サンタ捕獲計画
ちょっとまて、パソコンの画面に映っている、檻の中で拘束されている暗殺者の人数は……四人。と、一匹。
俺を合わせたら、五人ということになる。しかし俺の隣には国谷朝芽もいる訳で、……六人!?
「どういうことだ、今回の候補生は五人だったはずだ。なぜ一人多い。お前が試験官だというのなら、事情を知っているのか?」
「だから……君は、その子を自分と同じ忍者だと勘違いしているっていうオチさ。君と一緒に行動していた女の子は、僕が呼び寄せた正真正銘のサンタクロースだよ」
本物……つまり、この女は本物の慈善事業爺様団体、『サンタクロース』の一人だったのか。一連の行動は自分が忍者だと悟られないようにする演技ではなく、奴はただ自分の任務を真っ当していたに過ぎなかった訳だ。
「で、このパーティ会場にサンタ様を招待したって訳さ。ほら」
少女の人差し指の先には、『サンタ様、歓迎』と書かれた白い垂れ幕が掛かっている。
「よく、サンタなんていう都市伝説を信用したな。サンタなんてこの世に存在しないって、お父さんに習わなかったのかよ」
「勿論、サンタなんて存在は架空の物だって思っていたさ、でも……僕もまだその辺は子供なんだろうね。僕の天才的な頭脳を使って、サンタの正体を突き止めるべく奮闘したのさ。そして、調べぬいた結果、なぜ多くの子供達がサンタの慈悲を受けられないのか分かった。皆、サンタに対する知識が少なく、そして間違っていたんだ。サンタからプレゼントを頂く為には、いくつかの行程を踏まなくてはならない」
サンタにルールとかあったのか? そんなこと、俺が知っている訳がない。
「条件は数知れずあった。まず子供であること、家に煙突があること、大きな靴下を用意すること、まあ他にもいろいろある。だが、それ以前に、皆が分かっていてもしない行程がある。サンタに欲しい物を強請る場合、半年前までに、『欲しい物、自分のやった善行、名前、住所、欲しい理由』などをサンタ本部に送らなくてはいけない」
「マジか!?」
「あぁ。勿論、条件はこれだけではない。これはあくまで氷山の一角に過ぎない。サンタからプレゼントを頂くのは本当に至難の技なんだ。だが、僕は全ての条件を満たし、且つこの舞台を用意した。全ては『サンタ』を捕獲する為に」
「じゃあ、何で俺達を呼び寄せた? そんな重要な日に」
「いや、寧ろ君たちの存在は好都合だったのさ。だって、実際の家宅侵入のプロと比較しながらサンタの実力が図れるだろう。特に君の存在が面白かった。任務そっちのけで、サンタの手伝いなんか始めるからさぁ。えっとロリコンだったっけ」
こいつ、全て監視していやがったのか……じゃあ会話の節々で放った、俺のロリコン発言も……。
くそぅ、穴があったら入りたい。出来ればその穴で死にたい。
「違う!! 俺はロリコンじゃない。忍者だ!!」
「おや、そうかい。じゃあ君も捕獲して警察に」
「嘘です、ロリコンでした」
プライドよりも命を最優先だ。