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試験のアシスト


 という訳で俺は、我が主様である桜台制覇へ、サンタ試験に合格すべく筆記試験の内容に出題する可能性がある、サンタからプレゼントを受け取れる条件や、その辺の概要を教えて貰うことにした。


 「君はそんな質問をする今頃するってことは、君は合格する気がないのかい。僕は君に期待しているんだ、あまり幻滅するような事を言わないでくれたまえ。今すぐにプリントして作成してあげるから、それまでの待機の時間はそこで正座しておきたまえ」


 怒られた。年下の女の子に正座させられた。屈辱を通り越して、もう最近どうでもよくなってきた。あぁ、どうでもいいや。


 「すいません、本当に面目ないです。弁解する気はありません。これからは抜かりないようにしっかり対策します。甘んじて正座させて頂きます」


 申し訳なさの気持ちなど一切ねぇが、一応常識的に上司と部下なのだから、媚を売っておこう。


 「随分と気持ちの入っていない『ごめんなさい』じゃないか。君は自分の置かれている立場を分かっていないようだね」


 分かっているさ、だがそれを知ったところで、俺の場合は駄目なんじゃないか。だって考えすぎて暴走するし、変な考え方にするし、訳の分からない言葉の捉え方をするし。自分を冷静に分析したところ、俺は考えすぎる習性にある人類ということだ。今回のサンタ試験だって、下手に考えすぎで、暴走して、裏を読み間違えて、失敗しては困る。俺はこの人生のラストチャンスであるサンタ試験までも、自分の情けない体質で、失敗する訳にはいかないのだ。


 俺はこの自分の弱点への対策として、とある発想に至った。『考えすぎないこと』。つまりは気分を落ち着かせて、リラックスして、クールに心を持っていこうとすべきである。情熱とは巻き起こすものではなく、心の中に秘めるべき物なのだ。


 「まあいい、こちらの用意は完了したよ。君の受験票の提出だ。試験内容の確認を理解して欲しかったがね。それも大概こっちの方でだいたい理解すべきことは把握したよ」


 やっぱり国谷朝芽に聞くべきではなく、すぐさまこの人に試験内容を教えて貰うべきだった。


 「でもどうしてこんなに俺をアシストしてくれるんですか。完全放置の体制なのかなって思っていたんですけど」


 「君に全てを任せていたら、叶う夢も叶わないよ。僕は来年のクリスマスプレゼントを必ず奪わなくてはならないんだ。例えどんな汚い手を使っても、僕はプレゼントを頂く!!」


 そこまでして、何が欲しいっていうんだ。まあ、その設定があるから俺は生き長らえている訳なのだが。


 「別に僕は君の為にアシストをしている訳ではないよ。僕は僕の為にやっているんだ」


 


 

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