サンタクロースが一番されたくない行為
なんであんなのがいるの?
率直にそんな言葉が頭を覆い尽くした。予想外なアクシデント過ぎたのだ。これがもし、散弾銃による迎撃だの、小型ジェットでの特攻だの、忍術での網などの罠が張り巡らされているとかだったら、まだ対処にしようがあったかもしれない。なによりここまで動揺しなかった。しかし……まさかこんな、サンタクロースが一番されたくない行為をされるなんて。
サンタクロースは絶対に誰にも見つかってはならない。子供にも、大人にも。だからこそ、近年は動きづらいのだ。それは魔法を使っている事を世間に認知されることを防ぐためもあるが、そもそもサンタクロースは『見てはいけないもの』という暗黙の了解があるのだ。ここ最近の新聞記者だのコメンテーターだの……視聴率の為にプライバシーを侵害しやがって。
「大丈夫。慌てるな、二人共。取り乱すな。今から魔法で光学迷彩を放ち、我々を透明にする。しかし……上級魔法じゃ。私でも時間がかかる」
そんな奥の手があったのか。しかし、発動に時間がかかるらしい。このやり取りの最中にもヘリコプターは接近してくる。距離を縮められない。トナカイ達はダッシュで逃げられるだけの体力は残っていない。今まで三時間近くも働いている為に、体力は底を尽きたのだ。
「Email of the mystery came from viewers was true. "Santa Claus is wandering close to this region." E-mail sender is unknown, but he will be a definitely the person who interpretation the mysteries of the world. Well, what kind of guys they are given to the Santa Claus. More closely. Let's continue to unravel the mystery! ! ("視聴者から来た謎のメールは本当でした。『サンタクロースがこの地方の近くを徘徊している』。メールの送り主は不明ですが、彼は間違いなく世界の謎を解き明かした人物となるでしょう。さぁ、サンタクロースとはどんな連中なのか。もっと接近して。謎を解明して行きましょう!!)」
なんて喋っているか分からない。俺は英語は分からないから。しかし、奴らが俺たちを追いかけているのはわかる。このまま俺たちを視聴率の出汁にする気か。
「どうする……このまま身を潜めているのか……」
なんて愚劣なことをしやがった。俺の姉よ。サンタクロースを陥れるような真似をするなんて。大事になったら、収集がつかないぞ。
「そうですね。このままだとサンタクロース協会のアメリカ支部の皆様に迷惑がかかります。どうもまだ相手はこっちを本物のサンタだとは思っていないようですね。この隙に迎撃します」
は? 迎撃? 迎撃するの?




