約束の終わり
久しぶりだね。
きみが亡くなって……、もう四十三年か。
墓参りに来るのも久しぶりだから、ここへ来るのに戸惑ってしまった。
僕はジジイと呼べる年齢だよ。娘は結婚して孫がいるんだ。
だから、きみとの約束を終わりにするために、ここへ来た。
残りの人生は、妻や家族を想って過ごしたいから。
きみは裏切りと思うだろうか? それとも恨むんだろうか?
……いや、きみなら笑って許してくれるだろう。
最近のことは忘れるくせに、「忘れないで」といったあの切ない約束、学校で一緒に過ごしたことは忘れない。きみの明るい笑顔は今でも思い出せる。
そう、ずっと消えない。思い出は壊れない。
死ぬまで忘れることはないからこそ、終わりにするよ。
本当に青春の日々を、楽しかったあの時をありがとう。
わずか十七歳で逝った、明るい笑顔のきみへ。
僕は最後、花を供えて線香を灯し──手を深く合わせた。
閉じた瞼の裏は明るくて、学校の教室が浮かんで、きみがいた。
にこりと笑いながら何かを告げて、世界が明るくなって一気に消えた。
あぁ、なぜだろう。涙があふれて止まらなかった。
そして、その不思議な光景を最後に、僕はきみという思い出を、鮮明に思い出すことができなくなった。
あの不思議な光景の中で、きみはこう言ったから。
「本当にありがとう、さようなら」
本当のお別れの、約束の終わりの言葉だった。




