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見張るロリコンとサンタ

 「まったく、早く寝なさいよぉ~~。プレゼントをあげられないでしょ」


 子供部屋の前で俺と国谷は、ベットの上で携帯ゲームをして時間を潰す少女が、睡魔に敗退して眠りに落ちるのをゆっくりと見張っていた。

 何度も言うがこんな下らない芝居に付き合っている暇は俺には無い。

 これは奴も同じ心境のはずだ、現に奴がかなり苛立っているのが良く分かる。

 あの子が寝ないかぎり、俺達は次のステップに進めない。


 「ちくしょう、早く寝てくれ……、じゃないと……」


 「何をソワソワしているのよ、気持ち悪い。もっと冷静になりなさい」


 「さっきから貧乏揺すりして、足を高速で上下に振動させている奴に言われたくねーよ」


 「何ですって!! こ……これは、ほら。心を逆に落ち着かせる為の、我が家に伝わる奥義よ。決して貧乏……なんとかじゃないから」


 「なにっ、そんな心術があったのか」


 そうだ、忍者足る者、いつでも冷静沈着でクールでなくてはならない。例えどんな苦しい状況でも、熱くならず、感情的にならず、平常心を保たなくては。それが任務成功への一番の近道なのだから。


 だが……、その奥義とやらを持ってしても、国谷はイライラを抑えられていないような~~、気のせいだろうか。


 「何をあの歳で夜更かしなんてしているのよ。あと十分待たせたら、悪い子とみなしてプレゼントあげないわよ!!」


 「おい、落ち着けって。急いては事を仕損じるぞ。ここはもっと冷静に」


 「冷静でいられる訳ないでしょ!! 私だって早くプレゼントを渡して帰りたいのよ。皆、心配しているだろうし。あんたは幼女からの放置プレイなんて寧ろご褒美みたいな感じだろうけどさ」


 俺はロリコンな上に、ドMかよ。変態街道まっしぐらだな。


 「俺だって……早く……」


 言えない、早く桜台則之を暗殺しに行きたいなんて言えない。

 俺は忍者だ、今から忍者になるんだ。


 「早く? 家に帰って何をするつもりなの?」


 「え!? え、えっと……魔法少女アニメの録画を見る」


 「御免、聞いた私が悪かった……死ね」


 「じゃあ聞くなよ!! 恥ずかしいなぁ、もう」


 その時だった、……一番恐れていた事態が起こった。何とこのタイミングで。


 「侵入者、発見。侵入者、発見。侵入者、発見。侵入者、発見」


 警報が鳴り響いた。それはもう高らかに。恐ろしい、音量で。

 俺達が見つかったのか、それとも俺達以外に潜入していた忍者の見習いが捕まったのか、いずれにせよ……任務失敗か!!


 俺の脳内は絶望の単語だけで埋め尽くされる。こんな……馬鹿な!!

 こんなところで……俺の夢が……崩れる!!


 

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