自問自答による作戦会議
考えられる可能性はそれしかない。あの魔王のオッサンは俺に何を求めているのかなんて見当が着く。残り二人の受験者の始末だ。きっと俺に奴らを潰してきて、それが出来れば俺をサンタクロースとして迎え入れる予定なのだ。
結局は肉弾戦かよ、緊張感が吹っ飛んだ先にこれかよ。決意表明の前に実績で示せと。これじゃあ全く面接試験をする意味がないじゃん。俺の精神的な動揺を返せ!! って、危うく自分から試験を辞退しようとした俺には、そんな事を思う資格はないだろう。
さて、さて、あの二人と決着をつけるにはどうしたら宜しいだろうか。素直に正面から挑んで、非力な俺が勝てるだろうか。俺が出来る範囲を超えている気がするのは、きっと気のせいじゃないだろう。まず、どっちから叩く? アフロか、眼鏡か。
表立って決着をつけるに最適なのは眼鏡だろう。不正行為の真似をしていたのはこいつの方だ。こいつから倒す方が締まりがいい。だが、俺がやつと相打ちになってしまえば、全てが水の泡である。相打ちというのは、行動不能という意味だけではなく、暴力行為による強制退場とかだ。これではアフロの思いの壺なのである。
完全に奴らのペースだ、ここであのお爺様が権利で奴ら二人を切り捨てない限りは、難しいんじゃないかな。俺一人の力で解決するのは無理があるんじゃないのかな。
確かに俺は桜台制覇様に『サンタクロース』になって帰ると約束したが、だからと言って、あんな意味不明集団と戦闘して勝利することは、約束の中にないだろう。そもそもサンタに戦闘能力なんぞいらないだろう。せめて玩具を入れる白い袋を担げる腕力のみだろう。
まずい、俺…また考えすぎてる。駄目だ、駄目だ。俺は変態だ、ロリコンだ。可能性や確率を奇跡で塗り替えられる男になったのだ。馬鹿になるのだ、俺。後先考えず、とにかく幼女が喜ぶべき事をすべきなのだ。
「いくぞ、とにかく奴らを始末してしまえばいいんだろうが」
国谷は頼れない、奴は試験官である奴に暴力という名の不正行為を目の当たりにさせる訳にはいかない。奴は正義感が高いからきっと俺の強行を許さない。同じような理由で美橋及火も却下だ。あいつはなんというか信用出来ない。
「誰も頼れない、誰の力も借りれない。俺の手でやるしかないんだ」
面接試験から帰った後、俺は真っ先に自分の部屋に戻り、自問自答による作戦会議を終了したのだ。ベットの上で胡座に腕組で、思考を巡らせている。奴ら二人を一網打尽にするのだ。
「絶対に殺してやるぞ、あの眼鏡」




