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サイドA-25 戦闘用ゴーレム(木人)

ホクトは自分の家の前の畑のまわりにも、ファーラーン村の伐採地と同じく、外堀と外壁を土魔法で作っていた。

ただ危険度では、ファーラーン村よりもホクトの家周辺のほうがはるかに高いので、マーガレットとジョセフィーヌ姉妹ふたりには農耕用ゴーレムだけでなく魔石(小)や魔石(中)を使ったより力のあるゴーレムの生成を指示した。


ホクトのストレージには樹海やダンジョンで獲得した魔石(小)や魔石(中)もそこそこあるので、これらを利用すれば魔石(極小)よりも魔力量のあるゴーレムで守備もできるのではないかと考えたのだ。

警護用なので、生成するための資材もストレージ内にある木々のうちで最も強度の高い木材を選定して渡し、魔石(中)10個に魔石(小)30個をもって、二人に20体程度づつ製作させた。


できたゴーレムは、動きはともかく農耕用ゴーレムよりも魔石の大きさにあわせて大きくなり、ホクトが鑑定した結果、腕力と耐久性だけであればB級/C級冒険者に匹敵するとわかった。

とはいえ、あくまで腕力と耐久性だけがひとしいだけなので、冒険者が持っているスピードや技能、立ち回りといった点までB級/C級をもとめることはできない。

そこらへんは改良の余地というか、なにかしらのゴーレム作成技術、例えばマリオネット系の高速動作が可能な、純粋な戦闘系ゴーレムが作れる可能性が、スキルチェインを紐解いていけばできるのではないかと思っている。


それを示唆するように、ホクトがガチャにキャラたちは、何かしらの固有スキルを持つものが大半で、そのなかにはホクト自身もしらないスキルもまだまだあった。

くわえて先日引きあてたURキャラの中に『超古代錬金術(LvMAX)』なる固有スキルを持つ者がおり、どうもその技能の中に「武装錬金」や「クローン」等の言葉もある。

これらの技術の組み合わせで、なにかしら純粋武闘ゴーレムが作り出せるのではないかとおもっている。


(あと可能性があるとすれば、ネクロマンサーだよな....)


固有スキルで『ネクロマンサー(Lv.MAX)』もいて、まあこちらでも同じようなことができる可能性があるのかもしれないが、現代人のホクトからすると動く死体や動く骨が、現実的に周囲を徘徊するのはちょっと、という気がしている。


ともあれ、現在は純粋に数の力で警備を強化しており、若干の対応の悪さにはめをつぶるという対策で済ませている。

ゴーレムなので休養も必要としないため、フルタイムでブラックな作業を文句も言わずにこなしているというわけだった。


そもそも最初ホクトは、塀と堀だけで対応するつもりだったのだ。

堀の高さは5メートルに、堀は幅5メートル、深さ10メートルとこれだけでもほとんどの魔獣は寄ってはこないのだが、小型の魔物はともかく跳躍力のある大型のウルフ系魔物は、やすやすと堀と壁を越えてくる。


また、そもそも地面を這わない魔物、飛行系の魔物についても、堀や壁など何の意味もない。

なのでやむなくのゴーレム対応であった。

成果はすぐに出て、ここ1月でそこそこの魔物が素材として獲得できた。


飛行系の魔物はゴーレムでは対応できない場合も多かったが、そんな場合でも農耕姉妹二人の水魔法と風魔法の攻撃魔法で対応できるので、農作物や果物類に害獣被害はほとんど出なかった。


それら捕獲した魔物たちの収納と解体もマーガレットとジョセフィーヌ二人で行えるよう、スキルポイントを利用して『解体』『解体(亜)』Lv.10まで獲得させた。


収穫も順調で、このペースでいけばスキルとして別の作物の種解解放も近いうちに出てくるだろうとホクトは目算していた。


従来のホクトであれば、目の前の畑をより広くすることに熱心になっていただろうが、当面それをする予定は全くなかった。

作業用ゴーレムの数もまだまだあるし、マーガレットの天候操作の範囲もいまのサッカーコート4つ分に対して、20倍以上可能であったので、農地を広げること自体は可能なのだが、ホクトのダンジョンマスター構想のなかに農耕も含まれていて最終的にはこれらの畑もいらなくなる可能性が高かったため、あえて広げずにいる。


