サイドA-6 ステータスを設定する
ストレージと鑑定スキル獲得を終えたホクトは、次に300連ガチャにとりかかった。
ちなみに時間は、ログインしてはや4時間が経過していた。
やっていることはほとんどなかったが、理解と検討を重ねながら慎重に進めていたため、ホクトが思った以上に時間は経過していた。
おそらく300連ガチャすべては、残りの時間では引けないであろうことはホクトにも予想できた。
それにあっというまに引いてしまったのでは、なんだかもったいない気もした。
300連ガチャには、特典がさらについていた。
通常ガチャ300回に加えて、UR確定ガチャ1回、SSR確定ガチャが5回の合計306回ガチャであった。
UR/SSRという言葉は、普通に考えればウルトラ・レアとスペシャル・スーパー・レアに取れるが、ガチャというシステムだけでなく、用語まで流用されていることに、ホクトは夢説が依然として捨てきれないでいた。
とりあえず通常のガチャからホクトはまわしていく。
残り4時間でまわせたガチャは、100回であった。
ストレージ収納スキルを獲得したので、ガチャでとったアイテムは直接格納することが可能で、どのストレージにいれるかだけ選択してやればよかった。
ストレージのおかげで時間は短縮できたのだけれど、ホクトは目新しいアイテムが出るたびに、取得したばかりの鑑定スキルを使ってアイテムの特性をひとつひとつ確認していたので、結局時間がかかってしまったのだった。
ガチャで引いたのは、ステータスアップ系の実やポーション(上)、ハイ・ポーション、毒消し(上)、魔力回復ポーション(上)、「ケイオスの指輪」「サリーのバンナダ」「鋼の胸当て」「ハヤブサのブーツ」「鋼の腰当」「ツクヨミの剣」であった。
「ケイオスの指輪」の獲得については二個目となった。
先ほどは鑑定を持っていなかったので、なんに使うアイテムか不明だっだが、これが意外に役立つものとわかった。
[ケイオスの指輪]
マジックアイテム。この指輪を装着すると、経験値とスキルポイント獲得値が5倍になる。この効果はケイオスの指輪を複数持つことにより倍増化するだけでなく、装着者が属するパーティすべてに効果が波及する。
ホクトは2個持っているので、二つつけることにより、10倍の経験値とスキルポイントが獲得できるようになる。
あまりアクセサリーをつけたことないホクトは少し違和感が生じるのではないかと心配したが、装着してみるとアイテムのほうが指にあわせて変形し、左手の薬指に二つともはめたにもかかわらず、注視しないとつけていないことが判別できないくらい、存在感が無くなった。
しかも外そうという意思がないかぎり、指輪ははずれなかく、さすがはマジックアイテム、とホクトは感心した。
あと気になったアイテムとしては、「ディアーナの首飾り」と「ツクヨミの剣」であった。
鑑定の結果、どちらもチートといわれる内容のアイテムであった。
[ディアーナの首飾り]
マジックアイテム。この首輪を装着すると、毒・麻痺・催眠の状態異常を完全無効化でき、かつ中レベルまでの呪いも無効化できる。
[ツクヨミの剣]
ミスリルでつくられた剣。軽量・堅牢さを併せ持ち、劣化もほとんどない。
ドラゴン亜種の外皮程度なら、切断できる程度の鋭利さをもつ。
聖属性が付与されており、アンデットやレイス系魔物にも対応可
ホクトは、今日の節目として、とりあえず戦闘用の装備を、獲得した範囲で装着してみた。
レベルが低く、体力系のステータスが低いせいか、ずっしりとした動きにくさは感じた。
おそらくレベルアップしていけば、これらも気にならなくなるのだろうが、武器で軽量に近いはずの「ツクヨミの剣」でさえ、長時間帯刀はきつそうに思えた。
まあ、いろいろステータスアップの実もあるので、次のログインではガチャの残りとステータスアップにいそしんでみるのもいいかなと、ホクトは次のログインでの計画を頭の中で組み立てた。。
★★★
目が冷めると、朝の6時半で、目覚ましをかけた30分前の起床となった。
あちらの世界からログアウトすると、30分前ぐらいに目が覚めることを北斗は確認した。
あちらの世界に行った時にも気にしていた、北斗の意識はずっとおきっぱなしという事実に対して、体はともかく意識は休めていないのかという危惧があったが、体だけでなく頭もすっきりしている自分に驚いていた。
どうやら休息は、それぞれの世界で寝た分だけ、ちゃんと取れているようだった。
また、あちらでも食事はとったのに、こちらではのどは渇きや空腹は、時間が経過した分だけしっかり感じた。
そこも含めて、あちらとこちらでは体調や精神の休養は連動していないことが、初めて証明された。
とはいっても、あちらの世界は、まだ実質11時間程度の経験であるので、そこはもう少し検証の必要があると北斗は感じた。
