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君はいわば実験動物だ

前に国谷と一緒にサンタ試験の作戦会議をした喫茶店。そこに俺と国谷に加え、新たなるメンバー美橋及火を加え、お茶会という話にはならなかった。これは俺にとっては仕事の一環であるから。


 「桜台制覇か。相変わらず抜け目ないというよりは、どうしようもなく我が儘な人間だ。この世界であそこまで暴虐無人という言葉が当て嵌る人間も珍しいだろう。サンタの世界に土足で侵入しておきながら、今度は私にまでチョッカイをかけてくるのか」


 「そんなに嫌な顔をしないで下さい。主人の暴挙は否定しませんが、彼女はまだ小学生なんですから。きっと何か目的があるんですよ、やむを得ない」


 「君はいいな。命令される側の人間だから。操り人形は感情が無くても行動には差し支えなくていいだろう。私は気に入らないがね、あの支配欲が。いや、一番の運命の奴隷は君だろうか。敗北を刻めば……廃棄処分だからな」


 廃棄処分……それは考えすぎだ。確かに一回目の任務であるサンタクロース適性試験においては、そういう処分が下る予定だった。しかし、あれは俺の立場的に妥当な状況だったし、猶予を貰えただけでもありがたかったのだ。今回だって失敗は構わないと言ってくれている。そんなに卑下されるのも筋違いであろう。


 それに俺はロリコンだ、変態ではなく紳士的な意味で。仮に周辺の見物客から変態に写ろうが、俺は自分の為すべき、果たすべき使命を完うしているだけ。これは俺が生きる証と言っても過言ではないのだ。


 「桜台制覇は君を何とも思っていない。君はおそらく手駒にすら思われていないだろう。子供に玩具を買ってあげて、喜びに明け暮れた子供がその玩具を『友達』と呼ぶだろう。その逆だ。君は人間でありながら、友達とすら思われていない」


 意味が分からない……俺は制覇様の手駒だし、部下だ。それがどうして否定されているのだ。


 「君はいわば実験動物だ。モルモットなんだよ。勿論、愛玩動物という意味合いはない。桜台制覇は君を殺す事が目的ではなく、いつ死ぬのかを試すのが目的なんだ。さながらモルモットに永遠に回転車で走らせ続けるのと同じ容量でね」


 …………そうなのか。


 「それでも構わない。俺はあの人を笑顔を守ると決めた。その笑顔が闇に沈んでいたとしても。操り人形でもモルモットでも構わない。俺は俺である以上は、その格付けで構わない。生きる意味を失えばそれこそ人間は終わりだ」


 自分でも正しい事を言えている気がしなかった。だがこれが俺の言える精一杯の発言だった。俺の脳にはそれしかなかったのであるから。

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