表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
TS奴隷になった親友と、俺は今日もいちゃいちゃする。  作者: ときひな
聖女と呼ばれる親友と、俺はもっといちゃいちゃしたい。
43/50

どうにもならないほど、ケイのことが好きだから


カラン、コロン。

カラン、コロン、ぐらっ。


「っと、大丈夫か?サツキ」

「うん、ありがとう。……また転びそうだから手、繋いでもいい?」

「っ、ああ、いいぞ」


ケイが珍しく照れている。上目づかいが効いたのだろうか。我ながらそういう仕草が上手くなったと思う。

私とケイはリシティアの首都、クリシアを2人で歩いていた。

私の足元でカランコロンとなっているのは、履いているのがいつものブーツではなくて、下駄だからだ。

着ているのも浴衣であり、白に近い薄ピンクの生地に、強いピンクの朝顔が散りばめられた、色鮮やかなものだ。

ちなみにクラウディアさんから借りたものである。つくづくこの国は、日本の文化に似ているものが多いらしい。

とはいえ私もこういった色のものにも、もう全然抵抗がなくなった。

というか浴衣ってかわいいんです。かわいいったらかわいいんです。

自分で言ってて恥ずかしくなってきたけど、そんなにかわいいものならやっぱりケイに見てもらわないとね。


「ねぇ、浴衣、どうかな」

「いや、うん。似合ってる。かわいい」


ふふっ。ケイにかわいいって言われた。

あとは、チャンスを待って、告白だ。

せっかくエリザさんたちも協力してくれているんだし、ばっちり決めないとね。

カラン、コロン。カラン、コロン。

下駄のせいか浴衣のせいか、ちょこちょこと歩く私。

ケイは、普段ならもっと歩幅が大きいから早く歩けるはずなのに、私に合わせてゆっくり歩いてくれている。


「……どっかで休むか?履き慣れないから、疲れただろ?」

「ううん、大丈夫だよ」


笑顔で返して、ちょっと強がってみる。

本当は、少し疲れて、足も痛い。

ふと見上げると、店先にベンチの置いてある、お団子屋さん?のような店が見えた。この国には、昔本当に日本から、それも時代劇オタクのような人がいたんじゃないかと思う。

そこのベンチにケイが突然腰掛けた。


「ケイ?どうしたの?」

「いや、疲れたし。なんかこの店美味そうなもんありそうだから、寄って行こうぜ」


疲れたとか、嘘ばっかり。


「はぁ、しょうがないなぁ。疲れたなら、しょうがないなぁ」


なんて、そのまま乗っかってあげてみたり。

ケイもいじわるな顔をしながら言った。


「おう、悪いな。すみませーん!お茶と団子2つずつー!」


出てきたのは、みたらし団子だった。

美味しかったけれど、浴衣にタレがつかないようにするのが大変だった。

食べ終わってから、ケイとまた2人歩く。

しばらく歩けば、がやがやとした雰囲気が見えてくる。


「あれ、だな」

「うん、そうみたいだね」


着いたのは、大きな広場というか、公園というか。そこに街の人が集まって、出店をつくったり、ただ集まって話していたり、お祭りの準備に追われていたりしていた。

その中の何人かがこちらに気づく。


「おお、聖女様だ!」

「なんだって!?聖女様だってのかい!?」

「隣にいるのは英雄様じゃねーのか!?」

「あのドラゴンスレイヤーの!?」


と言って私たちの周りに集まってきた。


「聖女様のように祈ったら、今月の漁はいつもよりも魚がとれたよ」

「畑で作ったスイカ、甘いから食っていってくれ」

「祈ったおかげで彼女ができました!」

「英雄様、握手してください!」


集まっていろいろなことを言ってくる彼らの対応に私たちは追われた。

様々な反応を示す彼ら。

アイドルでも見るかのように熱狂的なもの。親戚のように何かをくれるもの。感謝の言葉を述べるもの。

私自身が彼らに何かしたわけではないけれど、彼らは私を求めている。聖女という、祈りの対象を求めている。

それであるならば、私は。

しばらく経つと、彼らはお祭りの準備に戻っていった。

用意されたベンチにケイと2人腰掛ける。


「なんか、すごかったな」

「うん、いろいろもらっちゃったね」


私たちの手元には、お祭りで売るのであろう、料理や、装飾品などいろいろ持たされていた。

私はもらったスイカを食べた。甘くて、美味しい。


「こんなに、どうすんだよ……」

「あはは、みんなにお土産にするしかないかな」


食べながら、適当に話をする。

1つ決めたことがある。ケイにはすぐに聞いて欲しかった。


「ねぇ、ケイ」

「どうした?」

「教会、この国に置こうかと思う」

「……いいんじゃねーの」


意外なことに、ケイはすんなりと肯定した。

ケイのことだから、クラウディアさんのことを嫌って、もっと反対するかと思ってた。


「俺も、さっきの人たち見てたら、あったほうがいいなって思えたからさ。国のお偉いさんの考えはわかんねーけど、それでこの国のみんなが困るのは違うなってな」

「うん……私も、同じ考え」

「それにしても、どうしてこんなに大事になってまったかなぁ」

「ケイが英雄だなんて呼ばれてるのが悪い」

「サツキが聖女なんて呼ばれてる方が悪いだろ」


2人で顔を見合わせて、クスッと笑う。

今なら、言える気がする。


「ケイ、あのね」

「どうした?」

「私ね、ケイのこと、好きだよ。この世界に来て、女の子になって、本当にいろいろなことがあったけど。今の私は、異性として、ケイのことが、好き、です」


昨日の夜投稿予定が、寝落ちしてこんな時間に……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

☆ 新連載始まりました!☆

『ようじょ・はーと・おんらいん!』

同僚から誘われたそのVRMMOゲームの中で、様々な出会い、友達と遊び、色々なことを経験する。

『自分自身が幼女となって、懐かしのおもちゃや遊具で遊びまわる。子どもの頃の心を取り戻そう!』

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