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TS奴隷になった親友と、俺は今日もいちゃいちゃする。  作者: ときひな
聖女と呼ばれる親友と、俺はもっといちゃいちゃしたい。
30/50

日常とドラゴン


あのドラゴンが襲いかかってきた日から、2ヶ月が経った。

王都はかなりの打撃を受けたが、それは主に建物であり、人的な被害が少なかったのはまぁいいことだ。

俺もしばらくの間、街の復興の手伝いに勤しんだが、今ではもう、以前のように街は機能している。

ほとんど元通りと言っても良かった。まだ、少し壊れている建物もあるけれど、ほとんど元通りだ。

今回の件で、王のおっさんから、またも褒賞をもらってしまった。いらないと一度は断ったが、また押し切られてしまった。

前にも貰った、白金貨だ。だから、ぽんと出していいものじゃないんだってば。

まぁ、家や家具で金もなくなってきてたし、ありがたく受け取っておくことにした。

そんなこんなで、大事件に巻き込まれた俺たちだったが、その後の処理を済ませて、つい数日前にリンデルの街の、俺たちの家に帰ってきた。

俺の生活は変わらない。

いつものように、適当にモンスターを狩って、その日の稼ぎにしたり、食料にしたり、疲れた時は家でだらだらして、サツキといちゃいちゃして、そんな日々を過ごしていた。

変わったことといえば、サツキが仕事をするようになったことか。

まぁ近所だし、送り迎えもするし、職場にエリザもいるし、心配することは何にもないわけだけど。


暇だ。


いちゃいちゃしてたいんですけど。

サツキが働かなくても、金は山ほどあるんですけど。

でもサツキがやりたいって言ったし、王のおっさんから直々の指名だし。

あんまり逆らうとよくはないので、大人しく従っているけど。

暇なものは暇なのだ。

大きなベットで1人ごろごろぐだぐだしていると、外から轟音が。

ばっさばっさと風を唸らせる翼の音。ぐおおおおと吠えるような声。


「ぬし様やー、遊びにきたでありんすよー!」


その後に聞こえる、女性の声。

でたでたでた。

呼んでもないのにやってきたよ。


「サフィ、ドラゴンの姿でやってくるのはやめてくれ、五月蝿いから」

「あぁん、ぬし様はいけずでありんすなぁ」


古風な喋り方に似合わない、ブルーカラーの豪華なドレスを身に纏ったそいつは、呼んでもないのに家にやってきた。

顔だけ見れば美人なんだよなぁ。

ドレスと同じ色の青い、青い長い髪から覗かせる、2本のツノ。

目の奥をよく見れば、トカゲのようなギョロッとした目をしている。

それでいて遠目から見れば美人。

あの時に現れた、青い鱗のドラゴンが、人に化けた姿だ。

あの青いドラゴンは、何かにつけて、俺たちのところへとやってくる。

呼び名がなくて不便だと言ったら、好きに名付けてほしいと言われたので、ドラゴンの時の青い鱗の美しさが宝石のようだったから、サファイア、と呼ぶようにした。今では縮めてサフィと呼んでいる。

何が楽しいのか、俺たちの家に押しかけてきては、勝手にお茶を作って飲み、夜まで居座って、サツキの作る飯を食っては、どこへ行くのか帰っていくのだ。

何が目的かわからんが、害はないので放っておいている。目的はわからないけれど、必ずサツキの飯は食ってくから、飯が目的なのかとも思う。

危険生物を監視できていると思えば、いいのか。まるで猛獣の世話係だ。おっさんから給料とってやろうか。

俺は、ベットから起き上がり、リビングへ向かい、サフィを迎い入れる。

当たり前のように、サフィは家の中へと入ってくる。

テーブルを囲うように置かれたイスの内のひとつを、何故か自分の席だと主張し、必ずそこにサフィは座る。

俺はソファーに寝っ転がった。まだまだ眠いのだ。


「聖女は今日も仕事かえ?」

「そうだよ。誰かのせいでできた仕事だよ」

「はて、誰のことでありんしょうか」


軽口を叩き合い、その後は各々自由に過ごす。

こいつが来るようになってから、家の中も変わった。

とりあえず、マグカップやティーカップが4つそれぞれの専用のがあることか。

緑が俺、黄色がサツキ、ピンクがエリザ、青がサフィ。

エリザもしょっちゅう泊まりにくるから、2回の客室が半分エリザの部屋状態だ。

サフィはほぼ毎日来ては勝手にお茶飲んで行くから、専用カップを用意してやった。

サツキとエリザは日中は仕事でいないから、必然的に俺とサフィが一緒になることが多い。不本意ながら、よく一緒になってしまうのだ。

とはいえ何をするわけでもない。もちろんナニもしない。

サフィはその豊満な胸で誘ってくるときもあるが。丁重にお断りだ。俺はサツキ以外とナニかするつもりはない。

それ以外には、本当に何もない。

ただただ、静かに時間だけが流れていく。

暇なので、そこに置いてあった本を取る。

栞が挟んであるそれは、サツキが読みかけにしていた、なにかの小説だ。

ぱらぱらっと触りだけ読み進んでいく。

あれ、意外と面白いかも?推理物なのか、途中で密室殺人が起きた。ファンタジー世界にも推理小説ってあるのか……。

そんなに小説なんか読まなかった俺だけど、この世界には、こんなものぐらいしか娯楽がない。

なにもない、静かな時間が続く。

こういうのも、悪くない。


「ぬし様」

「ん?どうした」


サフィが急に話しかけてくる。

こういう時に話しかけてくるのは珍しいので、何事かと話を聞く。

青いドラゴン様は、心底真面目な口調でこう言った。


「茶請けがなくなったので、次に来るときには補充しておくんなし」

「てめーで買って持ってこい」


すごく、どうでもいい内容だった。

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☆ 新連載始まりました!☆

『ようじょ・はーと・おんらいん!』

同僚から誘われたそのVRMMOゲームの中で、様々な出会い、友達と遊び、色々なことを経験する。

『自分自身が幼女となって、懐かしのおもちゃや遊具で遊びまわる。子どもの頃の心を取り戻そう!』

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