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サイドB-6 ゴーレム・クラウドの能力て

第4階層は、草原と水辺、森で構成されているだけあって、動物系の魔物がたくさん出現した。

ウルフ系、アリゲータ系、ボア系、ベアー系と多種多様で、出現頻度も多かった。


これまでは高みの見物をしていたマルティやゴーレムも、積極的に戦闘に参加しはじめた。

とくに群れを成すウルフ系やアリゲータ系に遭遇した際は、魔力をこめた釣り糸を使って、皆に先じて一網打尽にする場面も出てきた。

巨大なブラッディベアに対しては、ゴーレムが突進をかまし、1回で殲滅した。


ひとの5倍はあろうフォレストボア数匹の出現に際しては、ひるむ姉妹をよそにゴーレム・マルティ・ミヤビがそれぞれ単騎で仕留めた。

ウルフタイプゴーレムのクラウドはお得意の突進で、マルティは魔力糸に頭部分断で、ミヤビについては小刀による、上下分断で、それぞれ瞬殺であった。


後にはフォレストボアの皮と、肉の塊が大量にドロップ品として転がっていた。

マルティは、大量の肉塊に満足して、「これもローストして食べよう」と食欲満点だった。


カエデは一緒に進むうちに、マルティたちの的確な攻撃態勢をみて、あらかじめ進む先に何がどのくらいいるのかわかっている様子なのが、気になりだした。


「この先200メートル先に、フォレスト・ウルフの集団がいる。数は16匹で、大型が4匹」


と、的確にいいあて、だいたいの戦闘の役割分担を指示する。

当初はそれを宣言されないで、マルティ・ミヤビ・ウルフゴーレムだけで瞬殺してしまい、カエデとツバキが置き去りになるシーンが多かったため


「何がいるのかわかっているなら、あらかじめ言ってよ」


と、ラージアリゲータの集団討伐後に、カエデが文句をいったところ、宣言してくれるようになった。

だが、ここまで詳細にわかるとは思っていなかったため、カエデは確認せずにはいられない。


「ねえ、どうしてそこまで的確にわかるの?しかも相当遠くからの二人ともわかってるみたいだけど。これもスキル?」

「いんや、魔道具のおかげ」


マルティは、得意げに言った。


「クラウドだけど、見て何か感じない?」


と、しんがりを努めているゴーレム=クラウドをあごで刺した。

ふたりは、しばらく見つめた後


「とくには...」というカエデに対して、

「感じだけど、少しスリムになったような...」と、ツバキが問うた。


カエデがあらためて見てみると、確かに胴回りが少し細くなり、よりウルフスタイルに近づいたように感じた。


「よくわかったね。そう、クラウドの一部が分離して、周囲に散開しているんだ」


クラウドの本体から、破片が2~3粒浮いた。。

その破片は、風に流されているようにも見えたが、姉妹の前まで来ると、ぴたりと止まった。

直径1mmぐらいだろうか、球形をしていた。


「その破片はね、クラウドの目のひとつ、索敵用のパーツなんだ」

「これが」


姉妹が口をそろえていった。


「それはね、魔力によって縦横無尽に飛ぶことができる。加えて地中・水中関係なく潜航することも可能。最高飛行速度は人間の走る約20倍程度で、到達可能距離は10キロまで。周囲の情報を収集することができる。収集された情報がクラウドに伝わり、そのなかで危険や注意が必要な事柄のみが抽出され、僕たちに念話として伝えられる。索敵用パーツは、クラウドに100万機内在していて、いまはそのうち10万機が、半径5キロ以内を巡回している」


