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サンタ試験終了

 そんな瞬間を奴は見逃さなかった、まずは羽根を容赦なく穴だらけにして、振り返った奴の顔に銃弾を浴びせる。なんか犯罪臭漂う……。こっちが悪役みたいに感じてきた。


 「お前ら……ちゃんと自己防衛方法を持っていたんだな」


 「まあ、こんなの初めてじゃないらしいしね。二人で襲ってきたケースなんて、むしろ状況的に軽かったくらいだよ。私が勤務してから三年くらいだけど、もう五回くらい襲撃があっているもん」


 じゃあなんで悪魔の軍勢はサタンの奪還を諦めるか、本腰を入れて頑張るかしないのか。答えは難しいだろうが、俺の予想としては奴らももうこんな孤独な爺さんを宛にしてないのではないか。なにか無駄な野心を持っている取るに足らない下っ端が、過去の偉業に手を伸ばし、その髄を掠め取ろうとしたってところか。どこの世界も卑屈だな。


 「考えてみれば、今の魔王の世界で高い地位に立っている連中が、魔王復帰なんぞに協力するはずがないよな。だって、自分たちの地位を危うくするだけだから」


 一件落着…だろうか。いや、まだ一番重要な話が片付いてない。


 「おい、お前ら!! まだ生きているか!! しっかりサンタ試験を辞退するって宣言してくれよ!! 俺が合格にならないんだから。これでまた面接試験から三人でやり直すってなったら」


 自分でも見苦しい真似をしている気がするが、奴らを自分自身の力だけでどうにか出来なかったのも事実だ。撃退する、または説得して帰って貰う事が出来なかった以上は、作戦を遂行できたとはいえない。


 「大丈夫じゃ」


 その野太い声に誘われ後ろを振り向くと、あの強面のサンタさんや魔王の爺さん。その他のサンタの試験官が勢ぞろいして、階段の上に立っていたのである。


 「君が今年度の合格だ。霧隠三太君。これから君を正式なサンタクロースの一員として迎え入れる」


 ……合格した? 終わったのか? 

 

 「自惚れるなよ、若造。お前を合格にする理由は、あくまで消去法じゃ。そこの倒れている二人が失格になったため、当初の『合格者は一名』という内容により、合格というだけじゃ」


 ……やった……やったぞ。サンタクロースになった。何が原因かなんぞ分からない。一次試験や二次試験が高評価だったのか、それともサンタとして悪魔を追い返そうとした姿勢が良かったのか。何もかも分からないままだが、これで俺は合格になる。戦いは……終わったんだ。


 「そこの若い悪魔集団。貴様らも懲りもせず……。おい、起きとるのか?」


 「ぐっ、魔王サタン……」


 兄弟で肩を借り合ってゆっくりと立ち上がった。あの程度では死なないという訳か。頑丈ですね、羨ましいです。


 「またサンタ試験を受けに来い。今度は本気で勉強して。ワシの事を本気でそっちの世界に引き摺り込みたいと思うなら、もっとワシの事を理解しろ。郷に入っては郷に従って貰おうかの」


 トドメと言わんばかりに、お爺様の言葉が奴らに響いた。二匹の悪魔は悲しそうな顔をして俯くと、何を反論する訳でもなく、薄着のまま雪景色の寒空へと消えて行った。

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