ならば勝負だ!
はい。
週1守れなくてすみませんでした。
いやね、絵を描いたり、短編書いたりしていて中々時間が割けなかったのと、ネタが思い浮かばなくて・・・・。
すでにお読みの方もいらっしゃると思いますが
『TS娘が親友♀をその気にさせて遊んでいたら、美味しく頂かれたお話』イラスト付き
http://ncode.syosetu.com/n8657eb/
こちらもよろしくお願いしますm(_ _)m
なんか続編期待する声が多かったので、ノクタでスゴイ亀更新ですが続きを出してみようかなと思っています。
「はい、あーんして♪」
「あ~~~ん」
口を閉じれば、差し出されたフォークの先に刺さっていた一口サイズのお肉から、ジューシーな肉汁が噛むたびに溢れ出す。 ウマウマ。
特に、エルフ耳白髪幼女で妹という至高の存在が手ずから口元へ運んでくれる、この最高のスパイスがより一層美味しくしてくれる。
「テティも、はい」
今度は交代して、ボクが至高の存在の口元へ料理を運ぶ。
「あ~~~ん♪」
「おいしい?」
「ぅん!」
ボクがテティから差し出されるご飯を食べる度に、テティがボクから差し出されるご飯を食べる度にテティの顔に笑顔が咲き誇る。
なんという至福の一時。 肌と肌の触れ合いも良いけれど、この様な時間も捨て難い。
「なんで、一緒に座ってはいけないのです!」
「どう見ても貴女が座る場所はないでしょ!」
「そうだね。 それに一緒に座りたいのは君だけではないのだよ、ジャスミール君」
などと雑音の様に近くのテーブルから話し声が聞こえてくるのは致し方なし。 当たり前だけど、食堂には多くの利用者が居るからね、仕方ないね。
「おねえ様、はいあ~~~ん♪」
「あ~~~ん」
「えへへへ♪ おねえ様、もっと食べて♪」
この部分、脳内で『おねえ様、テティをもっと食べて♪』に変換余裕でした。
“でもねテティさんや、もうお腹が……ウップ”
「おねえ様、お腹いっぱい?」
「うん、ごめんね」
ごめんよテティ、不甲斐ない胃袋を許しておくれ。
「あぁーーー私もあーんしたかったですわ。 貴女達が邪魔さえしなかったら!!!」
どうやら紫髪の先輩であるジャスミール先輩からしたら、ララノアとオザーキに邪魔されたせいで『あーん大会』に参加出来なかった事になっている様だ。 どう見ても周りの席は埋まっているから参加スペースないけどね。
「私だってエルスティアちゃんとテレスティアちゃんに、あーんしてあげたいです!」
「僕だって我が女神に、あーんしてあげたり、あーんされたりしたいに決まっているだろぉ!」
と心の叫びも聞こえてくる。
「我が家へご招待しようとしても邪魔をされますし…………こうなったらアナタ達、勝負ですわ! 私が勝ったらお2人を当家へ招待させてもらいます! …………そして姉妹の契りを(ボソッ」
「その勝負、受けてたとうではないか。 我が女神への愛の力で勝ってみせよう!!」
隣のテーブルがやけに盛り上がっているけど、よくあることだ。
「なら私が勝った暁には、お友達として私のお部屋に2人をご招待しちゃいます!」
「僕だって、勝利したら我が屋敷に招待させて貰い、精一杯の持て成しをさせて貰おうではないか!」
と、いつの間にかボク達を景品に勝負が行われることになった。 招待できる権利なだけで、断ることが出来るあたりが何とも可愛らしい。
こうして、第1回『双子姉妹、我が家へご招待権利争奪戦』が開催されることとなった。
授業はつつがなく終わり、勝負が行われる放課後へ突入。
勝負内容は魔術の上手さを競うようだ。
学年が違うので、どういった勝負をするかで迷ったようだが、下位魔術である9級のファイアーボールを発動させて、その発動速度や魔力の扱い方などを見て競い合う。
そして審判を任せられたのは、なぜか暇そうにしていた校長であり、担任でもあるリエルおばあ様。 そしてボクだ。
「エルスティアちゃんは教えるのもそうだけど、魔術を扱うのがとても上手なんですから!」
とララノアの発言と、それを後押しするリエルの一言により決まった。
勝負する所は武術や魔術の授業などでもお馴染みの運動場。 そこに置いてある的に向かってファイアーボールを放つのだ。 今回は公平を期すために杖等の道具はなしで行われる。
「それではこれより、第1回『双子姉妹、我が家へご招待権利争奪戦』を開始する! それでは4人とも準備はいいな?」
「「「「はい!」」」」
あれ? 4人? と思った人が居るかも知れないが、ボクもそう思っている。 なぜなのか分からないが、テティも参加をしているからだ。
「おねえ様、頑張るね!」
「がんばれー」
うん、可愛いからいいか。
