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第49話:虎牢関の悲劇

第4次虎牢関攻防戦で袁紹軍の信じられない光景を目の当たりにする。


袁紹による虎牢関攻撃が開始されてから3日、俺達は高台から戦局を伺っていたが袁紹軍は無駄に戦力を損失させるだけで攻略どころか近付くことさえままならなかった。

一度目の袁紹自らが指揮する攻撃は海兵隊の地雷と濃密な銃撃、華雄と張遼による出陣で簡単に撃退。


二度目は眭元進・韓莒子・呂威璜・趙叡という袁紹軍の四将が指揮を任されて出陣したが、袁紹と同じく突撃しかしない行動で二度も同じ罠に罹っただけではなく、恐らくライルさんが考えたと思われる粉塵爆発を利用した落とし穴により四将全員が討死。


三度目は流石に戦術を変えたようで、今度は袁紹の腹心である文醜と顔良が指揮をする投石機や衝車、雲霆等の攻城兵器を多数使用した攻城作戦で挑んだようだ。

しかし向こうから見れば所詮は化石のような兵器で海兵隊が使うロケットランチャーやミサイルが登場して全ての攻城兵器が破壊された。


俺達だけじゃなく孫策や曹操、白蓮や馬騰達も見ていたが全員が袁紹の失敗は予想していたようで眼中になく、逆に未知なる兵器と戦術で瞬く間に撃退した董卓軍と海兵隊に感心がいっていた。


そしてまた袁紹自らが指揮をする第4次虎牢関攻防戦が開始されようとしていた。


「ご主人様、どうやら袁紹が再び指揮をするようです」

「あぁ、見えてるよ愛紗。それにここにいても微かにあのうざったい声が聞こえて来てるしね」

「はにゃ〜……あんな煩い笑い声は鈴々も勘弁なのだ」


隣にいる愛紗と鈴々も俺と同じく袁紹の最悪な印象を口にする。


「けど今度は上手くいくのかな?何でも袁紹は全戦力を持って攻め込むつもりみたいだよ?」

「悪いが袁紹じゃ虎牢関突破なんて何年掛かっても出来ないよ」

「それは……まぁ聞かなくても解るけどどうしてなんだい一刀君?」

「まずは練度の違いだね。董卓軍は敵ながらいい将に恵まれてるし、何よりも向こうには名将の張遼や華雄に呂布。おまけに海兵隊がいる。一般兵も精強揃いで鍛錬を怠る袁紹軍の雑兵じゃ敵う筈がない」

「それに士気の高さもあります。董卓軍はあまり目立った損害が無い上に袁紹軍を既に3回も退かせています………対して袁紹軍の士気はかなり低くなっているともいえます」

「そうだね朱里」


右斜め前にいる朱里が補足を口にし、的確であったのでご褒美代わりに頭を撫でてあげる。

いつものように‘‘はわわ”となりながら少し嬉しそうになるので、周りを非常に和ませてくれる。そんな状況に周囲の偵察に出ていた星と志義が帰って来た。


「主、ただいま戻りました」

「ご苦労様。それでどうだった?」

「あぁ、董卓軍に伏兵の動きは見当たらなかった。けど城壁に弓兵部隊が確認されたから敵は迎撃の構えを見せるつもりだよ」

「あわわ……傭兵部隊はどうでしたか?」

「ふむ……どうやら奴等は出陣の用意をしておるようだが、そこまで詳しくは……」

「そうか………ありがとうね星、志義」


素直に礼をいう。特に星はご褒美が欲しいようで目を閉じて顔を少し前に出して来たが、俺は彼女の額を軽く突っついた。星は少し不満そうだったが満更でもないようだ。


しかしすぐに振り向かないで気配を探ると、それを当たり前のように俺の影である刹那が音を立てずに現れる。


「刹那」

「ここにいる」

「袁紹軍の方はどうだった?」

「あぁ………袁紹軍はなにか別の手段を用いるようだ。6つの布袋に柱が前衛に持ち込まれるのを確認した」

「6つの布袋に柱……その指揮をしてるのは?」

「蒋奇という文官らしい」


蒋奇は名前だけなら知っているが、確か張遼に討ち取られたとされている。

そんなことを考えていると袁紹軍の前衛に動きが見られた。


「どうやら……袁紹軍が動き出したようです」

「ですが……なんだか今までと様子が違うようです」

「あぁ……今までの袁紹軍なら突っ込む処なのにな……なにか立てたようだ」


前衛に何かを立てたようでそれを目を凝らして伺うと、徐々に見えて来たがその光景に言葉を失った。


「ご……ご主人様⁉︎あ…あれは⁉︎」

「ニャニャ⁉︎なんなのだ⁉︎」

「はわわ⁉︎」

「あわわ⁉︎」

「……下衆が」

「なんてことを………人のやることじゃない⁉︎」

「……………」


俺達は袁紹軍がやった策に言葉を失った。奴等が立てたのは死んだ董卓軍兵士の死体を貼り付けにした柱6本。

死体を見せつけて敵に動揺を誘うことが狙いだろうが、誇りや勇気を振り絞って死んでいった兵士をあんな扱いにするなんて武人や人として信じられないことだ。


「これが………奴の正義か……」


こんなのは正義ではない。‘‘まさしく悪”だ。すると袁紹軍兵士はそれに追い打ちを掛けるように死体の両手両足と首を斬り落とした。

それを見て俺は神龍双牙を手にし、本幕へと歩き出す。


「………愛紗……指揮を任せるよ」

「ご主人様⁉︎」

「北郷……」

「刹那……袁紹軍に忍び込んで蒋奇を暗殺しろ……そして奴の首を斬り落として袁紹の天幕に投げ込むんだ」

「承知」


俺は初めて刹那に暗殺命令を下した。刹那は戸惑うことなく命令を実行するためにその場から姿を消した。


「朱里……雛里。劉天牙を何時でも動かせるようにしておいて。場合で袁紹を奴の背後から仕掛ける」

「「ぎ……御意⁉︎」」

「星と志義は陣営内にいる袁紹の間者を探し出して1人も残さず片付けて……一切の情けは無用」

「御意」

「任せてくれ」

「鈴々は桃香の護衛を……万一に備えて袁紹軍が報復に来たら問答無用で叩き潰していいよ」

「ガッテンなのだ‼︎」


全員に役目を指示すると俺は怒り心頭で袁紹軍陣地に向かう。あの女が屑だということは理解していたつもりだが、あそこまで落ちぶれているとは思わなかった。

場合によればあの女を殺して連合から離脱し、董卓軍に加勢することにする。俺はそう考えながら本陣へと歩き出すのだった……………。



虎牢関の悲劇。これに一刀は深く怒りを覚える。そして指示をした蒋奇を抹殺する為に刹那率いる焔陣営も袁紹軍内部に侵入する。


次回‘‘真・恋姫†無双 二筋の刀を持つ御遣い”

[影からの鉄槌]

怒りの刃、愚将の取り巻きに鉄槌を振るう。



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