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第15話:焔

泰山へと向かう途中の夜営。一刀はそこで何者かの奇襲を受ける。

黄巾党殲滅までの間、曹操軍と共同戦線を張ることとなった俺達義勇軍。

道中に確認された敵部隊を殲滅したり、襲われている民を救出したりして桃華達も一端の指導者の風貌を見せ始めてきた。まぁ、受け持つ配置場所がほぼ前線だから当たり前ではある。


恐らく曹操は兵の損失を減らす為に俺達を盾にしてるだろうが、こっちはそれを逆に利用して名声をあげてやる。


そんな持ちつ持たれつな関係から2週間後、俺達は封禅の儀式が行われる山として名高い泰山へと向かっていた。


情報によればここに泰山義勇軍と呼ばれる民間防衛隊のような軍勢があり、気になった曹操が俺達に出陣を依頼したからだ。


ただし少し急ぎすぎたようであり、気が付けば辺りは暗くなって兵達も疲れている。

だったら今日はここに陣地を張り、兵達に休息を与えることにした。もちろん俺も休むために自分の天幕にて寝る準備をしていた。


「ふぅ……やっぱり無理があったかな」


そういいながら俺は簡易型の寝台に腰を下ろしていた。


「だけど泰山で活動する義勇軍か………記憶だったら確か泰山の出身は臧覇に尹礼、呉敦、孫観だけど……やっぱり女の子なのかな?」


臧覇、尹礼、呉敦、孫観の4人は当時泰山で活動していた山賊だったが、とある出来事で呂布に付き従い、その呂布が死ぬと彼の意志を風化させない為に張遼と共に曹操へ降った武将だ。


特に臧覇は呂布とは親友だったらしい。そんなことを考えていると急に睡魔が襲って来た。


「ふぁ〜………考えてても仕方ないや……今日はもう寝る‼︎おやすみ〜………」


1人しかいないのにそう言うと俺は布団に飛び込み、惰眠を貪るために夢の中へ旅立つ……………。








……………予定だったが急に睡魔が無くなった。いや………‘‘消えた”といったほうがいいだろう。俺は枕元に置いてあった神龍双牙をてにとり、警戒しながら慎重に天幕を出る。


「‼︎」


天幕を出てすぐに入口を見張ってくれていた兵2人が倒れているのに気が付く。生きているか確認する為に脈を測ろうとするが、いきなり気配が強くなる。

すかさず空を抜刀して上に構えた瞬間、強い衝撃が走った。


そこには黒一色の忍び装束みたいな服装とマスク、そして両手には双鈎と呼ばれる武器が握られていた。 だがそんなのはどうだっていい。さっきの攻撃である程度は感じ取れた。


(こいつ………強い)


武人は刃で語るものだ。そこから察してこの男は間違いなく強い。そしてなによりも俺を殺そうとしていることもだ。


男は後方に飛び上がり、着地と同時に斬り掛かってくる。一歩手前に到達したら回転しながら斬。着地したと同時に左右共に振り上げ、それを回避すると立て続けに反対側に振り上げる。


振り上げたらそのまま右回転で薙ぎ払うように来たが、それを受け止めて天で同じように薙ぎ払うが受け止められ、ならば距離を置くために前蹴りにて吹き飛ばす。

そこから一気に反撃へと転じる。吹き飛ばされて態勢が乱れている今ならばチャンスはある。地面を強く蹴り、神龍双牙を鞘に納めると二刀流での抜刀術と態勢をとる。


これは決まったと確信したが、鋒が触れる直前に奴は背を反らせながら双鈎を地面に突き刺し、そのまま後方宙返りをやってのけた。


そしてそのまま地面に着地すると姿勢を整えて身構える。すると途中から聞き覚えのある声がしてきた。


「「ご主人様‼︎」」

「お兄ちゃん‼︎どうかしたのだ⁉︎」


駆け寄って来た桃香や愛紗達だ。それを奴は一瞬だけ横目で確認し、形勢が不利だと判断して俺に苦無のような小刀を投げ付けてくる。


「ちぃ‼︎」


それを叩き落とすと奴は隙を突いてその場から逃げ出す。


「ご主人様‼︎怪我はない⁉︎」

「鈴々‼︎奴を逃すな‼︎」

「ガッテンなのだ‼︎」

「皆の者‼︎我等が主を狙った卑劣な輩を逃がす「愛紗まって‼︎追撃しなくていい‼︎」ご…ご主人様⁉︎」

「向こうは夜戦が得意みたいだ……迂闊に動いたらどんな罠があるか分かったものじゃない‼︎」

「で……ですが……」

「それに……今は怪我人の手当てが先だよ


そういいながら倒れていた兵をみる。どうやら2人ともただ意識を失っているだけのようであり、大事には至らなさそうなので安心する。


そして俺はさっきの男が投げた苦無を拾い上げて軽く調べる。


「これは………」

「ご主人様、どうしたの?」

「………焔……」

「えっ?」


苦無にくっきりと焔という漢字一文字が掘られていたからだ。だがこれだけでは分からないので明日の朝にでも曹操になにか知らないかどうか聞いてみることにした。


謎だらけとなる黄巾の乱。そして泰山への遠征。気になることは山積みだが、俺は再び睡眠に戻ることにした。


余談だが俺の寝台は桃香達が寝泊まりしている天幕に移されて緊張して眠れなかった……………。




奇襲を受けた次の日。俺達はようやく目的地の泰山へと到着した。そこで黄巾党と戦う義勇軍に英傑の顔ぶれがあった。


次回‘‘真・恋姫†無双 二筋の刀を持つ御遣い”

[もう一つの義勇軍]

泰山にて新たな友人が生まれる。



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