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それどころの騒ぎじゃない

 「それで、霧隠三太君。お弁当がしっかり空になっていることを見ると、工場見学には行ってきたみたいだけど……その顔じゃまだ悩みがあるようだね」


 コスプレイヤーの今日の格好は黄色いお花である。チューリップだろうか。幼稚園とかでお遊戯会をする際に着せられるあの格好を、大人が大人サイズで着ているのだ。もう最近は驚くに値しなくなった。


 「機密文書をさっさと制覇様に届ければ万事解決だろうが。なにをウジウジする理由があるんだよ」


 「…………それを渡したせいで、世界が滅んでもいいのか?」


 俺は言った……確実に禁句を。言い訳をすると、俺はそこまで言葉を選べないほどに困惑していると脳内解釈するが、要するにこいつらに秘密にするのが面倒になった。


 「世界が滅ぶ?」


 「あぁ、話を盛っているつもりはない。桜台制覇様なら充分にありえる話だろう。あの人の秘密のプロジェクトって奴が、もうじき見えてきたってことさ」


 桜台制覇は邪悪な人間だ。人間の限界を超越し、その上で裏の世界の権力を握っている。あんなに腕力は欠片もない幼女が、世界を揺るがす悪夢になりかねないのだ。きっと彼女は俺たちには信じられないスピードで学び終えるだろう。俺がその勉強できる状態をセッティングすることができれば。


 その時に、全ての計画が花開き、今まで隠していた大切な休戦協定が崩れさり、世の中が火の海へと化すだろう。


 「俺がここで下手な芝居でも誤魔化さないと……」


 あの人が世界の害悪になる。正義の味方でいう悪役的な存在となる。戦争の仕掛け人はどれだけ戦場に傷跡を残そうと、偉業を成し遂げようと、それでも浮かばれる最後にはならないだろう。本当に制覇様が戻ってこれない次元へと行ってしまう。


 「お兄ちゃん、どうしたんだよ。さすがにビビリ過ぎだろうが。いくらあの暴君でも、そこまで大それた事は考えていないだろうさ。きっと国家権力に挑発してみたいとか、そのレベルだろう」


 「いや、霧隠くんの頭の中の想像は……『考え過ぎ』でも『ビビリ過ぎ』でもないだろうね。このままストレートにいけば桜台制覇ま間違いなく……歴史の教科書に悪名高く載る存在になるだろう」


 コスプレ野郎。お前が便乗してくるとは考えていなかった。


 「あの子は……根っからの悪だ。人間は弱い生き物だから、育てられた環境や、親の教育方針が成長に著しく影響するが、彼女の場合はそれどころの騒ぎじゃない。あの子は……終わっている」


 それは……。桜台制覇が全ての『非現実的な世界』に進行していることだろうか。

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