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躊躇なく言う姿勢

 「霧隠三太君」


 少し風に当たろうと窓の近くへと行ったら、桜台制覇様がこっちに来てくれた。


 「いきなりだが、そろそろ次の仕事に入って貰おう。今度も潜入捜査という事になるだろうが」


 また潜入捜査か、まあ俺は戦闘力は低いし、元々が潜入捜査を職務として育てられた忍者だ。ガードマンみたいな仕事をするよりも、適材適所なのは分かるのだが。また俺はこの場からいなくなって、使役される形になるのか。


 「また部下を送り込んで、発信機とか備えないで下さいよ」


 「その判断は僕が決める」


 このザックリとした食い下がらない態度、これこそがこの人の特徴であるが、この人の将来が心配だ。本物のロリコンとして覚醒した俺は、彼女にとって一番に有益になる事を念頭に考える。どうも彼女は将来苦労しそうだ、俺がどうこう出来る問題じゃないとは思うが。


 「それで次に俺が乗り込む場所ってどこなんですかね?」


 制覇様は声に出さず指を指した、そっちには……奴の姿がいた。


 「えっと……美橋及火……ですか?」


 「そうだ。彼女の家の玩具メーカーに潜入してこい。目標は秘密データの奪還だ。私が欲している物のデータがあるかもしれない。関係ない可能性もあるので、絶対は求めないが……。まあ、可能性を洗う作業だ」


 ……そういえば、桜台制覇様がサンタクロースを使って手に入れようとしているプレゼントっていったい何なんだ? 俺はずっと気になって仕方がないのだが。


 「それで具体的な詳細を教えて頂かないと……」


 「そこは自分で調べたまえ。この玩具メーカーでしか手に入らない貴重品な玩具とか、秘蔵の副産物とか、そんなネーミングは貼ってあるラベルだ」


 そんな無茶苦茶な…。それが何かも分からないのに、どうやって奴の家から玩具に関するデータを奪還するのだ。そもそも玩具なのか? そこからしてかなり怪しいと睨んでいるのだが。


 「すみません、任務達成には尽力を尽くしますが……、その……雲を掴むような話でして……。成功するという保証がないです。すいません……」


 「君のその無理なら無理って躊躇なく言う姿勢は嫌いじゃないよ」


 いや……これでもかなり躊躇しているのだが、主の前で忍者が『出来ません』とか切腹ものだ。まあ俺は忍者ではないし、そこそこに信頼関係を築いているつもりだから、少しは現実的な話をするのだが。


 「すいません、でも……その……裏切るような真似をしたくないんです。出来ればそんな大切な資料は持ち帰りたいですが、私にも限界がありますから…」


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