従わせるには拉致するか……。


(脅迫? 親しい知人を殺すぞと脅せば従うと、将軍家ならば思いそうでござるなぁ。……あー、いや、将軍家ならば)


「先に、実際に殺して見せた後、他の者もこうするぞとやるか。それも、親しくて、ある程度実力があると思っている者が実際に殺されたならば、さぞかし効果があるでござろうな……それも、鼠族である拙者ならば殺しても他所から文句が出る心配もない……」



(考えてもみれば、このように粗末な小屋で一人作業をする者なぞ、容易に暗殺できそうでござるな。夜になってしまえば、この辺りは人も少ないから尚更……)



 シン、と辺りから音が消えたような感覚を覚える。外では雪が降り始めていた。雪は音を吸い、辺りに静けさをもたらす。


 火鉢の中で、軽く積み上げた炭が、小さくカタンと鳴った。それに紛れて風斬り音が聞こえた、鍵もろくにかけていない扉が、ほんの僅かだが開いている。


 小さく黒い何かが、ハム助の目に映った。


 蝋燭の芯を切る為に出していた短刀で、飛んできた何かを弾く。クナイだ、先端に小さなくぼみをつくり、そこに毒を詰めることの出来る、暗殺用のクナイ。


 それを弾くやいなや、黒に近い紺色の装束を来た男が扉を乱暴に開け放ち、足を止めぬまま斬りかかってきた。刀を上段から大ぶりにし、胴体を不自然なまでに晒している。


 大きく横に飛び火鉢から火箸を抜き取ると、男と、その後ろにいた何かに投げつける。火箸は男に当たらず、すり抜けた。


 もう一本の、本命である火箸は当たったらしく、扉の向こう側にある暗がりで金属同士がぶつかる甲高い音が聞こえた。それと同時に刀を大振りにしていた男が掻き消える。


 幻術である。この時、ハム助は一つの幸運に助けられた。昔こういった幻術を使う相手を見た事があったのである。


 消えた幻影を見て、ハム助には二つの手が思い浮かぶ。


 一つ、このまま正面から打って出て相手を斬り倒す。二つ、このあばら家の薄い板を刀で斬り、そこから外に出て形勢を建て直す。


 何にせよ、この粗末なあばら家に立てこもるというのは愚策に思えたのだった。


 ハム助が選んだのは打って出る方であった。術を使うほどの手練、形勢を建て倒したとしても地力では負けているだろう、ならば、気勢を削いだこの瞬間にやるしかない、と。


 勢い良く扉から外へと飛び出すと、扉へとクナイが投げ込まれるところだった。


 クナイを弾きながら、ハム助は目論見が外れたと、内心舌打ちをした。奇襲が失敗したにも関わらず、この相手は些かも動揺していない。それどころか冷静に拙者の動きを予想しているではないかと。


 雪が降る暗闇の中、二人の男が対峙し、初めてその顔を見合った。


 相手は暗闇に紛れやすい紺色の装束を着ている。唯一露出している目は猫族を思わせる鋭さがあった。語る言葉なぞなく、相手が腰の刀を抜いた。その刀身は黒く、この闇夜の中では距離感を図りにくい。


 相手は術を使うことの出来る神族。それも対人に慣れている輩である。それに対するは今まで妖魔しか狩った事のない、鼠族の貧乏侍である。人を斬ったことも当然ながらなく、野盗らしき者を追い払った事がある程度である。余談ではあるが、この長い地の文をなろう読者の八割は読み飛ばしているであろう。描写はどうでもいいからさっさと展開を進めろというのがなろう読者である。実際、なろう読者である作者は三行以上の文章が読めない。余談終わり。


