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とことん遊びじゃない

 参加者がもう一人……美橋及火の家の工場は一般のソレとは訳が違う。今回の潜入する場所は日本のサンタクロース御用達の専門工場である。一般の連中が入り込んで良い場所はない。その四人目は間違いなく、サンタクロースである人物だ。


 「今回の工場見学は私と霧隠三太君のサンタクロースとして学ぶべき勉強のひとつ。云わばこれもサンタとしての試練。君は私の家に来たがっていたけど、そもそも遅かれ早かれ、今年の12月24日までには、私の家にお邪魔する予定だったのよ」


 「そうそう、私もサンタになった年に、及火とお友達になったもん。工場見学に行った時にね」


 なんだ……だったら俺は堂々とサンタの実習として、胸を張って中に入れる訳か。サンタとしての待機名分で歩き回れば、秘密文書の入手も『興味津々で工場を探検していたら、皆と剥ぐれました』とか言えばいいな。


 「それで四人目はどなたなんですか?」


 「来ましたよ」


 美橋の指先に目線を向けると……そこには俺の知っている奴がいた。アデライデ・クリスティアーノ。本名はそんなんだったと思う。確かサンタクロースでありながら、魔女であって、魔術か何かで自分の歳を偽っているのだったな。


 「どうしてあの人が」


 しかも格好は度肝を抜かれた。いくら見た目は本当に幼女にしか見えないと言っても、いい歳したババアが……猫のようなコスプレをして街中を歩いてくるのだ。耳に尻尾に歩き辛そうな足。何を思ってあんな痛い格好をしているのだ。お婆ちゃんよ。


 「今回の工場見学の現場監督に任命されたみたいですよ。国谷さんと一緒に。サンタクロースを教育できるのは、現役のサンタクロースしかいません。現地に近いサンタクロースが駆り出されるのは日常茶飯事です。五年後とか覚悟しておいた方がいいですよ。あなたも」


 そこまで俺が生きていれば……の話であるがな。その前に制覇様に殺されている気がしない事もない。


 「そうだ。この私が今年の新人であるお前たち二人を教育するのだ。とは言っても、美橋及火は玩具に関してはスペシャリスト。私よりも上手じゃろう。だから……今回の生徒はお前じゃな」


 監視官がいるのかよ。とことん遊びじゃないって感じだな。これで奴の目を掻い潜て逃げ出すのは困難になった。授業中に自由時間とかありはしないだろうか。あって欲しいなぁ。


 「前回のサンタクロース資格試験じゃあんたの顔を見なかったが」


 「私は喫茶店の仕事をサンタの仕事の兼業している。休みを取れる場合と取れない場合がある。サンタ同士が役割分担して全ての仕事に望む。これも基本的な発想じゃ」

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