「あれ? なんでテレスティアちゃんまで参加しているの? あれれ?」
とララノア1人だけ困惑し慌てている。
この勝負は、3人がやろうと言い出したことだが参加を制限していないせいで、テティがひょっこりと参加してしまったのだ。 ちなみに周りは、3人だけが勝負するものだと思っていたらしく、悔しそうに涙を流している。
3人の中でララノアだけがテティの実力を知っているので、あの慌て様は勝負の行方を心配をしているのもあるだろう。
「それでは、まず始めに学年の一番高いオザーキから。 はじめ!」
「手加減なしで行かせて貰おう。 ファイアーボール!!」
リエルの合図に合わせて、オザーキがかざす手の前に魔法陣が描かれると、そこからファイアーボールが放たれる。
初歩の魔術なだけあって、魔法陣による発動。 淀みない魔法陣の生成と無駄の無い魔力消費。
ッバン!!
ファイアーボールが的に直撃すると、爆発と共に煙が上がる。 発動の速さ、ファイアーボールの速度も申し分ない。
「うむ、流石学年の中でも優秀な成績を残しているだけのことはある。 奇をてらわず、基礎に忠実で素晴らしいファイアーボールだった。 8点!」
リエルの口から評価と点数が告げられる。 採点は10点満点であるから、なかなかの高得点だ。
ちなみに僕からの点数は―――――
「6点」
「おや、うちのお姫様はなかなかの辛口採点の様だ」
とリエルが漏らす。
仕方の無いことだ。 このあとの事を考えたら、基準値をこれぐらいにしておかないと点数に幅が出ないのだから。
「むむ、どうやら我が女神の採点は厳しいようだ」
「フフフフ、どうやらその様ですね」
「ジャスミール君。 君は自信がありそうだね?」
「えぇ、オザーキ先輩。 これでも私、魔術には少しばかし自信がありましてよ?」
そう言うと、今度はジャスミールが配置についた。
「次はジャスミールの番だな。 それでは……はじめ!」
「お行きなさい!」
ジャスミールが手を振るうと、瞬時に魔法陣が描かれてファイアーボールが発動する。 その数は3つ。
横一列になったそれは、中央はそのまま直進し、両サイドにあるファイアーボールが外側に膨らみカーブを描いて的に直撃した。
こちらも申し分ない技術が発揮された。 オザーキより速度は遅いものの、3つを同時に発動させ2つを別々の挙動をさせるという高度な技をやってのけたのは得点が高い。
「まさかここまで出来るとは、ゆくゆくが楽しみだ。 単調な軌道ではあるが、別々の軌道を取らせる事で目くらましにもなる。 この歳でここまで出来る者はそうそういないだろう。 9点!」
「うふふふふ。 ありがとうございます♪」
初級魔術なだけに応用が効き易いがリエルおばあ様の言う通りで、ジャスミール先輩の歳でこれだけ出来る人はこの学校でも何人も居ないだろう。
「7点」
「やりましたわ♪」
「ぐぬぬぬぬ」
「「「「「うぉおおおおおお!!」」」」」
ボクが点数を告げると、喜ぶ声と悔しがる声。 他の人のレベルを下に見て、スマートに格好良くやろうとした誰かさんが得点が低いのは、自業自得ということで。
周りの観客になっている生徒達からも驚きと歓喜の声が上がり、周囲のボルテージが上がっていくのを感じる。
「それでは次、ララノア!」
「はっはひ!」
意外とレベルの高かった2人に動揺しているのか、返事を噛むララノア。
最近の授業から、本来の力を出せればそれなりの点数が期待できるが、これではいつもの力は出せないだろう。 仕方ない、ちょっとお節介を焼きますか。
「ララノア」
呼ばれて、定位置に行こうとしているララノアを呼び止める。
「どっどうしたのエルスティアちゃん?」
よく見れば若干手が震えており、緊張しているのが丸分かりだ。
そんな震える手を掴み、僕は一言だけ言う。
「ララノアなら大丈夫」
自分の教え子でもあり、学校でも良くしてくれている。 だから、これぐらいしてあげても良いだろう。
「うん! がんばるね!!」
ボクの目論見通り、先程までの緊張なんて何処へやら。 そこには、元気よく返事を返すダークエルフの幼女の姿があった。
手を離すと、ララノアは小走りで定位置に向かう。
「それでは次、はじめ!」
ララノアが定位置に着くと、開始の合図が発せられる。
「はい! ファイアーーーーボーーーール!!!」
少し力んだ掛け声と共に、前の2人よりも大量の魔力が、ララノアがかざす手の平にある魔法陣へと流れ込む。
そして出てきたのは、今まで放たれたモノよりも直径で3倍はある大きさのファイアーボール。 今までのがバスケットボール程だったが、バランスボール程はあると思われるソレが的に命中する。
ドッカーーーーン!!
