告白とキス
「私ね、ケイのこと、好きだよ。この世界に来て、女の子になって、本当にいろいろなことがあったけど。今の私は、異性として、ケイのことが、好き、です」
突然のサツキの告白に、俺はとても驚いた。
サツキが俺のことを、親友じゃない意味で好きだとは思っていなかったからだ。
むしろ嫌われていてもおかしくないとすら思っていた。
酷いことをしている自覚はある。
未だに奴隷の状態にしてるし、ドラゴンの血のせいとはいえ無理やり襲ったりしているし。
それでもついてきてくれているのは、親友だからということと、サツキ自身に身を守る力がないから、身を守る盾のように利用しているぐらいに考えていた。
俺はそれでも構わなかったし、それでもサツキを守るつもりではいる。
もちろんいちゃいちゃしたいとか、ヤりたいとか下心だってないわけじゃない。
けれど、それで嫌われるのは、もっと嫌だった。
ここ最近そういうことをしていなかったのは、忙しい以上に俺がサツキに嫌われることを恐れていたからだ。
「……ケイ。何か言ってくれないと、私が困るんだけど……」
「あ、あぁ!悪い……」
サツキの方を見れば、いつも以上に顔を赤くさせて、しきりに手を動かしてもじもじとしている。
やっぱり、告白って恥ずかしいよな。
俺は告白なんてしたことなかったけれど、マンガとかだと恥ずかしそうにしてるもんな。
サツキも、俺が知る限りは告白とかしたことなかったはずだ。
っていうことは俺に対してが初告白になるのか。いいのかそれで、いいのかそれで。
「……だから、ケイ」
「えっと、うん」
えっとなんだっけ。
サツキの告白の返事、だっけ?
俺はサツキのことをどう思っているのか。
好き、だよな。うん、好きだ。
好きじゃなかったら、襲ったりとかしないはずだし。
ドラゴンの襲撃の時だって、サフィが近くにいたのに、わざわざサツキのとこまでいったんだし。
サツキを見る。
相変わらずもじもじしたままで、俺の返事を待っている。
俺はサツキに聞く。
「えーっと……いつから、だったんだ?」
「いつからって言われても、……気付いた時にはもう、好き、だった、し」
好きって言うたびにサツキの顔が真っ赤になっていく。俯いているからよく見えないけれど、かわいい。
そうか、かわいいんだ。
こっちにきてから、ずっとサツキのことをかわいいと思っている。
前の世界だったら、女の子にかわいいとか思ったりなんて、そんなことはなかった。
サツキの笑顔がかわいい。
照れているサツキがかわいい。
料理を作るサツキがかわいい。
景色を見てはしゃぐサツキがかわいい。
俺を心配してくれているサツキがかわいい。
これは、好きってことだよな。
サツキ以外には感じない感情だし。
けど、
「サツキは、それでいいのか?男に戻りたいとか、ないのか?」
そう言うと、サツキは頬を膨らませて言った。
「今さらだし、ケイが私をこんな風にさせたんだからね。その責任は、とってもらいたいな」
……はは、そっか。そうだよな。
俺がサツキをこんな風に変えたんだよな。
けれど、俺もサツキに変えられた。こんな気持ちにさせられるのはサツキだけだ。
「じゃあ、責任はとらないとな」
「それって、んっ、!」
俺はサツキの顔に自分の顔を近づけて、そのまま唇を重ねた。
ほんの一瞬、唇と唇とが触れ合う。サツキの唇は、すごく、柔らかかった。
さっきまでサツキが食べていた、スイカの味がする。甘い。
サツキは目をパチクリさせて驚いている。
「……これが、答えってことじゃ、ダメか?」
俺は頰をかきながら言った。
したかったから、勢いに任せてやってしまったけれど、これ普通に返事するより恥ずかしい気がする。気がするんじゃなくて恥ずかしいわ。なんでやっちまったかな俺。
サツキが固まったまま動かない。
あんまり反応ないと、俺がすごく恥ずかしくなるんですけれど。って俺がさっきまでやっていたことか。とんだブーメランだ。
どうしたものかと空を見上げると、袖を引っ張られる。
「……今のじゃわからなかったから、その、……もう一回」
上目遣いでそう言った後、目を閉じて顔をこちらに向けてきた。
すっごくかわいいその行動に、俺は不意を打たれたけれど。
今度はサツキの肩に手を置いて、自分の唇をサツキの唇に重ねた。
サツキの肩が、ビクッと震えた。
今度はさっきよりも、長く、長く。
実際には10秒ぐらいしかたっていないけれど。何十分、何時間も唇を重ねたように感じた。
さっきと同じことを言うが、サツキの唇は、とても、柔らかかった。
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