 勝てる見込みは薄いと、ハム助は踏んだ。だが、背中を見せた瞬間、暗器で殺されるのもまた明白であった。


 ならば斬り込むだけである。抜いていた短刀を牽制に投げつけると、腰につけた長刀を抜き、抜いた勢いのまま前へと踏み出す。


 だが、そこでハム助に一つの誤算が生じた。避けられると予想していた短刀が、刺客の体にそのまま当たったのだ。


 これも幻影だ。


 それに気づいた瞬間、彼は脳ではなく、脊髄からの反射で本能的な危険を感じ取り、踏み込んだ足を無理やり止めて、横へと飛び跳ねた。


 ひゅん、と彼の耳元で風を切る音がした。刃だ。薄く、透明にも見える刃だ。避けていなければ、彼の頭蓋を両断していであろう、殺意だ。


 横に飛び跳ねた後、更に後ろへと跳ねて、ついでに胸元に入れていた銭を武器代わりに投げつける。だが、しゃなり、と銭が斬り捨てられる。


 まるで水を斬るかのように、銅銭が真っ二つにされた。音もしない。あるのは風を斬る音だけだ。


 それをやったのは、目の前の黒装束を着た神族だ。獲物は刀だと思っていたが、使っているのは薄緑の刃が付いた、鎌のような武器だった。刃には、昆虫の羽のように所々線が走っている。


 鎌を使う流派は少ない。相手の構えからハム助はすばやく相手が何を得意とするか読み取った。鎌鼬流、古くは始祖帝がいる時代から続くと言われる暗殺術。ハム助も噂には聞いたことがあった。


 そこまで考えてから、ハム助はようやく相手の容姿に意識が行った。肩口まで伸ばした紺色の髪に、鼬族の名残を残した耳。口元からは鋭い牙がちょろっと見えている。そして、まさかのおなごであった。


(嗚呼……おなごでござるか)


 ハム助は、どこかがっかりとしている自分に気づいた。風の噂に聞いた鎌鼬流最強の者は男だと聞いていた。せめて、殺されるのならば強い相手に殺されたいと考えたのだ。


「驚いた」


「何にでござるか」


「自分の腕のなさに。姿を見られたのはこれで二度目」


 後ろから風を切る音が聞こえた。眼の前の刺客から目を離さずに横へと避ける。先程まで立っていた場所を鎌が回転しながら通り過ぎ、そのまま刺客の手に収まった。


 彼は鎌鼬流は二刀流であると知っていたからこそ、警戒できた。知らなければ死んでいただろう。


「良い耳してるね」


「いい形でござろう? 自慢の耳でござる」


「じゃあ、目はどうかな?」


 眼の前の刺客が、分裂した。左へ一人、右へ一人、自然に音もなく歩いている。二人の刺客が、ハム助を見据える。

差異は見受けられない。両方とも、鎌を一本ずつ持っている。


「「さぁ、どっち?」」


 ハム助は絶句した。目の前の刺客が分裂したということにではない。幻術を使う事はもうわかっている、今は雪が降っている。地面に薄く積もった雪を見れば、足跡でどちらが本体かわかるはずであった。


 その足跡が、どちらにもある。


「貴様、人ではなく鬼でござるか」


 これと同じ幻術を鬼が使うと、彼は昔とある本で読んだ事があった。人では使いこなせぬ鬼術――将軍家が研究する事すら禁じた術である。


 鬼、という言葉を聞いた瞬間、刺客の表情が少し強張り、瞳の濁りが増した。触れてはならぬところに触れたのだと、彼は察した。


「「……私は人間だよ、人殺しでは、あるけどね」」


「待てい」


 ハム助の静止の声も聞かず、左と右の刺客が鎌を振るう。左の刺客が振るった鎌を後ろに飛び退き避ける。飛び退いたところを右の刺客が鎌を振るう。身をよじって避ける。


 よじって避けたところを、左の刺客が踏み込んで来ようとする。長刀をヤリのように投げ、阻止する。投げた刀は鎌によって飴のようにぬるりと両断された。体勢を整える暇もなく、右の刺客が間合いを詰めた。