なにより夢の可能性はまだまだ十二分にあり、今回は睡眠時間とあちらの滞在時間がほぼ同等ではあったが、それ以前のログインでは、全く互換できない問題も残っている。
北斗としても、初めの頃よりは興味が沸いており、このまま夢おちでもうあの世界に訪れることができなくなるのは、勘弁願いたかった。
北斗は、時計の日時をみて、日を超えて寝ていなかったことを確認すると、昨晩買い込んでいた総菜パンをたらふく食べて、ウーロン茶でのどを潤して、トイレと最低限の洗顔・歯磨きをしたあと、再度ベットに潜りこんだ。
普段仕事に忙殺され続けているので、起きたばかりとは言え、休日に満腹になれば、いくらでも寝れる自信が北斗にはあった。
時計のアラームをいまから4時間後の12時30分に合わせ、目をつむると、あっという間に「つづきから」の画面があらわれた。
(さて、ログインできたから、ここからが正念場だな)
ログインは夜だけではなく、寝ている時間に適用されることが、まずは証明された。
とはいっても、ここ一週間は会社等部屋以外で寝たことがないため、すべての睡眠かどうかは、確定ではない。
次は、部屋以外での睡眠の検証が必要と、ホクトは考えた。
で、今回のログインでは、ガチャの残りを行ったり、各ステータスの実を使って、基本的な準備を行うことはもちろんだが、それ以外に時間経過の関係性を確認する実験の続きをする予定だ。
。
睡眠時間と同等の滞在、および睡眠時間よりはるかに短い滞在については実験済みだが、逆の睡眠時間より長い滞在については実験していないので、ここで検証してみることにする。
現実世界では4時間睡眠のつもりで、こちらの世界では倍の8時間滞在する。
仮に、経過時間が同等以上に置きかえれなかった場合、現実世界でも8時間寝てしまうことにはなるが、それでも夕方にはめが覚めるという算段だ。
問題としては、こちらの世界も24時間制らしいので、夜中の3時まで起きておかなければならないということか。
空腹等も感じるこの世界で、睡眠欲はどうなるのかも併せて確認できる。
ホクトは、現実世界で食べたばかりではありながら、空腹とのどの渇きを覚えていたので、冷蔵庫から昼と同じメニューを取り出して、夕食をとった。
ちなみに同じメニューであれば、冷蔵庫の中身はあと2~3日は持ちそうであるが、それ以降は森に出て狩や採取をするか、村まで買い出しに行く必要がありそうだった。
この部屋に入った瞬間から、それはホクトの日常として知識があり、自分でも意外だったが躊躇する作業ではなかった。
躊躇はしないが、そのような生活習慣も、環境ももっといえばなくなった祖父についても、そう知っているだけで、実感はわかなかった。
そういう設定のもと、ゲームがスタートしたという感想が、ホクトにとってもっとも近い答えだった。
ホクトは今回の最初の作業として、アイテムボックスから、ステータス関係の実を選んで、使っていく。
いま持ち手のステータスの実は
「体力の実(上)」400粒
「体力の実(特上)」200粒
「魔力の実(上)」495粒
「魔力の実(特上)」300粒
「力の実(上)」 200粒
「力の実(特上)」 100粒
「知恵の実(上)」400粒
「素早さの実(上)」 200粒
「素早さの実(特上)」 100粒
「幸運の実(上)」100粒
「幸運の実(特上)」200粒
「守りの実(上)」 200粒
「守りの実(特上)」 100粒
「魔力守りの実(特上)」 300粒
で、すべてが(上)以上である。
(中)とか(小)もあってもよさそうなのに、ここら辺もボーナスなのかもしれない。
それぞれのステータスを、魔力と同じくらいになるように、上属性の実を5数粒づつ、魔力守りの実(特上)については1粒利用した。
結果として、ステータスは次のようになった。
HP 16875
MP 14520(2200)
ATK 13642
DEF 20500
INT 12790
AGL 17738
MGR 22000
LUCK 18222
もちろんレベル1では破格の値であることは分かった。
あと、1時間当たりの魔力回復量が上がっていた。
これはINT値があがったことと関係しているらしい。
ステータス値が破格の値でも、レベルは1のままであった。
となるとステータスとスキルは、レベルに比例した関連はないことになる。
レベルを上げれば、ステータスが上がっていったり、スキルポイントがもらえたりと、本来は地道に取得するはずのものがすでに手に入っている時点で、チートが確定だなとホクトはあきれた。。
ホクトは残ったステータスの実全部を、数は多いものの重さがそれほどでもないので、ストレージ『重量(松)』のほうに入れた。
心配ないとは思うが、ステータスをあげる実という設定なので、劣化を警戒して時間停止のほうに格納した。