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『当たり前』が似合うはずなのだ

 仮に制覇様を悪なる存在だとしよう。それでも俺にはついて行く覚悟があるのか。忍者になった場合の俺なら悩みもしなかっただろう。忍者なんてフィクションの世界でもなければ全員が悪党と思って差し支えないから。だが、俺はロリコンだ。例え嫌われようとも、彼女の為の最善の動きがしたい。


 「制覇様……彼女の狙いについて調べなきゃ」


 いや、焦る必要もないかもしれない。だって、俺の今回の任務は目的に対し、最適だ。だって、今回の俺の回収する代物を覗けるのならば、制覇様の願望が垣間見れるのだから。


 「お兄ちゃん。俺らは所詮は飼い犬だ。余計な真似は止めたほうがいいぜ。自分の身を滅ぼすような真似は」


 「言われた通りに仕事をするのが、良い社会人ではないだろう。言われていない仕事もカバーする人材こそ優秀って言われるはずだ」


 「身の丈に合わない真似は止めろって。お兄ちゃん……ただでさえ成功するかも分からねぇ仕事なのだろう。言われた事だけを集中すればいいのさ」


 例え好意であったとしても、制覇様を裏切る真似はしない方がいい。あの人の恐ろしさは俺も知っている。俺は世間知らずでも、恐れ知らずでもない。


 「このままじゃ駄目なんだ。このまま制覇様を大人にしてしまっては、何かが駄目な気がするんだ」


 制覇様には幸せになって欲しい。だが、誰かを傷つけたり、虐げたり、そのような代償が必要な特殊な幸せを味わって欲しいのではない。普通の女の子になって欲しいのだ。天才科学者が一般の生活に馴染んではいけないという規則はないはずだ。制覇様にはそんな『当たり前』が似合うはずなのだ。


 「お兄ちゃん……」


 「俺は制覇様お命懸けで守る。例え本人から嫌われようとも、処刑されようと、暗殺されようと、それでも成し遂げるべき目的がある」


 このままじゃ駄目なのだ。モンスターキャッスルの領主で、マッドサイエンティストなんて彼女の個性であってはいけないのだ。


 「サンタクロースになって、頭がおかしくなったのか?」


 「あぁ。悪魔からそそのかされ、馬鹿になって、なんとなく俺がすべきことが分かってきた。サンタクロースなんて伝説上の人物で、絵本の中の存在になってな。ようやく本物の自分が分かってきた」


 サンタクロースは12月24日だけに、仕事をする存在ではなかったのだ。玩具を整理するわけでもなく、伝票を確認するだけではない。サンタクロースには通常業務として、日頃からすべき仕事があったのだ。


 「取りあえずは……美橋及火の家で何かを掴むことだな」

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