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不法侵入だぜ

 「そう……侵入者ねぇ、あんたじゃないの?」


 っつ!! 馬鹿な、俺がここまで恥もプライドも捨てて、偽装工作をしたっていうんだぞ。それをあっさり見抜くなんて。どんだけ無慈悲な女だ、黙って見逃すっていう選択肢はないのか。

 いや、忍者の世界に慈悲など無用、必要なのは他人を蹴落としてでも勝利を手にする力のみ。俺は甘い、俺も無慈悲にならなくては。


 「お前こそ、侵入者じゃないのか? ババア」


 プツン。


 「おい、誰がババアだ? ただでさえサンタなんて仕事やっていると皆から『え~、お婆さんなの~?』とか言われて、イライラするていうのに。まだ、十六歳だよ、ロリコン野郎」


 いきなり本性を現しやがった。頭に怒りマーク付けて、超最高のスマイルで俺の胸ぐらを掴むサンタ娘。別に心からババアって思って言った訳じゃねぇよ。これは俺がロリコンだってアピールする為の演技であって……。


 「絶対に許さない、勝負よ!! ロリコンであるアンタとサンタである私。どっちが早くこの家の女の子の元へ辿り着けるか」


 挑戦状か、面白い。だが、俺は奴の作戦が見えている。

 まず俺を勝たせているという演出を醸し出し、俺にロリコン設定として、少女の部屋に向かわせて、その隙に自分は桜台の首を取りに行くって戦法だな。

 そんなことさせるかよ!! 勝負自体は乗ってやるが、逆に俺がお前を裏切って桜台の元へ行ってやるぜ。残りの挑戦者があと三人もいるんだ、これ以上時間を食ってられない。


 「よし、受けて立つぞ。ロリコンの愛情パワーを見せてやる」


 「はいはい、じゃあ私が先に煙突の中に入るから」


 「何っ、始まって早々にフライング宣言かよ」


 「違うわよ、あんたが先に入ったら……その……いろいろとまずいでしょうが!! ちゃんと下で待っといてあげるわよ」


 信用デキネェ、しかしいくら任務の為とはいえ一歩間違えればセクハラで訴えられそうな行為をする訳には……煙突の下から女性の……ねぇ。


 「よし、分かった。先にいけ。俺はババアには興味がないからな」


 「はいはい、気持ち悪い」


 そう言いつつ、煙突に手を掛けたサンタ。

 まあ絶対に罠だな、フライングでスタートなんて甘いもんじゃない。

 俺が降りてきた時に、何かしらのトラップが待ち構えているに違いないだろう。だが、俺をここまで追めた褒美だ、ハンデをくれてやる。

 先に進み、この『モンスターキャッスル』の餌食となってしまえ。


 「あ、名前。名前を聞いてなかったわね。私は国谷朝芽くにたにあさか。あなたの名前は?」


 自己紹介っ!! 忍者が忍者に名前を語っちゃったよ、駄目でしょ。

 とか、思いつつも、さすがに答えないのは失礼か。

 まあ、失敗すれば忍者の世界から名前など消えるのだ、言っても問題無いだろう。どっちかが、忍者にはなれず、ここで落第するのだから。


 「俺の名前は霧隠三太きりがくれさんただ」


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