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サイドB-3 亜種とは言えドラゴンなのに

カエデとツバキ姉妹の了承をえて、4人はさっそくパーティ申請とダンジョン攻略申請を、その日のうちに行った。


ダンジョン攻略は、その二日後からと決めて、夕食で再度ミーティングを行う約束で、いったん一行は別れた。

もともとダンジョンに入る予定などなかった二人には、準備が必要だったからだ。


もっとも用意が大変な食事とポーション等の支援部材をすべてマルティたちが用意してくれるとはいえ、武器や衣類などの準備をしなくてはならないため、全くの準備無しは無理と二日の遅延をお願いをして、こころよく了承がえられた。


ちなみにあちらが用意する食事やポーションの類は、どの程度の期間分を想定しているのかと確認をとったところ、1年ぐらい潜ってても問題ないという、豪快な回答をえられた。

量だけではなく、質も問題ないから期待していてともいわれた。


あと約束通り、前払いで本当に金貨100枚の小袋が渡された。

姉妹二人は、迷わず数枚を残して、ギルドに預けた。


ギルドは利息はつかないが銀行のようなシステムがあり、預けたお金はどこの支部でも手数料なく出し入れできるようになっている。

旅を生業とする冒険者たちにとって、移動中に盗難にあっても全財産を失わなくてすむ便利なシステムであった。


「ところで昨日のギルマスの話は、なんだったの」


夕食にあつまった際、カエデはjマルティに遠慮なく聞いた。


「いや、僕の持ち込んだ素材が珍しすぎたらしくてね。手に入れた場所やら経緯を教えてほしいとのことだったんだ。あと、全部は買い取る資金がギルドだけでは難しかったんで、ギルマスがお金を提供してくれるような人、その執政官代行に相談したらしくて、その場に同席されてたんだ」


ある程度は、受付嬢から聞き出していた二人だったが、執政官代行までいた理由は聞けなかったので、合点がいった。

ちなみに代行領主とは、この国ノースランドを治める連邦政府が、連邦国内各地に散らばる大きな町や都市に派遣する、代官のことだ。


「そもそも、何の素材なんです?持ち込んだ素材って」


年少者のつよみか、ツバキが遠慮なくずばりときいた。


「そんな、大したもんじゃないよ。ここら辺には生息していないので、まあ貴重といえなくもないけど。小型のルビーレッサードラゴンの素材、3頭分だよ」

「ぶっ、る、ルビーレッサードラゴン、ですって」


カエデが口に含んでいた食事を吹き出しそうになりつつ、叫ぶ。

予想外の回答にツバキも唖然とする。


この世界には、ドラゴン種とドラゴン亜種が複数種存在する。

ドラゴン種はまれで頭数も少なく、世界を旅する冒険者といえどもめったにお目にかかる存在でない。が、ひと度邂逅すれば、冒険者の命など風前の灯といわれる。


魔力による高速飛行、ミスリルソードでさえ歯が立たない外皮、さらに体内で煉られ発されるドラゴンブレスの威力たるや、ひとつの山を跡形もなく消し飛ばすといわれている。


ドラゴンとは、まさに災害そのものなのである。

災害がゆえに、ひとはそのテリトリー内に入ったり住みついたりすることもないため、当然接触がすくない。


ドラゴンは、金、銀、黒、白、赤、青、緑の種類が存在する。

その中でも一番人間にとって最悪なのが、戦闘力がもっとも高い黒といわれている。


金は7種の中でもっとも知能が高く、人間との会話や啓示さえする個体もいる。

地方によっては、金ドラゴンを神とたたえ、共生できている地方も存在すると言われているが、この国ではそのような例がないため、真実のほどは不明である。


ドラゴン種については、もう一種古代龍という人語を解し、魔法さえ操るという伝説の種族もいるらしいが、こちらは存在を確認できた記録がないため、おなじく真相は不明である。


対してドラゴン亜種とは、文字通り形状や特性などはドラゴンに似ているが、ドラゴンほど災害にならない種族を総じてそう呼んでいる。

種類も豊富で、認知されているだけで、100種類弱に及ぶ。

ドラゴン種より強力ではないが、それでも通常の魔物に比べて硬い外皮や破壊力を有しているため、危険度AからBに分類されている。

ドラゴン亜種が厄介なのは、単騎で生活圏をもつドラゴンに比べ、群れをなす品種が存在すること、ドラゴンのように冬眠に近い活動停止期間がなく、活動的かつ移動する種が多いことが、人々にとってドラゴン以上の害獣となっている。


通常のモンスターにくらべれば、繁殖力も個体数も圧倒的に少なくはあるが、これらのことから人間の生活圏確保のため、討伐必須対象となっている。

マルティが示したのは、その中の一種であるドラゴン亜種だった。


「な、なに?」

「なに、じゃないわよ。ルビーレッサードラゴンといえばAランク指定のモンスターよ。それも希少種じゃない。どうやってどこで倒したの?」

「どうやってて...、僕たちで倒したんだけど。あと僕の住んでいたベガ火山帯じゃ、わりと沸いている亜竜だし」

「僕たちだけって、Aランク指定なのよ。しかも3頭よ」


マルティとミヤビは、Dランクだ。

仮にゴーレムが、想定以上の強さだったとしても、普通に考えれば尻尾を巻いて逃げるしかない相手だ。


「ランク指定は知らないけど、僕たちだけで倒したのは事実だよ」


こともなげに、コカトリスのあぶり焼きをほおばりながら、マルティは答えた。

はぁーと、カエデはため息をついて


「で、その3頭分のルビーレッサードラゴンは、買い取ってもらえたの?」

「それはね、なんとか買い取ってもらえたよ。あちらもそれを売ることでさらに利益が出るらしいから、頑張って資金を捻出してくれたし。さすが執政官代行様だね」


地方都市とはいえ、ダンジョンを擁する豊かな都市に存在するギルド支部だ。

そこの買取予算で賄えない資金て、どんだけなんだよと、カエデは心の中でごちた。


「僕の住んでいる地方ギルドでは、全く受け付けてくれなくて困ってたんだ。さすがダンジョン都市様様だね。やっと3頭分売却ができた」

「えっ」


姉妹は、なにか不穏な言葉を聞いた気がした。

ルビーレッサードラゴン。


ルビーの由来は、第三の瞳の部分にある大型の赤い魔石と、全身を覆う光沢のある赤い鱗。

その性格はどう猛なうえ、大集団で生活するという特性があることを、姉妹は思い出していた。


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