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策を覆せ

無事に合流を果たした一刀。王叡を討つために罠を突破していき奴を追い詰める。


作戦通り無事に味方本隊に合図を送った。こんどはこっちの反撃開始ということとなり、俺は高順との一騎打ちの後に中庭に飛び降り、甲牙と共に迫り来る敵兵を次々と薙ぎ払っていった。

そして朱里達による策で正門が衝車により破壊され、そこから愛紗達が突撃を開始した。


「ご主人様‼︎」

「お兄ちゃん‼︎無事かなのだ‼︎」

「俺は大丈夫だ‼︎それよりも甲牙が‼︎」

「へへっ‼︎こんなの擦り傷程度ですぜ旦那‼︎」


俺が少し遅れたばかりに甲牙の背中には数本の弓矢が突き刺さっていた。幸いにも身体に巻いてあった鎖により防がれて大事には至らなかったが、それでも家族を傷つけられてしまったというのには変わりない。


「はわわっ‼︎甲牙さんを安全な場所に運んで下さい‼︎」

「私達が治療します」

「大丈夫だって朱里‼︎雛里‼︎こんなの唾つけときゃ直るって‼︎」

「ちょっと‼︎なに強がってんのよ⁉︎この筋肉岩‼︎」

「ちょっ⁉︎なにしやがんだよ蒼蓮⁉︎」

「いいから早く後ろに下がりなさいよね‼︎けが人がいたんじゃ落ちついて戦えないんだからね‼︎」

「わっ…わーったわーったよ‼︎おとなしく下がるから脛を蹴るんじゃねぇって⁉︎」


蒼蓮に脛を蹴られながらよいやく甲牙が渋々ながらも下がり始める。


「全く‼︎あの筋肉バカには本当に疲れるわね……」

「はははっ……ありがとうね蒼蓮」

「どう致しまして御遣い様♪」

「ご主人様、桃香様は既に桜達の護衛を受けて本陣への帰途につかれました」

「ありがとうね愛紗………さてと………次はこっちの番だ‼︎甲牙に怪我を負わせた奴等に千倍返ししてやろう‼︎」

「御意‼︎我等の主を亡き者にしようとした愚か者に鉄槌を下してやります‼︎」

「鈴々があんな奴やっつけてやるのだ‼︎」

「甲牙は私の大事な家族だからね‼︎ぜったいに許せないわよ‼︎ギッタンギッタンにしてやるんだから‼︎」

「朱里、雛里。策は?」

「はい、こちらは奇襲ですので兵力では劣ります。しかし要所を抑えれば後は楽に制圧できます」

「ご主人様は暫く敵の目を引きつけて下さい。その間に愛紗さんは南東にある兵舎。鈴々ちゃんは兵糧庫。蒼蓮ちゃんは武器庫を制圧してください。甥の王祥が向かって来ているようですが、既に志義さんと暖照さんを伏兵として待機させてますから、この城の制圧に専念してもらって大丈夫です」

