クリスマスムード
「浮かれているようだが、君はちゃんと自分の置かれている立場を理解しているのかい? この任務を失敗、つまりはサンタ資格試験に失格したら、君はクビだよ」
………え?
「いや、当然だろう。僕の最重要課題が水の泡になるんだ。責任重大なんだよ、君の今回のミッションは。絶対に失敗して貰っては困るんだ、来年の僕のクリスマスプレゼントを死守する為にはね。という訳で、絶対に合格して貰うよ、どんな汚い手を使ってでも、隣の受験者を殺してでも、絶対に合格してくれ。さもなくば、君はクビだ」
いや、忍者はそもそも任務失敗は絶対に許されない存在ではあるけれども……。サンタ資格試験なんて正直自信が無いにもほどがある。不正行為もなにも、その試験の概要すら俺はよく知らない。まあ情報については、今から調べるにしても、俺にサンタに素質などあるのだろうか。
それに俺はこの家での暗殺ミッションを盛大に失敗している。俺に実力があると評価されているとは到底思えないのだが、どういう了見で俺を試験会場へ送り出すつもりなのだろうか。
「話は以上だ。エントリーシートはこちらで準備しておいてあげるから、君は今からでも準備に取り掛かりたまえ。何せ忍者の任務失敗は死を意味するからね。僕は君を追い出すだけで殺すまではしないが、暗部の連中が君のような中途半端な存在を放置するとは限らないよ。全力でファーストミッションをクリアしてくれたまえ」
そうだ、忍者の任務失敗は死を意味する。って、俺はもう、忍者じゃないんじゃなかったっけ!!
★
情報収集だ、敵陣に乗り込むにはまず、敵の戦法や陣形を正確に理解することが一番の勝利への近道だ。何せ命が掛かっているからな。
「でさぁ、国谷さん。俺にサンタ資格試験のもう少し詳しい内容を教えてくれないでしょうか」
とあるファミレスの座席に二人で座っている。国谷側の机の上にはオレンジジュースが、俺は何も注文していない。
現在、午前二時。外はクリスマスムードが一夜にして消え失せ、正月モードの姿へと姿を変貌させていた。
「サンタとしてはちょっと虚しいかな。何か一気に忘れ去られるんだもん。なんかねぇ、自分達の存在が復活するのがまた来年だと思うと、本当に虚しいわ。え、でなんだっけ。あぁ、サンタ資格試験の話か。はいはい。で、何が知りたいの?」
随分とノリが軽いなぁ。俺の命が本気で掛かっている訳なんですけど。
「全部だよ、全部教えてくれよ。お前は合格したんだろ、この試験」
「えー、私が試験受けたのって三年前だからなぁ」
何歳から受けられるんだよ、その試験!!




