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買い物~リュベルクートside

リュベル視点です!

 視線が、鬱陶しい。

 今日は勇者殿のお仲間の召喚日だからか、城の自由見学が許されている場所には、貴族令嬢達の姿がそこかしこにあり、通りがかる俺に気づくと熱い視線を向けてくる。

 ……全く、どこから情報を聞きつけてくるのだか。

 将来英雄となる勇者殿とそのお仲間を一目見ることを目当てに来るのならそれだけに集中すればいいものを、それ以外にまで興味を抱くのだから困ったものだ。

 母上やシャリアによると、ハオ様の側近である俺やアーヴィンは将来有望な結婚相手の候補の筆頭なんだそうだが、正直迷惑でしかない。

 貴族の結婚は家の為の政略なのが大半だが、中には自由恋愛の末での結婚をと考える家もある。

 そう、うちのように。

 シャリアがハオ様の妃として今だに候補なのは、そのせいなのだし。

 ハオ様の強い要望があって打診された話を、にっこり笑って『シャリアを心から頷かせる事ができたならお受けしましょう』と言った両親。

 そんな家だから、俺の相手も自分で見つけるようにと言われているが……令嬢達のこの視線には、うんざりする。

 彼女達が見ているのは家格の高さと肩書きだけだ。

 それは貴族としては正しいのかもしれないが、お互いの事をしかと見て仲睦まじく過ごしている両親を見て育った俺としては、そんな令嬢達には近づこうとも思わない。

 彼女達の視線を頑として無視し、俺はチラリと横を見た。

 そこには先ほどハオ様から紹介されたばかりの新しい側近、メイカ・トウサキ殿が俺とはぐれまいと懸命に歩く姿がある。

 その顔に浮かんでいるのは、緊張と喜び。

 令嬢達のような打算の混じらない、単純な感情。

 ……こういうのであれば、別段悪い気はしないんだが。

 俺は内心溜め息を吐いて立ち位置をメイカ殿の斜め前にずらし、彼女に気づき睨みつけ出した令嬢から、その姿を隠したのだった。


★  ☆  ★  ☆  ★


 買い物を終えてハオ様と側近が暮らす一棟に戻ると、扉をくぐった途端、先に中へと入ったメイカ殿がピシリと固まった。

 次いで、何やらオロオロとし始める。

 不思議に思ってその顔を窺えば、ほのかに顔が赤い。

 直後聞こえてきた、ハオ様の声。

 ……ああ、またやっているのか。

 そう思って前方を見れば、逃がさないようにシャリアを壁と腕で閉じ込めたハオ様が目に入る。

 俺やアーヴィンには見慣れた光景だが、これからはメイカ殿もいるのだし、ここでの生活に慣れるまでは自重して欲しいものだ。

 そう思いながら、自分達の帰還を気づかせるべく口を開こうとすると、それより一瞬早く、メイカ殿の声が発せられた。

 『透明になれ』。

 そう告げられた直後、目の前にいた筈のメイカ殿の姿が消え失せる。

 そしてハオ様とシャリアがこちらを見た後、背中に感じた微かな熱。

 視線だけをそちらに向ければ、服の裾が僅かに歪んでいた。

 ……察するに、これは、透明になったメイカ殿が俺の背後に隠れて裾を掴んでいる、のか?

 脳裏に、先ほど見た赤い顔のメイカ殿が、背後で縮こまって裾を掴んでいる姿が浮かぶ。

 ……可愛い。

 俺は歪んだ裾の側にあったメイカ殿の手を取って握ると、ハオ様がいるのとは反対側に彼女を誘導し、また自分の体で隠すようにして、メイカ殿の部屋へと歩き出した。

 今の行動からしてメイカ殿自身ハオ様達の視線から逃れたいのだろうし、こうするべきだろう。

 まあ、そんな事をしなくても見えないんだが。

 部屋の前へ辿り着くとすぐに扉が開き、俺の手にあった荷物が消え、前方からささやかな風が起こって、扉が閉められた。

 恐らく、メイカ殿が一礼して行ったのだろう。

 きっと赤い顔のまま。

 本当に、可愛い。

 俺はやっと、そう思える相手に、出会えたのだった。

結局短いです……(ー_ー;)

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