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強面サンタクロース

「そう身構えんでもいい。霧隠三太君。君は問題なく一次試験合格だ」


 例え合格していたとしても、評価が悪くて後々(のちのち)の試験に悪影響を及ぼすくらいなら、始めからやり直したいと思っているだけだ。まだ制限時間的にも五時間くらいある。ここまでの時間を水の泡にしたのは勿論痛いが、まだ諦める時間ではないと思う。


 「これは私の勝手な推測だが、君は自分の評価を気にしているのではないか」


 ……その通りだ。目の前の強面こわもてのサンタクロースは語り始めた。


 「私もサンタになる時、とても不安に思っていたことがある。この生まれついたいかつい顔さ。子供達に怖がられるのではないか、こんな男を世間はサンタクロースだと認めてはくれないのではないか。そう思っていた」


 一見、この人の主張は俺の今の状況と関係が無いようにも見えるが、そうではない。『サンタらしくなさ』を共通点にしているのだ、この人が強面で、俺が忍者だという点、俺とこのお爺さんは確かにサンタらしくないという点で一致している。


 「君くらいの歳に私もサンタ資格試験を受けたが、この顔で不採用になるのではないかと心から心配していた。今でも子供達にこの顔を見られてしまったら、どうしようと内心は震えている」


 だが、この人はサンタ資格試験に合格し、今でもサンタを続けている。


 「だが、私は悟った。今のこのご時世は様々な個性の持ったサンタがいて良いのではないか。サンタは決して一人ではない、サンタにだって心があり、責任や立場があり、そして特質した個性がある。大切なのは、子供達にプレゼントを届けようとする意志だ。サンタらしさなど、二の次だ。サンタの服装に身を包み、トナカイを引き連れ、煙突を通り抜け、靴下の中にプレゼントを入れる。これが、サンタだ。それ以外はどのように装飾されても構わんと私は思っている」


 「じゃあ、忍者モドキがサンタになってもいいんですか」


 「勿論だ、私達が欲しいのは素早く与えられた仕事をこなせる人材じゃ。その分多くの子供にプレゼントを運んであげられる。まして七時間という制限時間を鵜呑みにし、ぐうたらやっている奴などサンタには不必要。私達が欲しいのは伸びる才能を持った率先力だから。技術や格式を誇示して欲しいのではない。そんな物は入隊してから、手に入れればよい。今はどんな手を使っても必ずプレゼントを届ける、その気概を持っている証拠を見せて欲しいのだから」


 現場の空気が変わった。全員が焦り顔になった。別に皆さんはぐうたらやっていた訳ではないだろう。寧ろ橇を取りそびれた俺の方が愚鈍のろまだと言える。皆の目には業火が灯ったように、それぞれが橇の練習に戻った。


 「……俺は」


 今回は都合よく解釈して貰っただけだと思う、運が良かっただけだ。凧上げの技術などサンタの実践で活用出来ないのは俺だって知っている。反省するところは、反省しよう。心にそう誓った。

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