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第6話 王妃に相応しい者

 朝食が済んだ後、ジェラルドは公務へと向かい、そしてエリゼはセドリックに連れられてある部屋に向かっていた。


「セドリック様、これから私は何を?」

「陛下の婚約者、ひいては未来の妃ですから、妃教育を受けていただきます」

「妃教育……」

「はい、つきましてはこの部屋で毎日鍛錬を積んでいただきます」


 そうしてセドリックはドアを開けると中にはいかにも厳しそうな眼鏡をかけた女性が立っていた。


「お待ちしておりましたわ、エリゼ様」

「では、ウェールズ女史、あとは頼みましたよ」

「お任せくださいませ」


 セドリックはそう言い残すと自身はジェラルドの元へと向かった。

 残されたエリゼは目の前にいる女性──ウェールズ女史に向かってカーテシーで挨拶をする。


「ごきげんよう、ウェールズ女史」

「ごきげんよう。私のことはクラリスと気軽に呼んでくださいませ」

「か、かしこまりました」


 意外ときさくそうな雰囲気に少し安堵したのもつかの間、クラリスは机に山積みになっている本を何冊か抱えると、そのままエリゼに手渡した。


「わっ!」


 あまりの重さにエリゼは前のめりにこけそうになるが、慌てて上半身をうしろに傾けてバランスを取った。

 クラリスはその様子をほとんど見ることもなく机の方に戻ると、本の上に手を置いてエリゼに告げる。


「エリゼ様、あなたの妃教育を厳しくしてほしいと陛下とセドリック様より賜っております。厳しくいきますので、お覚悟を」


 その真剣な目つきにエリゼは少しすごんでしまったが、負けじと大きな声で返事をする。


「はいっ! お願いします!」

「あなたはどんな思いでこの妃教育を受けるのですか?」


 そう言われて、エリゼは少し困った表情を浮かべた。

 しかし、次の瞬間には昨日の夜にジェラルドと一緒に眺めた月と、ジェラルドの横顔、そして呪いで苦しむ彼の表情が浮かんだ。

 そうして、彼女は強い目をクラリスに向けて覚悟を語った。


「私は、ジェラルド様のお役に立ちたいです。あの方は、私の不安や弱さを一緒に受けると言ってくださっています。そんな優しい方のお役に少しでも立てるようになりたいです。私が王妃となるに相応しい人間か……見ていただけないでしょうか?」


 その言葉を聞き、クラリスは少し驚いた後、すぐに満足そうな表情を浮かべた。

 そうして、一気にピリッとした空気感を漂わせると、エリゼに初めての任務を与える。


「では、その手の中にある文献を1週間で読み、そして全て覚えてください!」

「え……?」


 エリゼに早くも大きな試練が訪れようとしていた──。

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