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TS奴隷になった親友と、俺は今日もいちゃいちゃする。  作者: ときひな
奴隷になった親友と、俺は今日もいちゃいちゃする。
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くだらないケンカと変わらない関係


「じゃあ、私はここで。ケイさん、服、ありがとうございます」

「いや、これぐらいなんてこと」


ライラさんは別に用事があるらしく、ここで別れることになった。

長い時間付き合わせて悪かったかな。

1番時間使ったのは服を選んでる時だから、あんまり気にしなくてもいいか。

ライラさんがサツキに何か耳打ちしている。


「ちがっ!違うから!」


サツキは顔を赤面させて、何かを否定していた。

じゃあね、とライラさんはその場を去っていった。

いなくなった後に、俺はサツキに聞いてみた。


「なぁ、ライラさんになんて言われたんだ?」

「……なんでもないっ」


サツキは逃げるように、少し小走りで先に行ってしまった。

俺はサツキを見失わないように、後をついていった。


「……後ってなんか買うものあったか?」


サツキが不意に聞いてきた。


「家で使う食器とか、日用品とか?家具はまた今度でいいか、服屋で結構時間使ったし」

「……家?」

「え、お前話聞いてなかったの?」


サツキが何言ってんだこいつと言った顔をしている。

俺も話聞いてなかったのかよという顔をしてやる。


「家買ったなんて言ってないだろ」

「いや、朝に言ったし。『新居で必要な物を買う』って言ったしな?」

「いや言ってない」

「言った」

「言ってない」

「言ってない」

「言った……あ」


くだらない言い合いをする。

10回ゲームの要領で、言ったって言わせてやった。ピザピザピザ……みたいなやつ。


「ふざけんなっ、もう知らん!」


サツキはプンスカと怒って、大股で歩き始めた。

すぐやめてたけど。わざと歩幅変えるのって疲れるよな。

俺はさらっとサツキの横を陣取った。

お互いに無言で歩き出した。

どちらからも何も言わなかった。

しばらくしてからどちらからとも無く、


「ごめん」

「ごめん」


2人で同時に謝った。

タイミングがピッタリで、2人で笑い出す。


「あははっ、前もこんなことあったよな」

「あぁ、なんだっけ、サツキの家に遊びに行って、買ってきたお菓子を俺が全部食べた時だっけ?」

「それもだし、小学生の時の遠足の弁当のハンバーグとか」

「あぁ、あったあった」

「ケンカ、いっぱいしたよな」

「あぁ、いっぱいした」


歩きながら、思い出話を話し始める。

俺たちは親友だけど、割としょっちゅうケンカした。

小さいことでも、大きなことでも。

なんでもないことでもケンカして、すぐ仲直りした。

昔からそうだった。

今だって、変わらない。

皐月がサツキになったって、俺たちは、変わらない。本質は、変わらない。

俺たちは、親友だ。


「1ヶ月前のこと、怒ってるか?」


サツキはそう聞いてきた。

俺は答える。


「怒ってるね。逃げた挙句、奴隷とかになってるんだから」


サツキのアホな行動に、俺は怒っている。今も、変わらずに。

だけど、


「お前も怒ってるだろ?無理やりしたこと」


サツキに問いかけた。

サツキは答えた。


「当たり前だ、バカ。2回もやりやがって」


サツキはほおを膨らまして怒った。

かわいい。

確かに無理やり奴隷具を使ってやったのは悪かったと思う。反省してないけど。


「でも、最初に逃げたのは『私』だから、許してやるよ。これでちゃらってことで」


サツキは笑顔でそう言った。

その笑顔は、全然、まったく似ていないのに、元の世界の親友にそっくりだった。


「そういうわけで、これ、どうにかならない?」


サツキは、首についた奴隷具(チョーカー)を指してそう言った。

俺は笑顔で返してやった。


「逃げたことと、無理やりしたことで等価だから、金貨30枚は返せよ」

「くそっ、やっぱりダメか」


サツキもダメなことをわかっていたようだった。

見た目が変わっても、姿が変わっても、性別が変わっても、関係を持ったとしても、奴隷と主人になったとしても。

俺たちは、親友だ。今でも変わらなかった。これからも変わらない。

2人でくっくと笑いながら、町を歩いた。


雑貨屋に入ると、日用品を適当に選んでいく。

俺はあるものを見つけて、サツキを呼んだ。


「サツキ、サツキ。これ、どっちがいい?」


俺が手に取ったのはマグカップだ。

ピンクのマグカップと、猫の柄がついたマグカップをサツキに見せた。

どっちを持っていても、サツキによく似合ってると思う。

これにコーヒーを、って前も同じこと考えた気がする。


「……ちなみに、誰が使うの?」

「もちろんサツキ」

「これで」


サツキは棚から、ピンクのと同じデザインの黄色のマグカップを俺が持つカゴに入れた。

俺はそれをそっと戻して、ピンクのをカゴに入れた。


「ふざけんな!黄色の入れただろっ!」

「いや、絶対こっちのがいいし」


俺は自分が使う用の、青いマグカップをカゴに入れた。

うん、お揃いっていいね。

お揃いのマグカップでコーヒーを飲む。いいね。


「じゃあ、譲歩だ。ピンクのと黄色の、両方買ってくれ。気分で使い分ける」

「ふふん、俺がそんな手に引っかかるとでも?」


どうせ黄色しか使わないつもりなんだろう?


俺はピンクと黄色、両方買った。

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☆ 新連載始まりました!☆

『ようじょ・はーと・おんらいん!』

同僚から誘われたそのVRMMOゲームの中で、様々な出会い、友達と遊び、色々なことを経験する。

『自分自身が幼女となって、懐かしのおもちゃや遊具で遊びまわる。子どもの頃の心を取り戻そう!』

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