約束を守れるロリコン
魔王を止めてサンタクロースになった、というよりは……ロリコンになった。
「君は確かにサンタとしても、ロリコンとしてもまだまだ未熟だ。だが、たった一人の子供との約束を守れなくなったら、それこそサンタとして終いだ」
桜台制覇様との約束だ、俺がサンタクロースになって帰って来るという目的だ。俺はそういう意味でロリコンになると決意した。それを俺は試験放棄をする事で、諦めようとした。それは『子供好き』にとってあるまじき行為である。一度交わした約束を破る事など……あってはならない。
「君は今、死のうと考えているだろう。君の思考はトレースしている。だがね、人間は絶対に誰かと関わりを持って生きている。君のようなあまり他人とは関わって来なかった人間でもだ。自殺なんて考える暇があったら、誰かの幸せのために戦いなよ」
自殺をしてはいけない、約束を守るためには……死ぬまで戦わなくてはならない。それが出来なくてはサンタクロースになれない。彼女はいまだきっと俺の帰りを待っているんだ。
「君の弱点を教えてあげよう。下手に賢くあろうとしているからだ。実に勿体無い。変態と評されるロリコンが賢くて計算高かったら、それは犯罪臭が漂うだろう。もっと馬鹿になれ、損得感情じゃない、誰かの笑顔のために。自分の欲望の為ではない、誰かの幸せの為に。理屈に合わない理不尽な行動をするんだ。いざとなったら、そういう人間は一番強い」
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面接試験は終わった、というのも厳密には判断するに不十分。簡単にはまだ誰をサンタクロースに一員として迎え入れるかは判断しないという奴だ。だが、あのお爺様と呼ばれる魔王は、結局最後まで、残りの二人を明日に面接試験をするとは言わなかった。
「もしかして……」
だが、俺を採用とも言っていない。つまりはあの二人は初めからサンタにする気はないのではないか。不正行為をしたあの眼鏡はともかく、あのアフロはまだ審査する余地があったはずだ。それをしようとしなかった。
「アフロは……眼鏡とグルか」
違和感はあったのだ、俺が用心深くなっていた理由はそこにもある。それはあの眼鏡が見抜かれる可能性を思考しようとしていたかどうかだ。結局はあの魔王様にはバレていると考えた方がいい。じゃあなんであんな自殺行為をしたんだ? 二次試験を突破しても、三次試験で落とされるなら意味がないじゃないか。
しかも後遺症が残る真似をしている、怪しまれるのは必須ち思われる程に。俺に擦りつけれれば万事解決? そう上手くいくと考えるだろうか? 俺は試験官とパイプがある、信用度でいけば疑われる矛先は自分に来るとは考えないだろうか。
結論としてはこうだ。眼鏡はアフロを合格させる為に用意された刺客。俺の本当の敵は間違いなく……奴だ。