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サイドA-14 冒険者ギルト

シェリーの雑貨屋を訪れる前、ファーラーン村についた二人は、まず冒険者ギルドを目指した。


冒険者とは、主に魔物の狩猟を生業とする、不定住民者の総称である。

この世界は、魔物やドラゴン種がヒューマンや亜人を圧倒していて、ヒューマンや亜人たちは常に死と隣り合わせの世界に住んでいる。

そのため、そういった脅威を間引きもしくは殲滅させる職業として、自然冒険者と呼ばれる者たちがでてきた。


ただ当初は個々の冒険者たちが自分のルールで動いていたため、依頼者の弱みに付け込んで不当な報酬を要求したり、もしくは報酬の持ち逃げをしたり、なかには盗賊と同等の活動をするものまででていた。

冒険者同士でのいざこざによる死者や被害者も後を絶たず、世間では冒険者=ならず者の認識が一般的だった。。


そうした状況を憂えた力ある老冒険者たちが集い、作り上げたのが冒険者ギルドであった。

冒険者ギルドの役割は、依頼者と冒険者の仲介を行い、双方に不利にならないよう適正な管理すること、冒険者自身の身分を保証する登録機関として機能すること、身分を保証する冒険者に対しのギルドルール厳守と追従を求めること、ランクシステムの採用によりそれぞれの冒険者の身の丈に合った依頼をまわすことで、冒険者の段階的な育成手段と死亡率の低減をはかる事であった。


最初は小さなギルドであったが、そのシステムは着実に冒険者たちの増強をおしすすめ、いまでは国家を越えての国際機関となっていた。

冒険者ギルドは軍隊とは異なるため、国家間の紛争に関する依頼については対象外とし、中立を宣言する機関であった。

各国家の国主や評議会も、魔物に対するスペシャリストの有用性を理解しているため、国政に対するちょっかいをかけないことを前提に不介入を決め込んでいる。


そのため冒険者ギルドに登録している冒険者たちは、税金や徴兵などを課せられない浮遊民であり、登録カードについては寄る辺のない冒険者たちの唯一無二の優良な身分証明書となっていた。


反面、冒険者は基本自己責任であり、何が起ころうとその責任の所在は自分自身という、完全実力世界の住人であった。

加えて各国や評議会が統治する町や村では住居を持つことが許されておらず、仮に住居を持ってしまうと領民と同等の義務がかせられてしまうためどんなに資金があっても町中に住居をかまえる冒険者は少なく、根無し草の人々であった。


ファーラーン村にも、小さいが冒険者ギルドがあった。

目の前に魔力だまりしやすい深い森と、その北に亜竜が跋扈する火山帯を要しているため、間引きを含んだ討伐依頼は後を絶たず、それにて生活の糧としている冒険者もそれなりに常に滞在している。


「あら、ホクト君いらっしゃい。めずらしいわね冒険者ギルドに顔を出すなんて。ここじゃ鉱物は買い取れないけど、なにか素材になるような魔物の死骸でも見つけた?あと後ろの猫人さん、初顔だけと新しくできたお仲間かな?」


村ではホクトと顔なじみの受付嬢のハンナが、カウンターにおとずれたホクトに話しかけた。

祖父ジーノは、鉱物採集を生業としてはいたが、一応Aランク冒険者の肩書ももっており、時折魔物を狩っては食材と素材として冒険者ギルドに買取を依頼していた。ハンナは、古株の受付嬢で、ジーノに付き添っていたホクトのとこも幼少より知っている人物、とホクトの記憶ではなっていた。


「やあハンナ、うん、買ってほしい素材もあるんだけど、今日は僕とミヤビ、後ろの猫人さんね、の冒険者カードを作りに来たんだ」


「ああ、そうかホクト君ももう15歳過ぎたもんね、たしか。ならランク低くても持っていた方がいろいろ便利か。わかったわじゃあこれに二人とも記入して」


「わかった。ミヤビ、君も書いて」

「えー、人間の言葉、かけないにゃ。代わりに書いてにゃ」


「それにしてもあのホクト君が登録ね。なんだか感慨深いわ。ジーノさんももう少し生きてりゃ、孫の立派になった姿見れたろうにね」

とハンナはしみじみといった。


正直なことろ、記憶の映像でしかないジーノのことを、ハンナほど灌漑深く懐かしむことはホクトにはできなかった。

ただ、ジーノがこの町の小さなギルドでも、引退したあとでも主要人物であっらしく、ギルド内にいる古株の冒険者たちからは、ホクトたちはそれなりに注目されていた。

といっても大半は、ここら辺では珍しい、猫人のミヤビへの注目だったかもしれないが。


「はい、これで問題ないわ。冒険者カードは明日にはできるから、改めて取りに来て。で、あと買取だっけ?ここに出してくれる?」

「いや、それはちょっと....数が多いんでリストを作ってきたんで、その中で買い取ってもらうだけ買取してほしいんだけど」


「なによあらたまって。資材も食材も不足しているから、全部買い取るわよ。ここは小さいけど、ミュートラムと商業的には連携しているから、資金だってたっぷりあるし、全冒険者が1年分くらい納める資材くらいは余裕で買えるのよ」


