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問題発言じゃない!?


 場所を特定した。制覇様の居場所ではなく、国谷の場所である。携帯に端末機能がついていたのだ。そこまで特出するほど、難しいロジックじゃない。もっと言うと、こんな馬鹿みたいなロジックは俺の姉には簡単にバレているだろう。だから……奴はまっているのだ。獲物が蜘蛛の巣にかかるのを。


 俺の姉で大量殺人犯。狂気の暗殺者の暗殺者。既に戸籍から消えた死人にして、死を断定した連中を消した連中を消した女。あの金髪でマッスルな教育評論家のサイボーグの相方。


 「待ち構えているわけか。やっぱり狙いは俺ですからね。あいつにとって、制覇様も国谷も結局はただの囮でしかなかったのか。本当に許せない」


 「格好良い台詞の後に悪いのだが。お前、勝算あるのか? 絶対に勝てない相手っていう設定じゃなかったっけ?」


 「分かっているよ」


 どうせアデライトさんの脳内には、さっきの金髪みたいに、相手が俺に情けをかけてくれる事を、期待していると思われているのだろう。そんな茶番は二度とない。特に俺の姉にとって、仕留め損ねるなんて有り得ない。それと、見逃すとか、庇うとか、助けるとか絶対に有り得ない。


 「どうせ、あの金髪も俺がおねえちゃんに会うために、自分は役を預けたに決まっている」


 もし金髪が本気で俺と戦ったら、俺は死んでいた。俺は金髪にとって大義名分を持った悪役でも、倒さなくてはならない宿敵でもなかったのだ。話し合いの相手、語り合う先輩後輩。軽くあしらえる餓鬼。それが今回の結末から導かれるあいつと俺の関係だ。俺は勝ったのではない、勝たせて貰ったのだ。


 現在はサンタクロースの格好でトナカイが引っ張る橇に乗り、アメリカを横断中である。そろそろ夜が明けてきた。あの金髪のせいで時間をくわれた。


 「着替えを持ってきて正解でしたね」


 「お前……どうして俺のサイズの服を持っていたんだよ。俺は着替えなんか用意していなかったぞ」


 だって、服が水浸しになるような未来なんて、予想できなかったもん。


 「…………あなたが好きだと言ったはずです。だから、有名人が使った私物って回収したくなるじゃないですか」

 

 「は? 今のかなり問題発言じゃない!?」


 あれ? 俺がサンタクロースの服を使ったのって……あっ!! サンタ認定試験の時にも確かに着替えたな。って、それなのかよ。


 「好きですけど、どうやら私に気持ちが傾く感じはないですね。ロリコンは気持ち悪い……それでも行くのでしょう」


 「気持ち悪いのは百も承知だ。だから……せめて自分に嘘をつかずに、本当の俺で制覇様に会いにいく」

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