「し」


「ね」


 右の刺客の鎌が迫り来る瞬間、ハム助の脳内に閃光の如く選択肢が広がった。


 避けることはできぬ。


 受けることはできぬ。


 腰に刺したままの脇差で斬りかかろうにも、この鎌相手では刀を斬られるだけである。


 ならば――。


 頭に思い浮かんだのは、今まで相手が出してきた幻影が消えた瞬間だった。


 咄嗟に土を握り、苦し紛れにそれを目の前の刺客に投げつけた。当たりか、ハズレか。本体であったのならばこれで終わりである。


 だが、幸運はハム助に味方した。土が当たった右の刺客は消え去り、左の刺客――本体が舌打ちする音が聞こえる。幻影が持っていた鎌は回転しながら本体の方へと戻っていった。


 急場は凌いだ。凌いだ、が窮地に立っている事に変わりはない。


(もう一度幻影を出されたら、終わる。その前に決着を付けねばならぬが……無理でござろうな)


 脇差を抜き、一直線に踏み込む寸前、ハム助は一つの覚悟を決めた。そう――。


「その、こっから殺し合いを再開する前に聞いとくでござるが、人違いじゃないでござるよね?」


「は?」


 何を今更、と言った体で刺客が返した。今までこんな事を聞かれた事もなかったのだろう。


「お主、幕府からの刺客でござろ? なら拙者じゃなくて直に姫を狙うべきでは!?」


「いや、依頼主は詳しく聞かされていないけど……」


「今なら拙者! 襲われた事なーんも言わんでござるよ! 誰にも情報を漏らさず姫を狙うチャンスが残るでござるよぉ!?」


 そう、姫を売り自らが生き延びる覚悟を決めたのだ! なんと浅ましく生き汚い鼠だろうか! 彼の脳内では、今後姫が死んだとしても「くっ、拙者がいれば!」と素知らぬ顔で涙を見せる算段まで済んでいた。


 まぁ、もちろんそうならないように刺客をこっそり捕縛するつもりではあったが。


「少なくとも、暗殺対象は君だね」


「あっ……そうでござるか」


 だが、その目論見は一瞬で敗れ去った。所詮はネズミの浅知恵である。話しながら、じりじりと距離を取ろうともしているが、相手もさるもの、同じだけの距離をしっかりと詰めてくる。


「か、金! 金はどうでござるか!? 実のところ、拙者今の役職のおかげで結構な賄賂を貰っておるのでござるよ!」


 これは幾らかは事実であった。ハム助は便宜を図る代わりにと出稼ぎ労働者達に干した柿、干し魚、虫の佃煮など村毎の特産品を要求していた。そして、これらを扱う屋台を出し、売上が良いようであれば販路をしっかりと作り、ここに来た者達だけでなく出身の村にも還元しようという策である。


「お主も女でござろう? キレイな服や宝石が買えるでござるよー?」


「必要ないかな。で、君が誘導したいのはどこなんだい?」


 ハム助がグッと言葉を詰まらせた。実際、彼は少しでも有利な場所で戦おうとしているところだったのである。

 彼の後ろには妖魔の肉を加工する為の、煮込み場がある。そこには妖魔の肉と油と、そして何よりも骨があった。あの硬い骨を砕く為の道具ならば、目の前の鎌すら受け止めることができるやもと考えたのである。


「どうせ、無駄なあがきさ。どういうわけか今日は調子が良くてね」


 眼の前の刺客が、足を3本踏み出した。前、右、左。それぞれ違う方向に踏み出した。しゃり、と小さく雪を踏む音も同時に3つ聞こえた。


 三人に分身している。それも、先程と変わらぬ精巧な幻術のままで。


「「「さて、今度は三択問題だ」」」


「お、お主……それほどまでの力ありながら何故、このような暗殺家業なぞに甘んじておるのだ……!」


 それほどのスキルがあるのならば、明日をも知れぬ暗殺者なぞやらずとも、様々な武家から引く手数多だろうに、昨今の不景気はそこまでだったのかとハム助は唸った。


(いや、しかし……これは逆に良い人材を手に入れるチャンスなのでは? これほどの人材を雇えれば、今後楽になるに違いないでござる)


