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サイドA-15 ギルマスと模擬戦をする

ホクト、ミヤビがギルドマスターのケビンに連れられて訪れたのは、ギルドの倉庫兼解体場であった。

ハンナと、もうひとり職員が同行している。


「ホクト、ギルドの規定を説明したことはないんで、細部までは知らんだろうが、虚偽の報告が規律違反であることぐらいわかるだろう。ハンナに話したことが真実でないなら、おまえはすでに二つ虚偽をしていることになる。ひとつは買取品の虚偽申請、もう一つは成果達成の虚偽だ。それが虚偽であることの根拠はおれはお前を小さいころからよく知っていて、実力がわかっているからだ。だが俺の知るホクトなら、そんなウソをつく奴でないことも、ハンナも含めて知っているから困っている。だからまずは一つ目の買取品について、ものを見せることで嘘でないことを、証明してくれ」


「わかりました。ただここで全部出すには、スペースが足りないので、ハンナがもっとも疑っていたオークキングとイビルボアの解体品を1体分ずつと、ゴブリンキングの死体を出すことで、いいですか?」


オークだけでも1000体以上あるので、この倉庫には入らない。

ギルドマスターのケビンは、首を振って了解した。


「ミヤビ、聞いた通りのものをだして」


ホクトの指示に、ミヤビが前へでて軽く手をふった。

その先にの地面には、2トンはあろうオークキングの解体された肉と、主要内蔵の入った壺、オークキングの頭と骨一式、生前使っていた思われる金属製の槌、イビルボアの解体された1トン強の肉と主要内蔵の入った壺、牙を含む骨一式ときれいにはぎとられた6畳程度の毛皮、3メートルを越えるゴブリンキングの死体と鉄製の大ぶりの山月刀が現れた。


ゴブリンキングに関しては、魔石以外素材となるような部分がなく、かつ食用にもならないので、そのままの形で持ってきていた。


出現と同時に小さな驚き声がケビンとハンナから発せられた。


ギルドの職員が、出現した素材にちかより確認する。

オークキングの頭部と、ゴブリンキングの死体、イビルボアの毛皮と牙を確認した。


「ギルマス、どうやら嘘はついてないようだ。正真正銘オークキングとイビルボア、ゴブリンキングだよ」


ケビンもハンナも言葉が出てこない。

しばらく沈黙の時間が流れた。


「えっと、ケビンさん、これで信じてもらえたでしょうか...」


ケビンは、思い出したように動き始めると、倉庫端にある木剣を二本とりだし、1本をホクトに投げつけた。


「おまえ、冒険者登録したそうだな。実力を見てやるから、1本打ち合え」


「それはかまいませんが、何でですか?」


「ホクト君、さっきもう一つ問題があるって言ったでしょ? ここまでの大物を狩った冒険者は、普通ランクアップ対象なの。ただ何の実績もない未登録の冒険者が、Aランクの魔物を狩ったなんて前代未聞の事態なのよ。ギルドとしてはその判断のために、ホクト君の実力を知る必要があるのよ」


ハンナが横から伝えた。


「わかりました。:ケビンさん胸を借ります」

「おう、こい」


ホクトは、戦闘時に癖になっている「俊足」をLv.3で無詠唱発動した。

とたんに周囲の景色がのろのろとなる。

「俊足」は、動作だけでなく、思考もそれにあった反応速度となる効果のおかげだ。


ホクトは一気に距離を詰め、ギルマスの巨体の腹部を横一文字に薙いだ。

ホクトとしてはギルマスの防御ステータス値を見ていたので、自身のステータス値を鑑みて相当手加減したが、それでもギルマスは剣を持つ腕で脇腹をかばうようなかたちになった。


