壁
人生、思わぬ所で壁にぶつかることがあるだろう。
道を歩いていたら何かに、ぶつかった。
此処は、人通りも多く人に当たってしまったのだろうか、いや違う本当に壁があるのだ。
電話ボックスに閉じ込められたみたいだ。
壁を触っていると、まるで外から見るとパントマイムをしている人のように見える。
外の人は不思議そうに通り過ぎていく、これでは良い見せ物だ。
俺は、外の連中に叫んだ。
「助けてくれよ!なんかさ、目の前に壁があるんだよ、レスキュー隊呼んでくれよ。」
周りの人はまるで聞こえていないようだ。
「おまえら無視すんじゃねえよ!」
俺は壁を叩いた、外には聞こえていないようだ。
「どうしたら良いんだよ、このまま出れなきゃ確実に死が待ってるぜ。」
あれから数時間たち、お腹もすいてきた、そうだバッグの中にチョコレートがあったんだ。
バッグの中からチョコレートを取り出す。
「タララタッタラー♪チョコレート、遭難した時の必需品なのだ。」
きっと、都会の真ん中、しかも、人込みの中で遭難したのは俺だけだろう。
そうだ携帯が有ったんだ、これで助けが呼べる、助かったー。
家に電話することにした。
「圏外…、嘘だろ!周りの奴ら、携帯使ってんじゃねえかよ!なんで俺だけ圏外なんだよ。」
そして俺はひらめいた。
「そうだ携帯に文字書いて見せれば良いんじゃ。」
しかし、何を書けば良いんだ…。
「なんて書こうかな、『俺の周りに壁があるんだよ動けないんだ!何とかしてくれ』これでよし。」
外の奴らに携帯画面を見せた、すると向こうからも携帯画面をこちらに見せてきた。
『よじ登れ、乗り越えろ、負けるな頑張れ!』
壁の上を触ると乗り越えられそうだった。
「これが、人生の壁なんだな。」