的を破壊した余波である爆風が、僕たちの髪を揺らす。 的は爆発により木っ端微塵になっている。
速度も威力も上々。
「これは素晴らしい。 これだけの威力があれば実戦でも活躍出来るだろう。 発動も、その後のファイアーボールの速度も申し分ない。 9点」
とリエルからは、なかなかの高評価。
「7点」
「「「「「うぉおおおおおおおおおお!!!!」」」」」
ボクからもジャスミールと同等の点数が言い渡された瞬間、周囲はさらなる興奮の渦へ。
なぜ、リエルもボクも同じ点数だったのか。 それは技術としては、どちらも同じぐらいの力量が必要なのだ。
ジャスミールは発動後の魔力の操作という点で点数が高く付けられ、ララノアは魔術に規定値ギリギリまで魔力制御して注ぎ込み、それを維持する技術を評価されたのだ。
もし、さらに細かく採点するならば、複数の魔術を操作したジャスミールの方が得点は高くなるだろう。
「やった! やったよエルスティアちゃん!!」
とジャンプして全身で喜びを表しているダークエルフ幼女カワユス。
「ララノアちゃんスゴーーーーイ!」
「流石副隊長!!」
と、ほとんど観客と化している親衛隊達からも喜びの声が上がる。
「むーーーー。 次はテティの番だからね。 見ててねおねえ様♪」
少し拗ねたような表情をしたが、直ぐに笑顔になって定位置に向かうテティ。 少し嫉妬させてしまったかな?
「それでは最後、テレスティア。 はじめ!」
リエルの合図と共に、テティからララノアよりも多い魔力が発せられる。
「えい♪」
テティがそんな可愛らしい掛け声を出した後、先程までの的とは別の的に、その頭上3メートル程上を取り囲むようにして10個の魔法陣が展開され、一斉にビーチボール程のファイアーボールが降り注いだ。
既に魔術を発動し終わり、後ろに居るボク達の方へ振り向くテティ。
ッドゴォォォォォォォォォン!!
微笑む幼女の後ろには、先程よりも大きい爆発。 そして爆風により強く白髪をなびかせる可憐な幼女の姿があった。
“テティたそ、マジパネー”
流石、我が家のテティ。 軽く本気をだしたらこれぐらい、おちゃのこさいさいだ。
「さっさすがだな。 これは10点では収まらないが、文句無しの満点だ!」
「うん、10点」
テティがここまでやらかすとは思っていなかったのか、若干引きつっているリエル。
ボクもまさか、ここまでの事をやるとは思ってもいなかった。 ララノアに対抗意識を燃やしたのかな。 もう少し控えめかと思っての点数配分だったが、どうやらそれ以上の結果となってしまった。
「うぅ……やっぱりテレスティアちゃん凄すぎるよ…………」
「なんと…………妹君までこれ程とは。 流石だ」
「あんなに可愛くて、尚且つこんなにスゴイだなんて………………完敗ですわ」
こうして第1回『双子姉妹、我が家へご招待権利争奪戦』はテティの勝利で終わった。
“あれ? これどうなるの”
テティマジパネェ
あとファンアートを頂きました!
活動報告に載せてありますのでよかったら見てくださいm(_ _)m
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