もう一つの理由としては、ほかに忙しいことがあったためだ。


ホクトとミヤビは協力して、二つの方針を立て活動していた。

ひとつは、ファーラーンダンジョンの繰り返し攻略だ。


ホクトのレベルアップが第一の目標で、ラスボスがそれなりに強力なのでその目論見通りで、ホクトのレベルとストレージ内の素材は着実に増えつづけていた。

相変わらずダンジョンコアへの登録はできていない。

時折、ダンジョンコアルームに赴いては別の方法がないかの確認や、そもそもダンジョンマスター登録前提がかわっていないかと確認しているのだが、これだけはこの世界の都合が優先され、条件がかわることはなかった。


もうひとつの方針は、ガチャで得たUR/SSRキャラたちを伴ってのベルゼ大樹海の探索であった。

具体的に言えば、ファーラーンで発見した以外の新しいダンジョンの発見であった。


ホクトの住んでいる周辺には南側に展開されるファランドール大樹海と住居の周りを含めて、東側に展開されるベルゼ大樹海のふたつがある。

ファランドール大樹海には、面積比率からいったらアリと恐竜ぐらいの差はあるものの、そこそこ村や町や港町があるため、ある程度の街道の整備がされているのだが、ベルゼ大樹海にはこの大陸の大半を占めているにもかかわらず、ほとんど人や亜人の手が入ったことがない。


この世界の伝説では、超古代に大帝国があったことも言い伝えられているが真偽は定かでなく、あったとしても滅びて大樹海に呑み込まれているのだろう。


大樹海はおそらく縦横1万キロ前後に及ぶと推測されており、未踏の領域が大海ひとしく広がっている。

そして深い森のあるところ魔力が日々湧き出ているため、普通に考えてダンジョンの10や20はあってもおかしくないのである。


ホクトは最初のダンジョンを発見・攻略することで、これらの人類にもたらす利益と、なにより攻略がホクトとミヤビが楽しいことでもっと見つけたい、攻略したいと思うようになった。

同じダンジョンを周回するのは、それはそれで楽しいが、新鮮味に欠けるのはしょうがないし、お宝もバラエティに富むとは言い難い。


ファーラーンダンジョンも、ホクトたちが攻略を繰り返しているせいか、いろいろ変化がおきだしてはいるが、それはゆっくりした変化で今のところそこまでの変化はない。


ちなみにファーラーンダンジョンの変化とは、たとえば少し各階層の面積が少し増え、迷路もちょっと複雑になった。

罠も若干増えたし、第5層を超えたあたりのモンスターの種類ではなく集団数が増えたなど、攻略のレベルが少し上がった。


まさにダンジョンの成長といってもいい現象ではあるが、それでもホクトのパーティにしてみればダンジョンボスも含めてレベルは低く、攻略しにくくなったというよりは、もらえるスキルポイントや経験値が増えてありがたいというところだった。


そんなわけで、ダンジョンのバラエティを求めるための探索をしつつ、ガチャで引き当てたサブキャラを試用しつつ探索に当たり、魔物討伐をしてホクトのレベルをあげつつの3つを同時に行う攻略を進めだしたのだった。


森は広大すぎて変化に乏しいので、探索をしながらのホクトたちでも一日に10キロ程度しか進めず、そのたびにミヤビの能力で空間マーキングを行って、夜には自宅に転移術でもどるということを繰り返した。

今日は、たまたま月に一度の果物の収穫日だったので、成果物を確認という試食会をするために攻略は本日はお休みして農夫姉妹の収穫を眺めつつぼーと呆けているホクトであった。


(今夜は、ちょっとしたパーティかな。ある意味記念日だし。アケビをいれたパウンドケーキでも作ってみるか)


ホクトは、料理スキルで『町のお菓子屋さん』『都会のお菓子屋さん』を、LvMAXで習得していた。

都市といっても、こちらの世界の都市、王都とか首都とかであるので、まあまあの物はあっても現代日本のそれとはまだまだ隔絶の隔たりがあった。

それでもパウンドケーキぐらいはできるようになっていた。

こちらの世界のミヤビも、現世では絶対に食べない甘いものも大好物らしく、喜んで食べてくれるのでホクトも魔法での生成のやりがいがあった。


記念日、その日はホクトがこの世界、ネオアンバー・ソメイユワールドに初めてログインしてから、こちらの世界で480日一年が経過した日でもあった。


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