暴虐部人ぶりは半端なかった
何がヒントになるのだろうか。その他の人間にも調査を行ったが、何も有力な情報は得られなかった。それどころか聞けば聞くほど、性悪というか、悪党ぶりが発覚するというか、美橋を説得するなんて無理なんじゃないかなって気分になる。
「制覇様……従業員に厳しすぎるよ」
俺が制覇様の話をすると、従業員はみんなが泣きそうな顔で俺に制覇様の文句を訴えてくる。不幸自慢大会と表現すれば、わかりやすいだろうか。
ある時は、制覇様が大人気ゲームの新作が欲しいと駄々を捏ねた。三日前から店頭に並んでゲームの列の先頭をキープ。風呂も食事も無く、テントの中で地獄のような暇な時間。列を割り込もうとする奴を蹴散らし、逃げ出しそうになる誘惑に負けず、必死に待った。その後、三日後に制覇様がゲームをゴミ箱に捨てていたのを発見した時は、手首を切ろうと思ったらしい。
またある時は、制覇様がアニマル番組に感銘を受けて、動物園でライオンの赤ん坊を強奪を要求。深夜の寝静まった時間に、ライオン小屋に突入。母親から子供を奪い取る罪悪感に打ちのめされながら、飼育員に見つかり大騒動に。その後、子供ライオンに腕を噛まれて何針も縫ったらしい。制覇様がライオンの子供を見て、『やっぱいいわ』と言った一言によって、その隊員はビルから飛び降りようとしたらしい。
またある時は、とある映画に感銘を受けたのか、人間を捕食する宇宙人を開発sたいと言った。必要な代償として、アマゾンから電気うなぎを取ってこいと命令された職員は、見事に密猟を成功させる。更に同じメンバーに世界一臭いと言われる東南アジア島嶼部とマレー半島に分布するラフレシアを密猟し、更に地球上で一番毒性が強いクラゲとして知られるキロネックスというクラゲを密猟したらしい。命辛々、帰還した後に制覇様の興味は完全に失せていたらしい。隊員は練炭を使って集団自殺を計ったらしい。
制覇様……酷すぎるよ。性格が残忍過ぎるよ。俺は真正のロリコンだから問題ないが、いつか職員の誰かから寝首を掻かれるのではないだろうか。そんな恐怖を、当本人じゃない俺が感じる程に制覇様の暴虐部人ぶりは半端なかった。
「制覇様……俺はどうやって美橋を説得すればいいのですか。成功のビジョンがまるで見えないのだけれど」
こうなったら、嘘をつくしかない。そうだ、虚言で言いくるめるのだ。ロリの為なら例え火の中、水の中。嘘の一つや二つ、やってやろうではないか。問題はバレない程度に上手く誤魔化さなくてはならない。下手に説得力に欠ける言葉を言うと逆効果になる。