「分かったよ‼︎じゃあみんな‼︎頼んだ‼︎」

『御意(分かったなのだ‼︎)‼︎』


それぞれの役割を実施する為に各人が一斉に制圧する箇所に向かう。兵力差がある戦では寡兵にて敵の要所である武器庫、兵糧庫、兵舎の3つを制圧するのが常套だ。


王叡は文官であるが軍師ではない。加えて小者だから俺が向かって来ると知ったら間違いなく兵力全てを俺に向けてくる筈だ。


だけど囮である俺にとって好都合だし、なによりも甲牙を傷つけられているのでその報復も兼ねて久々に大暴れしてやりたい。


目の前の建物前にいた敵集団に狙いを定めて飛び上がると抜刀の姿勢を構えた。


「悪いけど………手加減は出来ないぞ‼︎」


そういいながら北郷流二刀心眼術‘‘斬月”を放つ。固定方角への直進攻撃に主眼を置いた技で、ギロチンみたいに一箇所に突き進むから切れ味は抜群だ。

氣で出来た三日月状の斬氣は触れた敵兵の身体を切断していき、壁に当たって消えるまでに10人弱の身体を真っ二つにした。

そして出来た隙間に飛び込むと逆手に構える。


「北郷流二刀心眼術‘‘神無月”‼︎」


多方面同時斬撃である神無月を見舞う。

神無月ならば囲まれた状況に対しても瞬く間に制圧が可能な技なので、建物前にいた敵兵ほものの数秒で壊滅させられた。


「はっ‼︎」

「なっ⁉︎なんだ⁉︎」

「くそっ⁉︎このガキ⁉︎まだ生きて…ギャッ⁉︎」


そして扉を蹴破ったと同時に駆け出し、すれ違い様に敵を次々と斬り伏せていく。

廊下を進むにつれて敵の数が多くなっていくが、確実に他の場所の兵力がこちらに回って来ているのだろう。


だったらもっと引きつけて仕留めていき、直進して王叡の野郎を斬り倒してやる。


「くそっ⁉︎ガキ1人になに手こずってやがんだ⁉︎」

「床の仕掛けを起動させろ‼︎あいつを串刺しにしてやれ‼︎」


なにやら仕掛けを起動させたみたいであり、床から複数の槍が勢いよくでたり引っ込んだりしている。どうやら不意打ちの罠らしいが先に出現させたら意味がない。

だから近くにあった適当な柱を切断し、罠に覆い被さるようにした。


「罠はそれだけじゃねぇんだよ‼︎丸焼きにしてやれ‼︎」


床の罠を取り除いた直後に今度は火を吐く仕掛けだが所詮は子供騙しの罠だ。俺は壁を蹴りながら天井に張り付き、そのまま一気に蹴って炎の死角に飛び込んで、罠ごと敵の指揮官らしき男を排除した。


「なっ…なんて奴だ⁉︎本当に人間かよ⁉︎」

「に…逃げろ‼︎」

「逃がさない‼︎北郷流二刀心眼術‘‘皐月”‼︎」


捕縛技である皐月にて敵の意識を削ぎ、怯みながらも向かって来る敵を返り討ちにしながら前に進む。

そして王叡の宴会が開かれた大広間に到着し、扉を斬り破るとすぐさま討ち入りを始めるが俺は思わず立ち止まってしまった。


「じっとしてろ動くな‼︎」


王叡が紫の髪をした女の子の首に剣を突き付け、周りには弩を構えた敵部隊がいた。


「やはり来よったか……罠とも知らずにのこのこ現れるから無粋な武官は嫌いなのじゃ」

「その女の子を離せ‼︎目的は俺だろうが‼︎」

「動くでない、この娘の肌に傷がつくぞ?」

「うっ……あぁ……」

「ちぃ……」


恐怖に震える女の子に小刀を突きつける王叡。人質に危険を犯せるわけにはいかず、飛び出したい気持ちを必死に抑える。


「ふん、義勇軍上がりの分際で徐州牧になったからと偉そうに………そもそも貴様ではなく儂が牧になるべきなのだ」

「嫉妬のつもりかよ?………その為に無関係な女の子を人質にするなんて何も感じないのか⁉︎」

「ふん、民など単なる家畜でしかない。代わりなどそこらから湧いてくる蟻のようにな」

「クソが……」

「勝てばいいのだよ勝てば………それに貴様等の仲間も終わっておる頃じゃろうて「で…伝令‼︎兵糧庫が敵に奪われました‼︎」な…なんじゃと⁉︎」


先程までの余裕は消え去り、驚く王叡。そこに立て続けに別の伝令がやって来た。


「報告‼︎武器庫が敵の手に落ちました‼︎」

「王叡様‼︎兵舎が敵により壊滅しました‼︎」

「えぇい⁉︎こちらの兵はなにをしておるか⁉︎早く虫けら共を蹴散らして参れ‼︎」

「ほ……報告‼︎王祥様が敵の伏兵により討ち死‼︎外の味方は完全に鎮圧され、城内の味方も次々と降伏しております‼︎」

「な……なんじゃと⁉︎」

「どうやら勝負ありのようだな?観念してその子を放せ‼︎そうすれば悔い改める時間くらいはくれてやる‼︎」

「う……うるさいわ‼︎貴様さえ討てば後はどうともなりよるわぃ‼︎弩兵隊構えぃ‼︎」


最後の悪あがきのつもりか、周囲にいた弩兵が一斉に照準を俺に向けた。

手荒だが奴等の矢を叩き落としたら一気に確保に向かうことにし、姿勢を低くしながら構える。


「放てぃ‼︎」


王叡の号令が飛び交うが、奴の部下から矢が発射されることはなかった。突然別の方角から発射された矢により王叡の弩兵が殆ど同時に倒され、音を立てて地面に落ちた。

これには王叡だけではなく俺も驚きを隠せずにいた。


「なっ…なんじゃ⁉︎なにが起き…ぐぼぉ⁉︎」


突然王叡と周りにいた敵兵数人が声を濁らせ、振り向くと王叡の身体から生えるように剣が突き刺さり、背後には………。


「こ………高……順……き…きさまぁ……」


怪我をしているが王叡達に双鉤を突き刺した高順の姿があった………。


王叡との戦いは高順が王叡を殺害したことで幕を閉じる。

先程までの敵だった高順と焔陣営。混乱する一刀達に高順は問い掛ける。


次回‘‘真・恋姫†無双 二筋の刀を持つ御遣い”

[光と影]

大望を果たす為に、ここに影が生まれる。



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