ホクトは、がら空きになった頭部に流れるように剣を打ち下ろし、額で寸止めした。

プレートメイルほどの堅牢さは無いにしても、皮の鎧の上からの衝撃に激痛を感じたた瞬間に、目の前にあった木剣にケビンは唖然とした。


「終わりでよいですね」


ホクトの宣言に、ギルマスだけでなく、周りの人間がミヤビ以外唖然とした。

ケビンは自分が完璧にあっとうされたという感覚が、ずいぶんと時間をかけて頭の中に定着してやっと声が出せた。


「おまえ、本当にホクトか?」


自分が負けたことの悔しさよりも、よく知っているはずのホクトの実力に唖然としていた。

ハンナも内心ざわざわとしていた。ケビンの剛勇を長年そばで見てきたから、当然であった。

あまりにも、わかりやす過ぎる実力差で、あっけない結末であった。


「これでも俺は一応ランクA冒険者だぞ。それもそうとう経験を積んだな」


ケビンはふうと一息はくと、やれやれといった顔をした。

ケビンも油断していたわけではない。それなりに動きを予測して、構えてはいた。

ただよく知っているホクトの実力を基準に構えていたことも事実で、全力ではなかった。

にしても、想定とはるかに違うこの実力は、いったいどうやってしかも短期間で身につけたのか?


「ミヤビにいろいろ指南いただきまして」


ケビンたちの疑問に、あっけらかんとホクトは答えた。それは大嘘ではあるのだが、一番わかりやすい答えであった。


「ていうとなにか、彼女はもっと強いってことか?」

「はい、僕なんかまだまだ足元にも及びません」


これは本当だった。

ギルド職員は、みな舌をまいた。


★★★


その後、二人はギルドマスターの執務室に案内された。

ハンナが入れてくれたあったかい麦茶を、ミヤビは熱い熱いいいながらすすっていた。


「さて、お前らの実力の片鱗はなんとなくわかったが、最初のランクについては即答が難しい。前例がないからな。明日いっぱいは待ってくれ。本部と話してみるから」


「本部?」


「ああ、イオシスにある冒険者ギルド本部におうかがいをたててみる。というか俺の一存では決められん。お前も知古の孫ということで、ひいきされたと思われるのは嫌だろう。といってもまあ、せいぜいがランクDぐらいには落ち着くと思うがな」


イオシスとは、この国の評議会機構が集まっている首都の地名であった。

冒険者ギルド本部も、そこにあるらしい。

ランクDといえば、初級のFからして3段階上である。

最低でも3年は経験が必要なランクであった。


「ありがとうごさいます。でもミヤビも僕も、冒険者カードが手に入ればそれで満足なんで、あまり頑張りすぎないでくださいね」


「はっ、欲がネーナ。受けれる依頼の幅が広がるから、もらえるもんはもらっておけ。あとな報酬と素材の買取の件だが、報酬のほうはともかく、素材のほうは全部は無理だ」


「報酬って?」


「ゴブリンやオーク、ウルフ種らの討伐の件だ。あれはずっと依頼が出ている案件だよ」


ケビンが言うには、それらは積極的に人間に害をなす魔物のため、いつも討伐対象として報奨金がかけられているらしかった。

ゴブリンは、素材としての価値は小魔石ぐらいなので、そちらでは買取は望めないが、討伐だけでもお金がもらえるらしい。


「まあ、ゴブリンもウルフも大した報奨金ではないが、数が多いからな。それだけで金貨40~50枚にはなると思うよ。オークキングやゴブリンキングはもっと報酬はいいんで、ざっくりだが今回の討伐報酬だけで金貨150枚というところか。が、それに乗せて素材もすべて買取となるとな、すべてほしいがここでは資金が足りない。あと食材もこんな小さな町では、消費しきれない。ギルドや商会の氷室に突っ込むにしても、とてもじゃないが全部は入りきれない。そこで相談なんだが、素材はこちらが保持できる程度の食材を中心に、あわせて金貨100枚程度の購入で勘弁してもらうわけにはいかないか?」


「つまり、報酬と合わせて、金貨250枚くらい、25,000,000Melということですか?」


「細かい計算は、今から職員が行うが、まあそんな感じだ」


「こちらとしては問題ありませんので、それでお願いします」


「悪いな、ハンナはいくらでも受け入れるといっていたらしいから」

「それは、常識の範囲内で、ということです」


そばで聞いていたハンナが、悪いのは非常識な量の持ち込みをした、ホクトのせいだと断言した。

買取の内容も、すぐには出せないということで、明日に持ち越しとなって、ホクトとミヤビは冒険者ギルドをあとにした。


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