「お主、もっと高待遇な――」


「暗殺者をやめて、武家にでも仕えた方が良いとでも言いたいのかい? それこそありえないね」


 スカウトしようとした直後にこれである。ありえないとまで言われてしまった、牛頭家の待遇なぞ大したものではないのだろうと見透かされているのであると彼は驚愕した。


「この緑鬼鎌は、将軍家を狩る鎌だ。なんで腐った幕府を守る側に立たなきゃならないのさ」


 これ以上無駄口を叩かせるつもりはないと、刺客が鎌を構えた。同時にハム助も腰にある脇差を抜き、構える。


 その時である。不気味な、鉄が軋むような呻き声が聞こえてきたのは。その音は、確かに鉄が軋む音である。だが、苦悶が色濃く出た声だと、何故かわかった。


 どすり、どすりと足音がする。だが、目の前の刺客から目を離せば殺される。と、そこでハム助はハッとした。この音も、幻術の一つなのでは? と。


(なるほど、思わず後ろを向いたところを斬り殺す。よくよく考えたものでござるな。しかし、そうとわかれば無視あるのみ)


 そう決めたハム助の横を、巨大な釜から、赤黒い手足が生えた化物が通り過ぎた。思わず出そうになった悲鳴を噛み殺し、ハム助は横目でそれを観察した。


 (あれは人面瘡が出ていた釜。近くに放置していた妖魔の肉でも喰らい、妖魔と化したのでござるか?)


 その釜はハム助を無視して、鈍い動きで刺客へと向かっていく。対する刺客も様子が可怪しい。目を見開き、体を硬直させている。


「……と、うさん?」


「ちゃぁ……ぢゃあぁ……」


「それに、母さんも……そんな、そんなはずはない!」


 本体か、幻影かわからぬうちの一体が釜の化物へ斬りかかる。その手に握った薄緑の鎌は化物の体へずるりと入り込み


「なっ!?」


 そのまま幻影ごと釜の化物に取り込まれた。


「うえぇ!?」


 思わずハム助も距離を取って脇差を構える。だが、釜の化物はハム助のことなぞ見向きもせず刺客へと向かっていく。


「くっ、戻れ! 戻ってこい! 緑鬼鎌!」


 刺客の叫びも虚しく、取り込まれたのであろう鎌が彼女の手元へと戻ってくる気配はない。焦った刺客がもう一体を分身をけしかけようとするが、その分身がぐずりと溶け、別の何かに変身した。


 それは彼女に良く似た、小さな子供だった。本を抱え、悲しそうな顔をしている。


「お姉ちゃん、苦しいよ……なんで助けてくれなかったの……?」


 そう言うと、少女の首がぽろりと落ちた。


 今度こそ、刺客の動きが止まった。目を見開き、何か言おうとして何も言えずにいるようだった。その致命的な隙を、釜の化物は見逃してくれなかった。釜の化物が肉塊で作った触手で刺客を捕らえた。


 ようやく我に返った刺客が残った鎌で化物を切ろうとするが、鎌は触手に取り込まれ、鎌を握っていた腕さえも細かな触手で肉塊に取り込まれる。


「ひっ、や、やめっ!!」


 刺客の悲痛な叫び声も虚しく、ずぶり、ずぶりと彼女の体が化物の体へと取り込まれて行く。逃げようと藻掻くが、彼女の体を取り込むたびに化物の力は強くなっているようだった。


「ダメだ! まだ、まだ死ぬない! だってまだ父さんの復讐も、初の仇も! 私がやらないと誰も―――」


 肉塊が彼女の頭を包み込み、釜の化物が満足げに震えた。


 ハム助が脇差を構えて警戒するが、釜の化物はハム助を無視したまま迷宮の中へと入り込み、後には呆然とした様子のハム助だけが残った。


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