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サイドA-3 スキルチェイン

ホクトは、次に気になる項目、スキルチェインをオープンした。

ずらっと、スキルが行になって、現れた。

1ページでははいりきらず、こちらもスクロールバーが縦に表示されており、「ヘルプ」画面同様右の空間が開いていた。


羅列さている表示は「剣術」「体術」「魔術」「神聖術」「防御術」「錬金術」「鍛冶術」「農耕術」「建築術」「兵器術」「商業術」「料理術」「畜産術」「手芸術」「運搬術」「教育術」「飛行術」「医術」「房中術」「教育術」「育成術」...と、ファンタジー系統のものから、実生活のものまで、多岐多様に分かれていた。


ホクトはその中で、一番上の「剣術」を操作してみる。

すると、すでに取得している「剣術(片手長剣)Lv2」が太く表示されてた。

その他は薄く表示されており、「剣術(短剣) Lv0」「剣術(両手長剣)Lv0」「剣術(双剣)Lv0」「剣術(片刃剣)Lv0」「槍術Lv0」「斧術Lv0」..と続いている。


次に興味がある「魔術」をひらいてみる。

「火」「水」「土」「風」「白」「黒」「召喚」とゲーム等で、おなじみの系統が並んでおり、その下にさらに具体的な魔法が並んでいた。。

「火」であれば、「火玉Lv0」「火矢Lv0」「火壁Lv0」、「水」であれば「水玉Lv0」「水鉄砲Lv0」「水の壁Lv0」「飲料水Lv0」といった感じである。


こちらはひとつも習得していないので、系統表示以外すべて未獲得である薄い表示のままだ。

それほど選択枝はないが、こちらもゲームと同じようなシステムが採用されていれば、下位の技を獲得したり、スキルマックスになった時に、次の選択肢が現れるという仕組みなのだと思う。


剣術に関しては、高校での体育など現実的に近いことが体験できるため、想像の範囲外ということはないが、魔法については想像の産物の域を出るものではなく、ゆえに自身で使えるというのを想像すると、ぞくぞくしてしまうホクトであった。


ゆえに魔法および神聖術のスキルチェインは、綿密にチェックと想像をしてしまい、ついつい自分のおかれている特殊な状況を忘れてしまっていた。


「うわっやべ」


ステータスウインドウからの情報収集に夢中になっていて、まだ最初の部屋から動いてもなかったホクトだが、ステータスウィンドウ画面の時計を見ると、ログインしてからすでに3時間が経とうとしていることに気が付いた。

のどが渇き空腹を感じだしたため、気が付いたのだ。


前回の、昨日の一瞬でログアウトしたときは、夢から覚めるとすでに朝だったのだ。

そんなことはないとは思うが、これで3時間寝坊したらたまったものではない。

ホクトはあわててログアウトの操作を行った。

幸いというか、ログアウトのボタンは存在し、昨日同様「ログアウトしますか?」のクエッションが表示された。

ホクトは一にもなく「はい」を選択し、そして昨日同様目が覚めた。


目覚めると、あたりは明るく窓から朝日がさしていた。

ホクトはあわてて、枕元の目覚ましを取り上げた。

時間は、いつもの起床よりは30分早い時間を指していた。


寝坊をしなくてよかったと思う反面、あちらとこちらの時間の相関性が分からず、余計に混乱する北斗であった。

そして、再度どんなにリアルでもあれは夢だと言い聞かせる自分がいた。


★★★


次の日の夜も、北斗は「つづきから」の操作で、あの世界「ネオアンバー・ソメイユワールド」に移動していたが、画面の時間を確認しそして初日同様すぐにログアウトした。


時間は前回ログアウトした時間から数秒も経過していなかった。

そしてのどの渇きと空腹は、先日のログアウト直前と同様、依然感じていた。


本当は各項目のチェックや部屋の外も確認してみたい気がしていたが、あの世界と現実の時間の流れの相関法則がわからず、腰を据えての検証はする気になれなかった。


前日までの2回のログインでは、偶然にもいつもの時間に戻ってこれたが、だったら寝入った瞬間に戻ってくれれば、あちらと同様こちらの時間も過ぎていないことがわかって、安心して確認できるのだが、現実世界では時間が5時間程度進んでいたのだ。


相関性がないということは、向こうで数分しかいなくても、こちらで1週間経ってしまう可能性があるということだ。

今のこの忙しい時期に無断欠勤なんて、考えただけで背筋に悪寒が走る。


もちろん北斗は、あれをまだ夢だと思っているので、このような思考自体がばかばかしいといえばそれまでなのだが、その一方であれはまたもう一つの現実なのでは?いや、ひょっとすると自分はすでに死んでしまっていて、こうして生活している自分こそが夢なのではないか?と疑いだしている部分が存在した。


だとしても、こうして生活している以上、仕事は遅延できない年度末であることも事実だ。

なので休日に検証を行うつもりで、それまではとにかくなるべくあちらでの滞在時間を減らそうと決心した。


週末まではあと二日、それまではなるべくあの現象はスルーする。

自分でも信じていなかったが、可能性とてして次の夜からはあの夢を見なくなるのではとの予想もしたが、就寝するとかならず「つづきから」の画面が出てきた。

そして、瞬時にログアウトした結果、あちらの世界の状況はほぼとまったままで、こちらの世界では必ず起床時間になっていた。


そしていよいよ土曜の夜が来た。

通常週休2日の会社ではあるが、今月と来月だけは土曜日も利用しないと、納期に間に合わないため、今週も例にもれず日曜日が唯一の休日となっていた。


北斗は、まず一晩でどの程度滞在できるかを、試してみようと思った。

中国の逸話で、蝶の一生をご飯が炊ける間に夢見た話のように、ひょっとするとあちらの世界で一生過ごしても、次の朝に起きれるかもしれない。


夢ならば、それもありなのだが、本当のところが全く分かっていない今の時点では、そこまで冒険する気にはなれない。


せいぜいが、一晩、仮にPM11時に就寝して、あさの7時まで寝たとして、それと同等の時間をまずは試してみるべきだと北斗は思った。


その結果、同じようにまた朝に目が覚めた場合、次には昼寝でもあの現象が起きるのかの確認と、時間との比較を行うために、短い時間の昼寝でそれ以上の時間をあちらで過ごしてみようとも考えていた。


昼寝は、目覚めを促すように目覚まし時計もかけてみることも計画する。

果たして、目覚まし時計で寝覚めることは可能なのか?


計画実行のために、全く外出しなくてよいよう、遅くまでやっているスーパーで夕飯用の大盛の弁当と次の日に簡単に食べれる総菜パンと冷凍パスタ、およびウーロン茶2リットルを買い込んできた。


てばやく風呂と夕食をすませ、7時に目覚まし時計をセットして、予定よりもはやいPM10時には布団にもぐりこんだ。

眠りはすぐに訪れ、そして「つづきから」の画面が浮かび上がった。

今夜で5日連続の夢へのログインであった。



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