最後の抵抗
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奴等はこれで受験生としての肩書きを剥奪させられる。これで、俺のサンタクロース試験は合格だ。だが、あの爺さんは全てを分かった上で俺を合格にしようとしない。それは……俺が子供だから。餓鬼だから。
夢を追いかける側なんだ、夢を与える側ではない。だからサンタクロースである資格が無い。だが。正面から戦って俺が奴ら二人に勝てるだろうか。望みは薄いだろう。可能性は低いだろう。部外者を追い払うのが俺の役目か……。俺の試験内容はそんな物か。
あの爺さんが俺に与えた最終試験の内容はそんな下らない茶番だろうか。
「さぁ。じゃあこっちもそろそろ、破壊活動を始めさせて貰おうか。サンタクロースの秘密基地は死体量産工場に変わるのさ」
「君たちのその赤い独特の服を着た連中の死体を並べれば、魔王様も元の残忍さを思い出して貰えるかもしれません」
まるでサンタクロースを目指した者が、悪魔に唆された哀れな人間のような口ぶりだな。理屈としては通っていない。まるでタダの破壊者、迷惑なクレーマーだ。そんな相手にしてあげられる事はなんだろうか。
「おい、悪魔共。破壊活動とやらはいいが、その前にちょっと俺にサンタクロースとしての仕事をさせてくれないか?」
戦闘する気はない、したって勝てない。多分、このサンタ協会にこいつらに武力で勝てるやつなんかいない。俺たちは戦闘集団ではないから。
「なんだ? 最後の抵抗って奴かい?」
「いいや、これはちょっと遅れたがサンタクロースからの贈り物だよ。本来は手渡しする物じゃないし、子供にあげる物だし、俺はサンタの格好すらしていないんだけどな」
俺がすべき事はサンタとして闘う事。サンタとしての仕事を完うする事だけだ。俺はロリコンとしてそうやって生きていくと決めたんだ。例え殺されても、馬鹿にされても、笑われても、サンタである自分を裏切る真似だけは御免だ。刺し違えても俺は自分の信念を曲げない。
「受け取ってくれ。これが俺からあんた達二人に贈るクリスマスプレゼントだ」
俺はあらかじめ持参していたバックの中から、綺麗にリボンで飾り付けされている箱を取り出した。可愛さを意識して赤と緑のカラーを強調し、クリスマスムードの漂う仕上がりとなっている。ここに来る前に、飾り付けの作業をする部屋を許可を得て借り、この細工をしてきたのである。
「これはなんの茶番だい?」
「姉さん、こいつの行動原理が分からないよ。いったい何をしているの?」
そりゃ悪魔なんて欲望に忠実に生きている人間には分からないさ。人間の『慈悲』の精神という崇高な気持ちは。幼女に対する純粋な愛情は。