ハンナは自慢気につぶやいた。

ミュートラムとは、ここから魔の森を南に抜けて行った先にある、港のある商業都市だ。


「そうなんだ。でもまずはリストを見てくれるかな」

ホクトは懐からだしたリストをハンナに渡した。


・オーク 1023体(素材、食材含め解体済)

・オークリーダー 117体(素材、食材含め解体済)

・オークメイジ 38体(素材、食材含め解体済)

・オークキング 3体(素材、食材含め解体済)

・フォレストボア 233体 (素材、食材含め解体済)

・グレイトレッドボア 108体(素材、食材含め解体済)

・イビルボア 24体(素材、食材含め解体済)

・フォレストディアー 22体(素材、食材含め解体済)

・ビックディアー 10体(素材、食材含め解体済)

・フォレストウルフ 292体(素材、食材含め解体済)

・グレイウルフ 92体(素材、食材含め解体済)

・シルバーウルフ 67体 (素材、食材含め解体済)

・ゴブリン 4390体

・ボブゴブリン 388体

・ゴブリンキング 16体

・ホーンラビット 2500体(素材、食材含め解体済)

・魔石(極小) 6800個

・魔石(小) 5000個

・こん棒 2000本

・オークメイジの杖 32本

・鉄の剣 270本

・鉄のメイス 160本

・鋼の大メイス 3本

・鉄の盾 95個

・木の盾 1200個


「どうかな? 全部買い取ってもらえそうかな?」


リストをみて固まって動かなくなったハンナに、ホクトは聞いた。


「ホクト君てさ、数字の数え方、知っているのかな?」

「数え方?できるよ。桁も京までわかるし。四則計算もできるよ」


「京ってなに? いや、できないでしょ。このリストの数字、間違ってるよ。ていうか何? オークキング? イビルボア? ゴブリンキング? シルバーウルフ? ランクAパーティの案件よ。鉱物採集しかしてこなかった、冒険者デビューもしていない人間が二人程度で倒せないし。というかオークキングとかゴブリンキングとかは単体ではいないし、かならず集団だし。そうなったらランクAどころか、ランクSパーティ案件、いやギルド総あたり案件だよ」


「うん、だからそいつらはオークの村やゴブリンの砦にいたよ。奴らにたどり着くまでにたくさん討伐したよ」


「たくさん討伐したとか...まさかオークの村とかゴブリンの砦に二人で挑んだっての?」


「うん、まあそういうことになるかな」


「えーと、じゃあ仮に倒したとして、リストの品はどこにあるの? 少なく見積もっても荷馬車30台は必要そうだけど、そんなたいそうな馬車隊が到着したとも聞いてないし、君たちも手ぶらだよね。やっぱり虚偽なの」


「それについてなんだけどね、ハンナ」


とホクトはハンナに近づくよう手で促し、こっそり耳打ちする。


「あんまり大っぴらにしたくないんで、できればギルドの人たちだけに知らせたいんだけど、実はミヤビがね、大量の荷物を持ち運びできるストレージのスキルを持っていてね。さっきのリストにあったものは、すべてそこに格納している」


ハンナの視線が、ホクトの背後のミヤビに注がれる。

そして、ハートため息をついて


「じゃあなに、リストの内容の成果は、すべてあの猫人のおかげなの。それはそれで問題が別に発生するんだけど」


「うーん、彼女の功績7割、僕の努力3割というところかな」


ハンナの眼は疑いのまなざしで埋まっていた。

数か月前までは、ただの鉱物収集士だったホクトが、こんな短期間にそこまでの功績を残せる経験を積んだとは、到底信じられる話ではなかった。


「とにかく、ここで待ってて」


ハンナはそう告げて、事務所に消えた。少しして、ホクトの倍はあろうという筋骨隆々な男性を連れて戻ってきた。

ホクトもよく知っているギルドマスタのケビンであった。


「よう、ホクト、ちょっと顔かしな」


と、顎でしゃくって、同行を促した。


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