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ロリババァだと言いたいのだろう

 「あのぉ、えっと。自己紹介してもいいですか」


 「おぉ、これはご丁寧に」


 いや、只のバイトの子の友達を直様、所在や名前も聞かずに採用するなんてどうかしている。いや、採用ポイントがサンタクロースという点が一番に意味が分からない。


 それにしても、これはどうすべきか。素直に従業員になるのが正解とも思えない。俺は制覇様の部下としての仕事を全うする気でいるのだ。下手な理由で珈琲店でバイトなどする暇はない。確かに時間的な余裕はあるが。


 別にサンタクロースになったからといって、珈琲店の従業員である必要はないだろう。そんな設定は説明会では言われなかった。これはあの女の子の個人的な趣味に違いない。きっと、あの子のご両親がこの店のオーナーなのだろう。それでちょっと真似をして遊んでいるだけなのだ。本気に受け取ってしまえば思う壷だ。


 「霧隠三太と言います。……最終学歴は中学校。今はサンタ稼業と共に、施設の警備員のような仕事をしています」


 「うん、採用」


 ちょっと待ってくれ。採用って本気なのだろうか。飯事ままごととは思えないシュチュエーションなのだが。嫌な気がする。これはお芝居ではない。本気で俺を強引に、この店で働かすつもりなのではないだろうか。


 「じゃあ君にはキッチンでの仕事を」


 「ちょっと待ってください」


 幼女が俺の顔を冷たく覗いた。彼女はきっと何か秘密がある。この俺の忍者として身につけてきた悪寒がそう告げるのだ。あの地獄のようなサンタクロース適性試験を潜り抜けた俺だから分かることがある。ロリコンセンサーとでも表現するか。


 ……あの子は……きっと『女の子』じゃない。


 「さすがだね。私が見た目とは裏腹に歳をくっていると思ったのだろう」


 「え、えぇ!!」


 「ロリババァだと言いたいのだろう」


 そこまで際どい単語を言う気はなかった。せめて女の子の身体を利用して、どこか別の場所から喋っているとか、そんな話だと思った。


 「そうこの私が、ロリコンであるが為に自らさえもロリになってしまった魔女。アデライデ・クリスティアーノだ」


 魔女……サンタの悪魔やサンタの魔王ときてサンタの魔女か。世も末だな。というか、魔女って小さな男の子を食事にするって聞いた話がある。これは……どういった趣向なのだろうか。


 確かに日本人じゃない、髪は金髪で目の色は薄い青。だが、ロリババァかどうかは俺には分からない。だが、ロリコンとして彼女は協力すべきか、否か。悩みどころではある。


 「失礼します、遅くなってすいません」


 そんな由々しき問題に思考を巡らせていると、今回の俺のターゲットである重要人物が姿を現した。美橋及火、俺は彼女を待っていた。

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