みたことも聞いたこともない魔道具であった。

ゴーレムとしての戦闘能力だけでも特化しているのに、このような機能までついているとは、予想外の高性能魔道具であった。

これを錬金魔法によって生成したマルティ、いったい何者と姉妹でささやきあうのだった。


★★★


あたりが暗くなってきたため、マルティの掛け声とともに、その日の行軍はここまでとなった。

一行は、比較的木の密集していない場所を選んで、野営の準備にはいった。


「今から出すものについて、できたら口外しないで」


と、前置きがされ、ホクトの場所の指示のもとミヤビのいつもストレージからだすしぐさ、目線の先に大きなものが出現した


「えええええぇぇぇぇ」


またもや姉妹の嬌声が森に響いた

目の前に存在したのは、一軒の小屋であった。

2階建ての小屋で、、少なく見積もっても各階に3部屋ぐらいはありそうだった。

1階はよく見ると、建物と同色ではあるが、格子状の金属が張り巡らされており、外的の侵入を防ぐような仕掛けが見えた。


「こ、これ、どこから出したのよ」


ミヤビのストレージからに決まっているが、カエデは聞かずにはいられなかった。

それぐらい信じられなかった。

聞いていた「ミヤビのストレージは、ちょっと大きめ」ではなく、「とてつもなく大きい」に修正してもらわなければ、つじつまがあわなかった。


「それで、野営地を周りの冒険者から遠く離れたところになるまで、決めなかったんだ」


ツバキが少し冷静になって、マルティの行動を理解した。


「とにかく、中に入ってくれる」


姉妹は促されるまま、建物の中に入った。

続いて、マルティとミヤビもはいり、扉が絞められた。


「クラウドは入れないの?」

「見張り兼外敵駆除担当だからね」


なかは明るく、先ほどまで感じていた森のにおいや湿気もなく、気持ちの良い環境だった。

明るさも炎の明かりではなく、白く日の光に似ていた。

みあげるとランプではなく天井全体が白くかが置いていた。


「ずいぶん明るいけど、外から丸見えじゃない」


カエデが窓をさして、いった。

炎とは異なり、これを目当てに魔物がよってきそうに思えたからだ。


「大丈夫、こちらから外は見えるけど、外には一切光が漏れないようになっている」

「これもあなたが作ったの?」

「まあ、そうかな。全部じゃないけど」


1階は、右手に食堂、左手にドアが複数と、ちょっとしたリビングで構成されていた。

食堂の長机は、それだけで10人は座れそうだった。


リビングには背の低いガラスでできた机と、座り心地よさそうなソファーがおいてあった。

たくさんの扉は、トイレとシャワー室がそれぞれ2つずつ、なのだそうだ。


「シャワーて何?」

「水浴びみたいに、お湯を浴びて体の汚れを落とせるスペースさ」

「お湯をあびて汚れを落とすだぁ~」


ダンジョンに潜ったことがない姉妹でも、危険極まりないダンジョン内で、水浴びなどができないことは知っている。

たいてい体や服の汚れは、我慢するか浄化魔法によって軽減させるだけなのだ。


「はぁ~、あんたというやつは」


溜息しかでないカエデであった。

階段をあがって二階は、予想と異なり4部屋あり、それぞれにベッドが2/2/3/4台ずつおかれているということだった。

2階を寝所としているのは、仮に外敵に潜入されても、対応の時間が稼げるようにということだった。


「1階のまわりには、特別な術式で組んだ、鋼の防御壁があるからね。この第4層にいる魔物の突進程度じゃ、びくともしないよ」


自慢げにいうマルティに、はいはいと面倒そうに相槌をうったあと


「思ったんだけど、マルティたちも寝ずの番とかしないわよね、あの索敵と撃退できるゴーレムが監視しているから」

「そうだけど。指示を出しておけば自立行動可能だし」


ちょっとだまされた気分の姉妹であった。

最初の約束では、夜の監視はマルティたちだけで行うという約束だった。

二人が交代で行うと思っていたカエデは、さすがに二人だけではつらかろうと思い、自ら三人目として申し出るつもりだった。

だが、二人も寝ずの番はせず、寝るのだ。

あのゴーレムの能力のおかけで、もとより寝ずの番をする気など、マルティ達には無かったのだった。


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