サスペンスのクライマックス
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制覇様に合わせる顔がない。忍者だったら任務失敗など、ありえない話だ。それを……任務を達成した上で失敗の報告をするなど。その逆なら卑しい人間の弱さって事で納得できるだろうが。主君を裏切るなど、本物の忍者よりも外道だ、たぶんそいつは忍者失格だと思う。
失格もなにも、俺は忍者ではなくサンタクロースなのだ。そう簡単に割り切れれば、ここまで精神的な苦労は必要ないのだが。俺は……どうすれば……。あのコスプレイヤーの言う通りに、結局は制覇様の研究室にたどり着く最後まで、俺は結論を出せないまま考え苦しむ羽目になった。
「待っていたよ。ロリコン」
「お待たせいたしました、制覇様」
いつもの空に浮いているかのような、相手を見下ろす椅子に座っている。映画撮影とかに大物監督が使うアレだ。
「さぁ、では手に入れた代物を見せて貰おうじゃないか。それともやっぱりなにも得られなかったかい?」
「いいえ。見つけましたよ。おそらく制覇様が一番に欲しがっている物が」
俺は考えた果てに答えなど見つけられず、自分の本心という物に頼ることにした。それが正解か不正解かなど関係ない。ただ俺が選びたい選択肢を選ぶ、俺が向かいたい道を歩く。それが仮に最悪の事態を招いても、それでも構わない。
「そうかい。それは良かった。じゃあ……」
「その前に制覇様。お伺いしたいことがあります」
主君との会話に関係ない話題を引き出す。忍者なら完全にタブーだ。いや、忍者じゃなくても、会話にはテンポという物がある。そういうのは、話が一段落してからする物である。そのくらいの常識はある。でも、今の俺には……ロリコンには常識よりも大切なものがある。
「おい、どういうことだ? くれるんじゃないのか?」
「制覇様。例のプロジェクトの話なのですが……」
制覇様がクリスマスプレゼントを利用して行おうとしている、秘密のプロジェクトがあるという。俺はそれがずっと気になっていた。
「まだ教えないと言ったはずだろう」
「いいえ。俺はそこまで感の鈍い人間じゃないです。もう全体像は見えています」
世界征服、もし俺が考えていることが正しいなら、答えはそうだ。彼女は特撮ヒーローとかで出てくる、悪役の代表格になろうとしている。
「ほう……それは興味深い。君と僕はそんなに親しいという間柄でもないのに……どうやって割り出したのやら……。聞こうじゃないか。その直感を」
「世界征服とかでしょう?」
…………………。
俺はあっさりとしていた。考えすぎで頭がどうかしていた。自分でもそう思う。だから俺の質問は、本来ならば間を置いたサスペンスのクライマックスになるタイミングがこんなにも……薄っぺらだった。




