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約束の終わり

作者: 明葉いより
掲載日:2026/04/15

 久しぶりだね。

 きみが亡くなって……、もう四十三年か。

 墓参りに来るのも久しぶりだから、ここへ来るのに戸惑ってしまった。

 僕はジジイと呼べる年齢(とし)だよ。娘は結婚して孫がいるんだ。


 だから、きみとの約束を終わりにするために、ここへ来た。

 残りの人生は、妻や家族を想って過ごしたいから。


 きみは裏切りと思うだろうか? それとも恨むんだろうか?

 ……いや、きみなら笑って許してくれるだろう。


 最近のことは忘れるくせに、「忘れないで」といったあの切ない約束、学校で一緒に過ごしたことは忘れない。きみの明るい笑顔は今でも思い出せる。

 そう、ずっと消えない。思い出は壊れない。

 死ぬまで忘れることはないからこそ、終わりにするよ。


 本当に青春の日々を、楽しかったあの時をありがとう。

 わずか十七歳で逝った、明るい笑顔のきみへ。


 僕は最後、花を供えて線香を灯し──手を深く合わせた。


 閉じた瞼の裏は明るくて、学校の教室が浮かんで、きみがいた。

 にこりと笑いながら何かを告げて、世界が明るくなって一気に消えた。

 あぁ、なぜだろう。涙があふれて止まらなかった。

 そして、その不思議な光景を最後に、僕はきみという思い出を、鮮明に思い出すことができなくなった。

 あの不思議な光景の中で、きみはこう言ったから。


「本当にありがとう、さようなら」


 本当のお別れの、約束の終わりの言葉だった。

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