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初任務

 今日は俺の装甲忍者としての、初陣だった。故に失敗は絶対に許されない。

 難攻不落の城、『モンスターキャッスル』と呼ばれた御宅。狙うはそこに住まう男、桜台則之さくらだいのりゆき、こいつを抹殺することが今日の任務である。

 

 俺の家系は全て忍者だった。今は時代からも姿を消し、ひっそりと一般人に隠れて生きている。

 日頃は普通に高校生として生きている俺は基本的に忍者だとばれない。運動などでは絶対に本気を出さないし、一等賞にならないという入念ぶり。私生活でも忍術や小道具など使わず、一般的生活用品だけだ。唯一、バレてしまいそうで怖いと思うのは、この俺の霧隠三太きりがくれさんたという名前だ。よく小学生の時に馬鹿にされた。


 今回の任務で重要なのは、正確さと速さである。

 俺以外にもルーキーが五人、同じ目的で城の中に潜入する。勿論、同時行動など取らない。

 これは実践であり、試験でもあるからだ。それぞれが、多数の場所から城の中に入り、誰が則之の首を取って来るか、競い合うのだ。これは誰か一人でもヘマをすれば全員が捕まる可能性もある。撤退命令が出てもそこまでだ。つまり最高一人しか合格せず、最悪誰一人正式な忍者にはなれないのだ。


 「この任務を完了させて、忍者になるのはこの俺だ!!」


 決戦は12月24日。今夜で俺は本物の忍者になる。



 忍者服の中に必要な機材を入れ、用意は完了した。

 クナイ、ワイヤー、手裏剣、煙玉。あと我が家秘伝の刀。そして愛犬の『佐助』。

 空を見上げると、十分に闇に隠れられるほど暗くなった。さて、潜入の時だ。

 両親に別れを告げ、兄弟に背を向け。

 死と責任の狭間に押し潰されそうになりながら、俺は闇の中に姿を消し、ゆっくりと目的地までたどり着いた。


 他の皆はどこから侵入する予定だろうか? そう思いつつ、誰にもバレることなく、どうにか俺は侵入ポイントに到着していた。この『モンスターキャッスル』。キャッスルというだけあって、豪邸というより、完全に城だ。軽いデパートくらいの広さがある。そこまでいくと生活し辛いだろうに。

 表には警備員が五人ほどいた、今日が狙われる日だと、バレているはずはない、だから日頃からこんだけ人数がいるってことなんだろ。凄い警戒ぶりだ。


 「外にいる奴は任せたぞ、佐助。後で合流しよう」


 小さな声で吠えると、佐助はそのまま直進していった。


 「おい、庭に野犬が入ってきているぞ」

 「追え、ひっとらえろ!!」


 頼んだぞ、佐助。そう思いつつ、警備員の目を盗み、庭に植えられている木々を、音もなくロープで移動する。佐助を三人ほどで追いかけているらしい。残り二人も視線は完全にそっちを向いている。


 俺はそのままロープで、屋根まで到達した。俺は窓からではなく、とある場所から侵入する作戦にしたのだ、その場所とは煙突だ。

 俺は格闘技術は少ないので、警備員を一撃で眠らせる自信が無い。だから表立った場所からの侵入は不可能だった。しかし、奴らもまさか煙突にまで気を張ってはいないだろう。

 

 屋根の上まで来て、辺りを見渡す。よし、誰の視線も感じない。早く中に入ってしまおう。

 煙突に手を伸ばそうとした、その時だった。何やら聞き慣れた音が聞こえる。鈴の音?

 気付かれたかと思い、慌てて音源を探すが見当たらない、だが前方から変な物体が近づいて来る。

 あれは、鹿……いや、トナカイだ!!

 なんか暑苦しそうな赤い服を着た、二頭のトナカイに橇を引かせ、その橇に大きな白い袋を乗っけている。何なんだ、一体あいつは?


  



 

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