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じゃあもう諦めるのが男道ってものだろう

 俺を解雇しない、それは俺が最初から桜台制覇の差し金だと分かった上で、俺をサンタクロースとして採用していた。だから今更な話ではあったのだろうが。制覇様がサンタクロースと話をつけたのならば、これで魔力を無断引用の話も無くなったと考えるのが妥当だろう。


 「それから霧隠三太君。これから君はどうするつもりかな? 来年まではこの店で従業員として働いて、来年からは高校一年生になるのが、我々の機関の思い描いている君の『これから』だが」


 俺は制覇様を救う気持ちでいた。だが、俺は心配をしていただけで、彼女の役に立ったかどうかは疑問な話だ。解雇通知を出されたのならば、俺はこれからどうやって制覇様の元に会いに行けばいいのだ。彼女は超人になることや、世界征服を諦めたのだろうか。何もかも謎なまま、全てが終わっていた。


 「老婆心ならが言わせてもらうが、君はもう桜台制覇に合わない方がいい。君の為にも、彼女の為にも」


 「アデライトさん……」


 「君がいると彼女は彼女でなくなる」


 制覇様の周囲の人間は、駄目な意味で『イエスマン』ばかりだった。制覇様に従い逆らわず、言いなりになっていた。理由は簡単、奴らは制覇様の部下でも友達でもなく、桜台則之の部下だったから。俺くらいだったのだ、本当に彼女の為に動いていたのは。あの金髪やコスプレイヤーにはさぞや滑稽に写っていただろう。


 「君はもしかしたら彼女を替える事の出来る唯一の存在かもしれない。あやまちを未然に防ぎ、桜台制覇の本当のヒーローになれたかもしれない。それでも……彼女は『戦う』ことを選んだのだろう?」


 そうだ、俺の必死の説得を聞き入れていは貰えなかった。最終的な決断は世界と戦うという目標になったのだった。


 「じゃあもう諦めるのが男道ってものだろう。見捨てるんじゃない、送り出すんだ。彼女はもう『守られる側の幼女』じゃない。もう君が可愛いと思う存在じゃなくなったという話さ」


 そんな簡単に結論を出さないで欲しい。これから制覇様が本気で世界に喧嘩を売るとしたら。多くの人が怪我をする、町が火の海になる、多くの物が被害に合う。


 「現代人は『権利』だの『義務』だの『被害』だの、そんな非生物社会的な発言を繰り返す生き物だけどさ。この世界が生まれてから、歴史は全て、『誰かの自分勝手』で進んでいるのさ。捕食される側は文句なんか言う暇はない。弱かった、危機感を持っていなかった自分が悪い。そうだろう。死ぬ直前になって走馬灯にように、生物社会に引き戻されるだけさ」


 ……だから制覇様は悪くないと言うのか。このまま制覇様を見捨てて、世界の終焉か、もしくは悪の大結社の惨敗を傍観しろと言うのか。残酷だ、一度は彼女を本気で守ろうと思った、俺に対する冒涜だ。

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