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サンタ資格試験

 こうして迎えたサンタ資格試験当日。

 俺はというと、プレッシャーに押しつぶされそうになっていた。


 試験日は元旦からそう日にちを経っていない、簡単に言うと極寒の日々。その上雪山に行こうなんて死ににいくみたいな物だ、服を何層にも重ねているが寒くて寒くて仕方がない。だが、この試験会場に行かなければ、雪山で遭難よりも恐ろしい、忍者の拷問処刑が待っているかもしれない、俺は黙って我慢することにした。


 場所はとある雪山の最端、電車も地下鉄も何もない田舎を通り越してもはや秘境とも言うべき雪山である。そこに向かうには今日一日限定のバスに乗るしかない。ちなみに往復一本だけ、乗り過ごせば完全にアウト。本部に用事があると言って国谷と一緒に同行して正解だった、雪に覆われて、と言うか雪に埋もれて見えなかったバス停の場所を教えて貰えなかったら、受験会場に行けずにそのまま失格だった。


 バスを降りるとそこには、まるで工場のような建物があった。想像していたよりも随分と近代的で、中世の洋風なイメージはさらさら無く、そこにはただの鉄製のシャッターが構えているだけだった。


 「私が入隊する少し前に大きな工事をしたみたいなの、全て自分達でね」


 「本当か、すげぇな。サンタってファンタジーの世界の中だけだと平和的な逸話だなってくらいだけど、本物を目の前にすると思ったより企業的だな」


 「当たり前よ、少しは見直した?」


 別に馬鹿になどしていない、ただ忍者よりかは温い集団だと思っているだけだ。


 建物の中に入ると直ぐに受験票を確認され中に入れた、国谷はカードのような物を受け付けにかざすだけの仕草だった。試験に合格すれば俺も貰えるのだろうか。


 建物の中は暖房が効いているみたいで、非常に温かかった、今まで命綱であった服が、今度は暑苦しく感じたくらいだ。ロビーのような場所に誘導された、そこには多くの受験者がいた……主にぱっと見て変人だとしか思えない奴ばっかりが。


 「毎年、こんななのか?」


 「えぇ、サンタ試験の存在に気付く人って基本的に変人ばっかりだから」


 具体的にどんな変人が混ざっているかと言うと、パソコンに鬼の形相をしてまるで爪とぎをするかのようにキーボードを叩いている男や、癖毛なのかパーマなのか知らないが少し橙色に近い赤色のアフロの女や、『コスプレイヤー』と黒い字で書かれた白いTシャツ一枚の男とか。


 「何だこれ、お笑いコンテストでも始まるのか?」


 「いえ、全員が今年サンタになるべくして集まった挑戦者達よ」


 冗談だろ!! サンタじゃなくてピエロを目指せよ、サーカス団の資格試験に見えるわ!! あのパーマのせいで!!


 「いやあんたも、忍者もどきのロリコンって相当変なキャラだと思うけど」


 違う、くれぐれも俺はロリコンじゃない。


 

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