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今回は大切さは少ない

 自分でもサンタ試験に合格して図に乗っている気がする。いくらロリコンは絶対に幼女との約束を破れないという制約があったとしても、自分の手に負えない事から逃げることが情けない。


 だが、確かに不安と共に罪悪感も存在する。美橋及火は俺の事を本気で心配してくれていた。試験中にも俺が死にそうになった時に、俺を助けてくれた恩を忘れたつもりはない。だから、そんな命の恩人に裏切るような真似をしたくはないのだ。


 「そんなに心配しなくても今回は任務失敗で即死亡決定という話にはならないよ。だから狙える射程距離に可能性が舞い込んだら仕事をしてこいと言っているんだよ」


 ……発想の転換をしてみよう。自分が盗人だと思って生きるから苦しいのだ。自分が盗人としての生き方しか出来ないと断定すると……、また自分は忍者という肩書きから抜け出せないと思い込んでしまう。自分をコントロール出来ないと思ったなら、そんなに上手にいかないと考える。


 事情を全て話してしまえばいいのだ。美橋を敵だと思うから駄目なのだ。奴は初めから味方で、善良な仲間で、そして俺が要求を懇願するだけだと思うのだ。自分で忍び込むよりもよっぽど可能性がある。制覇様の性格を奴は勘付き初めている。だから国谷朝芽と違って、事情を納得してくれるだろう。


 「それでいいじゃないか」


 「何か名案でも思いついたようじゃないか。じゃあお任せしてもいいのだね」


 「そうですね、分かりました。善処しますと言っておきます。出来る限りご意見に添うように頑張ります」


 「随分と面倒な言い回しだと思うが……いいだろう。やってみたまえ」

 ★

 セカンドミッションとでも言うのだろうか。これから俺の任務が始まる。前回と違って臨場感は薄い。前回は冗談抜きで命がかかっていた。そして魂がかかっていた。俺が大切な何かを失う可能性を不安として身体の中に残しつつ、全力で世界観と戦った。しかし、今回はどうだろう。


 「今回は大切さは少ない。だから……そんなに重く受け止めて欲しくない」


 今回の試練を乗り切って得られる物はなんだろうか。極めて少ないのは目に見えている。玩具メーカーである美橋の家に乗り込んで、玩具のデータを盗む。盗んだ代物の希少価値は高いか? だって数年先を待っていれば手に入る代物だ。魔法とかの類ではない何かを回収して、そんなに大きな利益にあるか。桜台制覇様が主題としているクリスマスプレゼントに直結しているだろうか。


 「だから……私に断る権利がある事を盾として、交渉を進めるという事だね」


 まあ嫌なイメージを持たれるだろうな。美橋本人だとするならば。

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