馬鹿みたいな性格
「どうせ、自分はサンタに向いてないんじゃないかって、また考えてたんでしょ。お爺様もサンタにも色々な個性があって良いって言っていたでしょ。あの言葉だけじゃまた不満。私は悩むことが必ずしも悪いことじゃないと思うけど、今は試験の真っ最中でこれからあと二つも試験が残っているんだから、気合い入れてよ」
向いていない、などはどうだっていい。例え俺がこの世界の誰よりもサンタに向いてなかったとしても、俺はこのサンタ試験に絶対に合格する。これは絶対条件だからだ、俺が悩んでいることはそんな事じゃない。
「俺は別に向いているかどうかなんて、どうだっていいよ。俺は例えどんな理由があろうともサンタになるから」
俺が気にしているのは、俺の精神の事だ。
「俺は忍者として育てられた。だから忍者としての技術がある。今回の一次試験もそれに助けになった。だが、俺は忍者としての力が全て良い方向に向かっているとも限らねぇ。主に精神面で俺は大損害を招いている」
無事に忍者に成りきっていたら、この性格でも良かったのかも知れない。だが試験に合格出来なかった理由は、俺のこの歪んだ性格だ。つまりこの俺の性格は、忍者としても失敗であったということだ。だが俺は忍者になれなかった理由である思考が、一般人的な思考であったわけでもない。
俺は何にも適さない性格を持っているという訳だ。俺は忍者として先を読む能力を人生の中で磨いているつもりが、タダの馬鹿が出来上がってしまっていたという事なのだ。
「よくもまあ、そこまで自分を卑下出来るよ。むしろそんな事考えているから駄目なんじゃない?」
駄目とか言わないで下さい。まあ確かに駄目なのだが。
「もう、分かったよ。そんなに深読みしすぎて失敗する性格なら、何も考えなきゃいいんだよ。技術は人一倍持っているんだから、あれこれ考えるより、失敗するのを覚悟してまっしぐらに突っ込むしかないんだよ。とにかく考えない、全てが終わったあとで後悔する。やらなくて後悔するより、やって後悔しろって奴だよ」
…………そんな馬鹿みたいな性格で物事が解決するかよ。俺は今、一世一代の大勝負、正真正銘の命を懸けたデス試験を受けているんだぞ。俺は今回の試験を落ちたら、本当に俺は死んじゃうんだぞ。
「慎重になるよ、俺だって」
「でも考えすぎて失敗するんでしょ。じゃあ考えないしかないよ」
それもそうだ、俺は深く考えたら墓穴を掘って失敗する。毎回、考えが遅くて時間が間に合わなくなり、それに焦って変な選択をし、普通なら気付きそうな馬鹿みたいな話でも、しっかり信じ切ってしまう。俺の弱さは完全にそこだ。




