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第30話:王叡の罠

王叡の宴に招かれた一刀達。予め用意していた策にて窮地の突破を図る。


俺達は王叡の宴に参加する為に桃香と志義達藏覇隊を率いて琅邪郡臨沂県に向かった。既に他の来客は到着しているようであり豪族達で賑わっていた。

その宴も頃合いで終焉を迎え、殆どが帰途に着いたが俺は王叡に個人的に誘われて離れにて酒を楽しんでいた。


いや……楽しまされているといった方が正しい。さっきから侍女らしき女性達数人が尺をしてくれたり楽しく微笑みかけたり、俺の身体を触ってきて誘っているようにされている。

極め付けは……。


「いやはや、御遣い様はかなりの酒豪であらせられますな」


さっきから王叡が下手にご機嫌取りをしているからだ。俺は特に気にすることなく、護衛役である甲牙と共に表情を崩さない。

なお、桃香は既に帰らした。護衛役である蒼蓮と合流する予定であり、志義と暖照は‘‘保険”として別行動をしている。


「しかし護衛の方も何と逞しく凛々しい風貌でしょう。まるで古の‘‘悪来”を彷彿とさせますな」

「へん……ありがとよ」


甲牙のことを古の豪傑である悪来と例える王叡。確かにスキンヘッドで引き締まった筋肉をした大男である甲牙にピッタリだが、それは典韋に呼ばれる筈だ。


「あっ……」

「これは…酒が足りませぬか。でしたらすぐにお持ち致しますので暫しお待ちを……」


そういうと王叡は女性達と一緒に退出していき、俺は神龍双牙の柄を軽く触っていつでも抜刀できるように態勢を整える。


「……甲牙」

「大将も気が付いてやしたか……」

「王叡は小物だから悪意を読み取るのは容易かった。ここは危険だな……」

「へぃ……それにさっきから辺りから殺気がこれでもかって言うくれぇ感じやす。これは間違いなく罠ですぜ」

「いつでも動けるようにしておいて。向こうが仕掛けてくるんだったら‘‘お祝い”をあげるとしよう」

「へい……そう言ってる間に来たようですぜ……」


俺達がそんなやりとりをしているといきなり天井から数人の武装した男達が飛び降りて来て、扉が勢いよく開くと同じく武装した敵兵が雪崩れ込んで来た。

槍を構えて突っ込んで来る敵兵もいたが、甲牙が力強く鉄球“壊軍分銅”を振り回し、俺に襲い掛かろうとしていた敵兵を壁に叩きつけた。


「あんにゃろう‼︎やっぱ仕掛けて来た‼︎」

「不意打ちのつもりだろうけど予測してたから大丈夫だ‼︎まずはここを脱出して城外の味方と合流しよう‼︎俺の命を預けたよ甲牙‼︎」

「お任せくだせぇ‼︎大将には指一本触れさせはしません‼︎うぉらぁあああああ‼︎」


命を預けると言われて甲牙は気迫と共に壊軍分銅を振り回す。あんなのが顔に当たったと考えただけでもゾッとするが、俺も神龍双牙を抜刀して近くにいた敵兵を斬り伏せる。


「奴等を逃がすな‼︎必ず討ち取れ‼︎」

「テメェらに大将をやらせはしねぇぞ‼︎轟龍尹礼‼︎派手に暴れてやらぁ‼︎」

「それは俺も同じ‼︎北郷流二刀心眼術‘‘神無月”‼︎」


背後から甲牙を攻撃しようとしていた敵兵の身体を真っ二つにし、立て続けに周りの敵集団に対して神龍双牙を逆手に持ち替えて攻撃をかわしつつ制圧した。


「それは俺も同じだよ甲牙‼︎」

「た…大将?」

「俺も甲牙に指一本触れさせはしない‼︎大事な家族なんだからね‼︎」

「大将……….」

「俺達は生きて乱世を終わらせる‼︎家族のみんなと共に平和を迎えるんだ‼︎」

「…………へい‼︎」


俺の言葉に甲牙は大きく頷き、向かって来る敵を次々と討ち倒していく。


俺は神龍双牙を連結させて槍を構えた敵の攻撃をかわしてから身体を貫き、そのまま横から切り離すと回転しながら背後にいた敵を薙ぎ払い、下から振り上げて直後に一回転してから振り下ろす。


左右から同時に仕掛けて来た敵には突き出した瞬間に槍を叩き斬り、分離させるとそのまま片方を斬るとすぐにもう片方を刺突した。


「うぉらぁあああああ‼︎吹っ飛ばあぁあああす‼︎」


甲牙も壊軍分銅を前に飛ばして複数を巻き込み、鎖が伸び切ると鉄球が地面に落ちる前に振り上げ、天井をの一部を破壊しながら敵兵の頭上に落下させる。

その大振りで隙が出来たようにも見えるが敵兵の振りかざした剣を鎖で受け止め、腕をへし折ると頭を掴んで強烈な頭突きを食らわ

俺が柔と剛を合わさるなら甲牙は完全に圧倒的な破壊力にて敵を粉砕する剛だ。俺にはない力で敵を粉砕する。護衛される側にとってはなんともありがたい存在だ。


「甲牙‼︎壁を破壊して脱出路を‼︎行動に移すよ‼︎」

「分かりやした‼︎大穴を開けてやりまさぁ‼︎」


壁に穴を開けるように指示すると鎖と鉄球の繋ぎ目を持ち、そのまま壁に拳をぶつけるように鉄球をお見舞いした。

容易く壁は崩壊し、人ひとりが軽く通れる位の大穴が開いたので敵を薙ぎ払うと一気に穴から外に飛び出した。


どうやら王叡は俺達を離れで倒せると踏んでいたようであり、外には配備されている兵士が少なかった。それだけならまだいいが敵兵はかなり油断しきっており、俺達が着地した時には唖然とした表情をしていた。

そんな奴等に構っている暇などありはせず、動く気配のない敵部隊の間をすり抜けるように突破。

攻撃は向かってくる敵兵にのみ対処し、俺達は目的地である城壁へと向かう。大抵の城壁には敵の襲来を知らせる灯篭があり、反撃の合図として西側にある灯篭が俺達の反撃の合図となる。


だが幾ら油断しているとはいえ、城壁へと通じる階段は封鎖されているだろう。だから俺は階段を使わないで別の道から城壁へと向かうことにした。


「大将‼︎いっちょやりますか‼︎」

「あぁ‼︎頼むよ甲牙‼︎」

「お任せけだせぇ‼︎うぉりゃあぁあああああ‼︎」


甲牙の差し伸べた重なる両手に片足を乗せるとそこから一気に俺を城壁に投げ飛ばす。脚力に自信はあるが流石に城壁へと飛び移るほどはないので甲牙の剛力を借りて飛び移ることにした。


そして着地しようと態勢を整えようとした瞬間、何かが飛来してくる気配を感じ取って空を振るった。


そこに金属がぶつかり合う鈍い音。


城壁に着地して何かが飛来してきた方角を見る。そこにいたのは黄巾の乱にて俺を狙った暗殺者………。


「あれから接触が無いと思っていたけど………まさか王叡の下に雇われていたなんてね…………高順」


焔陣営の頭領である双鉤を構えた高順だった……………。


王叡に身を置いていた高順と対面した一刀。予想外の出来事に戸惑う一刀だが強敵を前に神龍双牙を構える。

光にいきる一刀と闇に生きる高順による第2戦が開幕する。


次回‘‘真・恋姫†無双 二筋の刀を持つ御遣い”

[月夜の交わり]

寡黙な暗殺者と御遣いの再戦が始まる。



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